更新日: 2023.07.07 年収
「ジビエ」や獣害対策で注目? ハンターを副業にしたら収入はどのくらいになる?
では、もしハンターを副業にした場合には、一体どれくらいの収入が見込めるのでしょうか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそも「ジビエ」とは何か?
ジビエ(gibier)は、食肉として利用できる野生の鳥獣肉を意味するフランス語です。フランスなどのヨーロッパで貴族によって受け継がれてきた食文化で、今も高貴で特別な高級食材として愛され続けています。
日本では、獣害対策として駆除されたイノシシやシカを無駄にしないためにジビエが用いられるようになりました。
イノシシやシカの肉は、ウシやブタの肉と比べて高タンパク・低脂質で、鉄分やビタミン類も豊富に含んでいます。栄養価が高くヘルシーであることから、人間用としてだけでなく最近はペットフードとしての需要も高まりつつあるようです。
獣害とハンター人口の現状
本項目では、日本でジビエが広まる要因となった獣害やハンターの現状を見ていきます。
・イノシシやシカの個体数は減少傾向
令和3年のデータによると、本州以南のイノシシの個体数は中央値で約87万頭、同じくニホンジカの個体数は同約218万頭です。イノシシ、シカともに平成26年をピークに減少傾向にあります。
・獣害の現状
平成22~令和2年までの10年間で、野生鳥獣による農作物被害額は78億円減少しています。ただし、令和2年の野生鳥獣による農作物被害額約161億円のうちの約70%が、イノシシ、シカ、サルによるものでした。また、全国で年間約6000ヘクタールに及ぶ森林の被害面積の約70%が、シカによるものとされています。
個体数の減少に伴いイノシシやシカによる農作物や森林の被害も減少傾向にありますが、人間とのあつれきを減らして彼らが暮らす生態系を保全するためにも、まだまだ人間による対策が必要な状況は続いているようです。
・ハンターの現状
昭和55年に約55万件だった猟銃等所有者数は、令和2年には約9万人にまで減少しています。また、昭和55~平成29年までの37年間に20~60歳の狩猟免許所持者が減少する一方、60歳以上の割合は9%から62%へと増大しています。
ハンターになる方法と副業として取り組む場合の収入はどのくらい?
ジビエを地域振興として取り組む自治体が増えるにつれて、ハンターへの需要も高まりつつあるようです。そこで、ハンターになる方法と、副業として取り組む場合の収入を調べてみました。
・ハンターになるために必要な資格
銃を使用するハンターになるためには、都道府県公安委員会から銃刀法に基づく「猟銃所持許可」と、都道府県知事から鳥獣保護管理法に基づく「狩猟免許」を取得する必要があります。
「猟銃所持許可」を取得するためには都道府県公安委員会で講習や試験を受けたうえで、所持する銃の「譲渡承諾書」を提出します。また、「狩猟免許」を取得するためには、住所地の都道府県知事が実施する試験に合格しなければいけません。
・ハンターを副業として取り組む場合の収入
イノシシやシカの獣害に悩む自治体では、鳥獣の捕獲に対する奨励金制度を設けているケースが少なくありません。
ただし、金額はイノシシやシカ1頭につき5000~2万円程度です。イノシシやシカを1頭捕獲するのも簡単なことではないため、1ヶ月に数回程度のハンティングでは多くの収入は見込めないでしょう。
農作物の被害防止や生態系保護にも貢献できる仕事
野生の鳥獣肉であるジビエが日本にも定着しつつあります。専用の食肉処理施設を設けて、ジビエを地域振興の1つとして取り組む自治体も少なくありません。
また、副業として新たにハンターを目指す人もいるようですが、多くの収入を望むのは難しいのが現状です。
ただ、地方移住後に副業として取り組むのであれば、収入を得ながら農作物の被害防止や生態系保護にも貢献できるため、やってみる価値のある仕事であるといえるでしょう。
出典
農林水産省 ジビエ利用拡大コーナー
農林水産省 鳥獣被害の現状と対策
大日本猟友会 狩猟免許交付数の推移
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー