更新日: 2023.06.06 年収
「年収1000万円」は得じゃない!? 手取りやデメリットを解説
本記事では、年収1000万円は得なのか、損なのか、実情を解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
年収1000万円の手取りは?
1000万円という収入を得られても、額面通り受け取ることができるわけではありません。収入から各種税金や、保険料等が天引きされるため、最終的に受け取ることができる手取りは700万円から800万円までとなります。
所得税税率
所得税とは、所得に応じて課せられる税金です。所得によって段階ごと税率が異なり、図表1のとおりです。
【図表1】
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000円 から 194万9000円まで | 5% | 0円 |
195万円 から 329万9000円まで | 10% | 9万7500円 |
330万円 から 694万9000円まで | 20% | 42万7500円 |
695万円 から 899万9000円まで | 23% | 63万6000円 |
900万円 から 1799万9000円まで | 33% | 153万6000円 |
1800万円 から 3999万9000円まで | 40% | 279万6000円 |
4000万円 以上 | 45% | 479万6000円 |
国税庁 No.2260 所得税の税率を基に作成
年収が900万円を超えると、33%の所得税が課せられるため、負担が大きくなるといえます。
給与所得控除
給与所得控除とは、会社員が所得税を算出する際に、基準となる控除です。所得によって控除額も異なります(図表2)。
【図表2】
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 |
---|---|
162万5000円まで | 55万円 |
162万5001円から180万円まで | 収入金額×40%-10万円 |
180万1円から360万円まで | 収入金額×30%+8万円 |
360万1円から660万円まで | 収入金額×20%+44万円 |
660万1円から850万円まで | 収入金額×10%+110万円 |
850万1円以上 | 195万円(上限) |
国税庁 No.1410 給与所得控除を基に作成
給与所得控除は、年収が850万円以下の場合は、段階ごとに控除額が異なります。年収850万円より多いと、一律195万円です。
例えば、年収が660万円の控除額は176万円で、収入の約26.7%が控除されます。年収1000万円の控除額は、195万円です。収入の19.5%しか控除されないため、損をしているといえます。
子育てに関する手当に影響が出る
年収1000万円以上の世帯には、子どもを扶養している人もいるでしょう。中学校卒業までの子どもがいる家庭には、児童手当が給付されますが、所得制限限度額、所得上限限度額が設定されています(図表3)。
【図表3】
扶養親族等の数 | 1.所得制限限度額 | 2.所得上限限度額 | ||
---|---|---|---|---|
所得制限限度額 (万円) |
収入額の目安 (万円) |
所得上限限度額 (万円) |
収入額の目安 (万円) |
|
0人 (前年末に児童が生まれていない場合等) |
622 | 833.3 | 858 | 1071 |
1人 (児童1人の場合等) |
660 | 875.6 | 896 | 1124 |
2人 (児童1人+年収103万円以下の配偶者の場合等) |
698 | 917.8 | 934 | 1162 |
3人 (児童2人+年収103万円以下の配偶者の場合等) |
736 | 960 | 972 | 1200 |
4人 (児童3人+年収103万円以下の配偶者の場合等) |
774 | 1002 | 1010 | 1238 |
5人 (児童4人+年収103万円以下の配偶者の場合等) |
812 | 1040 | 1048 | 1276 |
内閣府 児童手当制度のご案内を基に作成
基本的には、3歳未満の子どもは毎月1万5000円、3歳から中学生の子どもがいる家庭は、毎月1万円を受け取ることができます。しかし、収入が所得制限限度額以上、所得上限限度額未満の場合には月5000円に減額され、上限限度額以上の場合は給付されません。
まとめ
年収が1000万円となっても税金等で引かれて、7~8割ほどしか受け取れません。所得税の税率が高くなる、児童手当等が受けられなくなる場合もあるため、損となってしまう場合もあります。
なるべく損をしないためには、年収に対して税率や控除等、お金についてあらかじめ把握をしておくことが大切です。
出典
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 No.1410 給与所得控除
内閣府 児童手当制度のご案内
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー