中央値とモード(最頻値)から見る【日本の年収格差】とは?子育て世代は経済的に余裕がない?
配信日: 2023.09.02 更新日: 2023.09.04
そこで今回は、厚生労働省が毎年実施している「国民生活基礎調査」のデータをもとに、日本における年間所得金額の、中央値やモードをご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「中央値」「モード(最頻値)」とは
まず、中央値とモード(最頻値)について確認しておきましょう。中央値とは、データを大きい順に並べたときに、中央に位置する数値のことを指します。一方、モードとは、もっともデータ数の多い値を指します。
このような違いがあることから、平均値よりも中央値、中央値よりもモードのほうが、一般的な感覚に近しい結果が出るといわれています。
年間所得金額の中央値とモード
それでは実際に、2022年に実施された「国民生活基礎調査」の結果をもとに、年収の中央値とモードをご紹介します。はじめに、表1で年収の分布を確認しておきましょう。
表1
年収帯 | 全世帯における割合 |
---|---|
100万円未満 | 6.7% |
100~199万円 | 13% |
200~299万円 | 14.6% |
300~399万円 | 12.7% |
400~499万円 | 10.3% |
500~599万円 | 8.4% |
600~699万円 | 7.3% |
700~799万円 | 6.2% |
800~899万円 | 4.9% |
900~1000万円 | 3.6% |
1000~1099万円 | 3.1% |
1100~1199万円 | 2.1% |
1200~1299万円 | 1.7% |
1300~1399万円 | 1.1% |
1400~1499万円 | 1% |
1500~1599万円 | 0.7% |
1600~1699万円 | 0.5% |
1700~1799万円 | 0.4% |
1800~1899万円 | 0.3% |
1900~1999万円 | 0.3% |
2000万円以上 | 1.4% |
※厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」をもとに筆者作成
この数値を用いた場合、平均値が545万7000円、中央値が423万円、モードは200〜299万円です。また合算すると、6割以上が「平均所得金額」を下回る結果になっています。
一方、年代別に見てみるとどうでしょうか。同調査によると、20代以降の1世帯あたり・世帯人員1人あたりの平均所得金額は、表2のとおりになることが分かりました。
とくに世帯別で数値を確認すると、現役世代では、700万円を超える収入がある40代・50代と、400万円を下回る20代に、大きな年収格差が確認できます。350万円もの収入差があれば、当然、お金の使い方や、お金への意識も大きく変わってくることが推測できます。
表2
年代 | 1世帯あたりの平均所得金額 | 世帯人員1人あたりの平均所得金額 |
---|---|---|
29歳以下 | 377万5000円 | 245万1000円 |
30~39歳 | 627万2000円 | 221万9000円 |
40~49歳 | 728万5000円 | 239万5000円 |
50~59歳 | 742万1000円 | 291万9000円 |
60~69歳 | 589万4000円 | 259万7000円 |
70歳以上 | 391万2000円 | 194万6000円 |
※厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」をもとに筆者作成
そこで、あわせて確認したい点が、貯蓄の状況です。こちらは、大まかな属性別になりますが、貯蓄がない、または貯蓄が100万円未満と答えた割合は、表3のとおりとなりました。いずれも、もっとも割合が高いのは母子世帯で、貯蓄が100万円を下回る世帯が、母子世帯全体のおよそ4割を占めています。
表3
高齢者世帯 | 高齢者世帯以外 | 児童のいる世帯 | 母子世帯 | |
---|---|---|---|---|
貯蓄がない | 11.3% | 10.8% | 9.2% | 22.5% |
貯蓄が50万円未満 | 3.4% | 4.8% | 3.5% | 12.1% |
貯蓄が50~99万円 | 3% | 3.6% | 3.8% | 7% |
合計 | 17.7% | 19.2% | 16.5% | 41.6% |
※厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」をもとに筆者作成
日本の世帯全体のモードは200~299万円だったこともあわせて考えると、苦しい家計状況が垣間見えるでしょう。そのなかでも、とくに子育て世代は、経済的に余裕のない世帯が多くなっているといえます。
深刻な日本の年収格差
日本の年間所得金額の中央値は423万円、モードは200~299万円で、平均値545万7000円と比較すると、大きなズレがあることが分かります。また、年代・属性別で比較すると、20代や母子世帯には経済的な余裕のないことが、垣間見える結果となりました。
出典
厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」 Ⅱ 各種世帯の所得等の状況(10、12ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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