「年収500万円」の会社員、生涯独身の予定だけど「家」は買うべき?「賃貸」と「購入」の費用を比較

配信日: 2023.06.13

この記事は約 3 分で読めます。
「年収500万円」の会社員、生涯独身の予定だけど「家」は買うべき?「賃貸」と「購入」の費用を比較
「生涯独身」を決めている人は、家の購入について悩んだことはありませんか? ある程度の年齢になり、周りの独身仲間からマンションを買った話などを聞くと余計に「買ったほうが良いのか」と思うかもしれません。「持ち家」と「賃貸」どちらがよいのかという論争はよくありますが、本記事では、生涯独身の人に限った場合で解説します。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

一生結婚するつもりはない未婚者は増加傾向

国立社会保障・人口問題研究所が18歳から34歳までの未婚者を対象にした調査によると、2021年において「一生結婚するつもりはない」と答えた人の割合は、男性17.3%、女性14.6%です。図表1は1982年から2021年までの推移で、2000年代に入って増加傾向が続いていることが分かります。
 
図表1


国立社会保障・人口問題研究所 第16回出生動向基本調査結果の概要
 

生涯の収支から考えてみる

「持ち家」と「賃貸」どちらがよいのか、まずはお金の問題から考えてみましょう。年収500万円である30歳の人が、3000万円のマンションを購入した場合と、月8万円の賃貸マンションに住み続けた場合とで、65歳時点での支出総額を計算してみます。
 

30歳から65歳までの住居費

【マンション購入】
住宅ローンはフラット35で返済期間は35年とし、金利は2023年5月時点における最低金利1.830%とした場合の返済総額は4064万8064円です。マンションの修繕積立金と管理費は月1万5000円とすると、35年間で630万円支払うことになり、30歳から65歳までに支払う住居費は4694万8064円となります。
 
【賃貸マンション】
賃貸マンションの計算は単純です。月8万円を35年間支払い続けた場合の家賃の総額は3360万円となります。
 
65歳時点では賃貸のほうが1000万円以上も住居費を抑えられているのでお得に見えます。しかし、持ち家の魅力は「老後」にあるのです。次は、90歳で死亡する場合で計算してみましょう。
 

90歳までの住居費

【マンション購入】
65歳で住宅ローンは支払い終えているため、発生するのは毎月の修繕積立金と管理費になります。65歳から90歳までの25年間で450万円を支払い、30歳からの住居費を累計すると5144万8064円となります。
 
【賃貸マンション】
定年後も同じ8万円のマンションに住み続けるのは現実的ではないため、65歳を機に家賃6万円のマンションに引っ越したとした場合で計算すると、65歳から90歳までの家賃総額は1800万円となり、30歳からの累計では5160万円となりました。
 
結果、支払総額はほぼ同じという結果になりました。ただし、購入したマンションは自身の財産になります。マンションを売却すれば、少なくとも数百万円になるでしょう。そこまで加味すると、今回の計算はマンション購入のほうが支払総額は少ないということを示しています。
 

精神的な安心についても考えてみる

生涯独身を決めていても、「老後に頼る配偶者や子どもがいない」と不安に感じることはありませんか? いざ老後を目の前にしたとき、頼る人がいない、家がない、老後資金も乏しいとなると、心細く感じてしまうかもしれません。
 
そこで現役時代に家を買っておくことで、心配を1つ減らすことができるのです。老後資金をあまりためられなかったとしても、住む家がある、毎月家賃を支払う必要がないというのは大きな安心につながるでしょう。
 

まとめ

「賃貸より家を買うほうが高い」と思われがちですが、購入する家の金額や家賃によっては、賃貸よりも支払総額が安く済む場合も多いでしょう。特に独身者用の家であれば、2000万円以下でもじゅうぶんに探せます。
 
また、生涯独身を決めている人にとってマイホームはお金の問題だけではなく、1人で老後を過ごしていく上での「大きな安心」にもつながります。「独身だから家はいらない」と決めつけるのではなく、「独身だからこそ家を買う」という選択肢も検討してみましょう。
 

出典

国立社会保障・人口問題研究所 第16回出生動向基本調査 結果の概要
フラット35 長期固定金利住宅ローン
住宅保証機構株式会社 返済額の試算
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集