更新日: 2023.10.19 年収
毎週「休日出勤」したのに手当が少なすぎる! 支払われない場合もあるって本当?
しかし実際に支払われる休日出勤手当は、意外に少ないことがあります。なぜなら、会社の休日には「休日出勤手当の対象とならない日」があるからです。本記事では、休日の種類や休日出勤手当の割増率、休日出勤手当がつかないケースなどについて解説します。
執筆者:橋本典子(はしもと のりこ)
特定社会保険労務士・FP1級技能士
休日出勤手当とは
休日に労働した場合は、休日出勤手当として1.35倍以上の割増賃金が支払われます。例えば、1時間当たりの賃金が2000円の人が休日に3時間働いた場合、2000円×1.35×3時間となり、8100円以上の休日出勤手当が支払われることとなります。
法定休日と法定外休日
ただし、1.35倍以上の割増賃金が支払われるのは「労働基準法上の休日」に働いた場合です。労働基準法では「毎週1日、または4週間に4日」の休日が必須とされていて、これを「法定休日」といいます。この法定休日に出勤したときだけが、休日出勤手当の対象となるのです。
そして週休2日制では、もう1日休日があります。この「もう1日」は法定休日ではなく「法定外休日」で、「所定休日」とも呼ばれることもあります。例えば月曜日から金曜日まで勤務する会社で、日曜日が法定休日とされている場合、土曜日は所定休日となります。
休日の割増賃金は
法定休日に就労した場合の割増賃金は、通常の1.35倍以上です。法定休日に出勤したら、1時間だけ働いたときでも、10時間働いたときでも、同じく労働時間に応じて1.35倍以上の休日出勤手当が支払われます。
一方、週休2日制・1日8時間勤務の会社で所定休日に労働した場合は「休日出勤手当」ではなく「時間外手当」の扱いとなり、こちらの割増率は1.25倍以上(時間外労働が月60時間を超えたときは1.50倍以上)です。なお、どちらの場合でも、就労が深夜(22時から翌朝5時まで)に及んだときは、さらに1.25倍以上の深夜手当が加算されます。
ちなみに、時給換算額が2000円(月給で約34万円)、休日割増率1.35倍、時間外割増率1.25倍の会社の場合、法定休日に8時間働くと2万1600円の休日出勤手当がつきます。そして所定休日に、同じく8時間働くと時間外手当は2万円となります。両者の1日当たりの差額は1600円です。
法定休日は会社によって違う
法定休日は、実は会社ごとに異なります。どの日を法定休日にするかについて、法律上の決まりはないのです。そのため土日休みの週休2日制の場合、土曜日と日曜日のどちらを法定休日にするかは、各会社が任意に決めることになります。
なお、会社の法定休日については就業規則に書かれていることが多いため「自分の会社の法定休日はいつだろう」と疑問に思ったら、就業規則の「休日」についての項目を確認してみましょう。
休日出勤手当がつかないケース
「法定休日に働いているはずなのに、休日出勤手当が少なすぎる」と感じる場合は、休日の振り替えがされているかもしれません。
休日が振り替えられたら、休日出勤手当はつかない
「法定休日」と決められている日に出勤しても、事前に休日が振り替えられているときは、休日出勤手当の対象にはなりません。「休日の振り替え」とは、休日自体をチェンジすることです。
休日の前に、会社から「悪いけど、次の日曜日(法定休日)は出勤して、代わりに火曜日に振替休日を取ってほしい」などと言われたことはありませんか? この場合、日曜日は法定休日ではなくなり、代わりに火曜日が法定休日になります。そのため日曜日に出勤しても、休日出勤手当はつかないのです。
代休の場合は、休日出勤手当がつく
振替休日と似たものに「代休」があります。代休とは「法定休日に働いた後」に「代わりに次の○曜日に休んでよい」とするものです。本来の休みの日に出勤し、代わりの休みをもらえる点では同じですが、代休のほうは既に法定休日に出勤した事実があるため、休日出勤手当の対象になります。
まとめ
週休2日制の会社でも、法定休日は1ヶ月に概ね4日程度です。また休日が振り替えられることもあるため、休日出勤手当の対象となる日はそれほど多くないかもしれません。しかし所定休日に就労したときは、休日出勤手当がつかなくても時間外手当は支払われます。
法定休日も法定外休日も、気力や体力をチャージする大事な休みです。そうした日に出勤するのですから、適正な手当が支払われているか、時々、給与明細をチェックしましょう。
出典
e-Gov法令検索 労働基準法
厚生労働省 しっかりマスター労働基準法割増賃金編
厚生労働省 振替休日と代休の違いは何か。
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士