定年退職者のうち「転職0回」は約半分? 高卒・大卒から働き始めた場合の生涯年収は?
配信日: 2023.07.04
そこで本記事では、 高卒・大卒から働き始めた場合の生涯年収について解説します。転職を含めたキャリアの動きがどのように生涯年収に影響を及ぼすのか、ぜひ参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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生涯年収とは?
生涯年収は学歴や就職した会社、業種や職種、転職回数など、さまざまな要素に左右されるものです。ここでは、生涯年収の定義や、定年退職者と転職回数の関係性などを解説します。
生涯年収の定義
「生涯年収」とは、一生の間に稼ぐことができる総額です。給与、残業代、ボーナス、退職金など、新卒から定年までの期間に取得する全ての収入が含まれます。
また、退職後の収入や年金を含むこともあります。大きな金額に思えるかもしれませんが、一生にかかる生活費や将来の計画に必要な資金も同様に大きな金額となるため、生涯年収をしっかりと理解し、将来に備えて資金を準備することが大切です。
定年退職するまで1社のみ勤めた人は約50%
株式会社NEXER(東京都豊島区)が運営する「キャリアバイブル」が、2022年6月に調査した「新卒入社した会社と転職に関するアンケート」によると、「定年退職するまでの間に何社勤めましたか」の質問に、定年退職をした405名のうち51.4%が「1社」と回答しています。
生涯年収に影響を与える要素の一つとして転職回数が挙げられることがありますが、上記調査結果を反対にいうと、就業者の半数程度が一度は転職を経験しています。これは、現在の社会において、一度入った会社で一生働くというのは一部の人々にしか当てはまらないことを示しています。働き手の価値観の変化や経済状況の変動など、さまざまな要因によるものです。
生涯年収に影響を与える要素とは
生涯年収には、さまざまな要素が影響を与えます。ここでは、生涯年収に特に影響を与える要素である、学歴・転職回数・企業規模と生涯年収との関係性を解説します。
学歴と生涯年収の関係
学歴が生涯年収に与える影響は大きいと、一般的にいわれています。高等教育を受けた人々は、専門性やスキルが高く評価され、それに見合った高い給与を得る傾向にあるからです。
事実、独立行政法人労働政策研究・研修機構の統計「ユースフル労働統計 2022」によると、学校卒業後フルタイムの正社員を続けた場合の60歳までの生涯賃金(退職金を含めない)は、男性は高校卒2億1000万円、高専・短大卒2 億1000万円、大学・大学院卒2億6000万円、女性は高校卒1億5000万円、高専・短大卒1億7000万円、大学・大学院卒2億1000万円で、学歴が上がるごとに生涯年収も上がるという結果が出ています。
しかし、学歴が全てを決定するわけではありません。各人のスキル、実績、職種、役職なども生涯年収に大きく影響します。
転職回数と生涯年収の関係
転職回数と生涯年収の関係は非常に微妙で、転職は新たな職場でスキルを生かすことで年収を上げる機会があるものです。特に、大企業への転職や昇進は年収を大きく上げる可能性があります。
一方で、頻繁に転職すると経歴にブランクを作るリスクもあり、また長く勤めた場合に得られる退職金の影響も無視できません。そのため、適切な転職のタイミングや方法、転職先の選定が生涯年収に影響を与える重要な要素となります。
企業規模と生涯年収の関係
企業規模も生涯年収に影響を与える重要な要素です。大企業は規模の大きさから安定した給与を提供できる傾向にあります。
同じく「ユースフル労働統計 2022」によると、例えば男性で大学・大学院卒の場合、1000 人以上の企業は3億円に対し、10~99人では2億1000万円と約1億円ものの差があることが分かります。ただし、これらも一般的な傾向であり、個々の事情や選択により結果は大きく変わります。
生涯年収は学歴や企業規模などに影響される
生涯年収は学歴や転職回数、企業規模などの多くの要素に大きく影響されます。高学歴の人ほど高い給与を得られる傾向にありますが、それだけが全てではありません。
転職は生涯年収アップに向けての新たな機会となり得ますが、そのタイミングや方法、選択する企業も重要です。そして大企業に転職すると、一般的には安定した給与を得られます。しかし、これら全ては一般的な傾向であり、個々の能力や選択、市場状況などが結果を大きく左右します。
働き方や仕事の選択は、単に給与だけでなく、自己満足や生活の質にも大きな影響を与えます。生涯年収と自己実現のバランスを考え、自身にとって最適なキャリアを築くことが大切です。
出典
株式会社NEXER キャリアバイブル 新卒入社した会社と転職に関するアンケート
株式会社NEXER
独立行政法人労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計 2022 21 生涯賃金など生涯に関する指標
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー