更新日: 2023.06.20 年収
「大企業」と「中小企業」で年収はどのくらい違う?1年目から圧倒的な年収の違いが…!?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
大企業と中小企業との1年目の年収差はどれくらい?
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、大企業(従業員数1000人以上と定義)の20歳から24歳の平均給与は月額22万7200円となっています。
それに対して中企業(従業員数100人から999人と定義)では21万6700円、小企業(従業員数10人から99人と定義)では20万9700円となっています。月額賃金だけでも中企業は1万500円、小企業だと1万7500円と給与に差が出ています。
単純に12倍して年換算すると大企業と中企業における差は12万6000円、小企業では21万円もの差になります。
図表1
大企業 | 中企業 | 小企業 | |
---|---|---|---|
月額賃金 | 22万7200円 | 21万6700円 | 20万9700円 |
大企業との賃金の差(月額) | 1万500円 | 1万7500円 |
※筆者作成
賞与も加味すると年収差はさらに広がる
正社員には賞与が支給されることが一般的です。多くの場合賞与は、夏冬と年2回支給されるのですが、1年目は特に夏の賞与については満額支給されません。大企業でも5万円から10万円程度の寸志、中小企業なら0円ということも少なくないでしょう。
そこで、夏の賞与について大企業で仮に大企業で7万円、中企業で5万円、小企業で0円と仮定してみます。
また、冬の賞与については1年目であれば通常1ヶ月分前後になることが予想されます。計算を簡略化するために全企業一律で冬の賞与については1ヶ月分の賞与とします。すると、1年目からすでに大企業と中企業との年収差はおよそ16万円もの差が、小企業となると30万円近くの年収差がつく想定です。
図表2
大企業 | 中企業 | 小企業 | |
---|---|---|---|
賞与込みの想定年収 | 302万3600円 | 286万7100円 | 272万6100円 |
大企業と想定される年収差 | 15万6500円 | 29万7500円 |
※筆者作成
年収差は年を重ねるごとに大きくなっていく
年収1年目から20万円以上差がついている年収ですが、この差は年を重ねていくごとにどんどん広がっていきます。
40歳から44歳の平均賃金は大企業で37万5700円なのに対して、中企業では32万5000円、小企業では30万1200円となっています。月額賃金のみでも大企業と小企業とでは年間で80万円以上もの差がついています。賞与も含めるとその差はさらに広がっていきます。
そして、50歳から54歳になるころにはこの差はさらに大きくなります。大企業は42万2500円なのに対し、中企業では35万4100円に、小企業なら31万5100円となっています。
月額賃金のみでも大企業と小企業とでは、128万円以上もの差がつくことになります。このように、大企業と中小企業とでの年収差は1年目にとどまらず年を追うごとに大きくなっていくようです。
年収として表に現れにくい福利厚生にも差がある
大企業と中小企業との差は目に現れる年収だけではありません。数字としては現れにくい福利厚生面にも差がつきます。
例えば、企業規模300人以上の企業には68.4%に財形貯蓄制度が導入されていますが、30人未満の企業は23.3%のみにとどまります。他にも、社外の自己啓発サービスの提供、経費補助については、300人以上の企業では55.6%が導入しているのに対して、30人未満の規模においては26.7%となっています。
このように、大企業と中小企業においては、年収だけではなく福利厚生面にも差がついているようです。
大企業と中小企業との違いを年収だけに着目しないよう注意
大企業と中小企業とでは1年目から15万円以上の差がつくと想定されます。そしてこの差は年々広がり続け、最終的には数百万円単位の差がつくことも。しかし、大企業なら中小企業より高年収を得られるとは限りません。中小企業でも成果を出すことで大企業の平均を超える収入を得られる可能性もあります。
あまり企業規模に固執し過ぎず、自身にとって合った会社に入社し、そこで高収入を目指すことでより無理なく働くことができ、かつ、高収入を狙えるでしょう。
出典
令和4年賃金構造基本統計調査 企業規模別にみた賃金
独立行政法人労働政策研究研修機構 企業における福利厚生施策の実態に関する調査
執筆者:柘植輝
行政書士