「マグロ漁船」VS「カニ漁船」年収はどれだけ違う? 仕事内容や過酷さについても解説
配信日: 2023.11.01
では、マグロ漁船員とカニ漁船員それぞれの年収はどれくらいで、仕事はどれほど過酷なのでしょうか。本記事では両漁船員の年収と仕事内容について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
マグロ漁船員の仕事内容と年収
世界中の海で操業するマグロ漁船の主な漁法には、一本釣り、定置網、巻網、はえ縄の4種類があります。本記事では、その中から比較的就業しやすい、はえ縄漁船員の年収と仕事内容を解説します。
はえ縄とは
はえ縄は日本で開発された漁法で、2000~3000本の針とブイが付いた縄を海に投げ入れて、一度に大量のマグロを1本釣りしていきます。魚体をほとんど傷つけない漁法のため、主に刺し身向けのマグロの漁獲に用いられています。
ただし、縄の投げ入れ(投縄)から引き揚げ(揚縄)までに20時間程度を要するという、漁船員にとっては過酷な漁法でもあります。また、マグロ以外の生物を釣り上げてしまう「混獲」も少なくありません。
マグロはえ縄漁船員の仕事内容
マグロはえ縄漁船員の主な仕事は、投縄と揚縄です。投縄の主な作業は、縄とエサの準備、エサの取り付けなどです。漁場によって異なりますが、作業は深夜12時に開始、早朝の5時に終了します。投縄が終了すると、次は揚縄が待っています。
主な作業は、縄の巻取り、銛打ち、魚の取り込み・解体・洗浄・凍結・搬入などです。揚縄は朝の8時から始まり、通常は夜の9時に終了しますが、好漁時は1~2時間伸びることも珍しくありません。また、航海中には操業準備や漁具の仕立てといった作業もあります。
マグロはえ縄漁船員の年収
日本かつお・まぐろ漁業協同組合によると、マグロはえ縄漁船員の年収は新人で360万~410万円以上、1~2年の経験者で450万~510万円以上です。ただし、歩合給制が採用されている場合は、水揚げ量によって増額されます。
カニ漁船員の仕事内容と年収
主に日本海で操業するカニ漁船の主な漁法には、底引き網とかご縄の2種類があります。本記事では、ズワイガニの水揚げが多い北陸から山陰にかけてよくみられる、かご縄カニ漁船員の仕事内容と年収を解説します。
かご縄とは
かご縄は、ロープに一定間隔でエサを入れたかごを取り付けて海底(800~1000m)に沈め、カニなどを捕獲する漁法です。地形的に底引き網漁が不可能な場所でも操業できるというメリットがあります。
かご縄によるズワイガニ漁の場合、漁場や天候によって作業時間は異なりますが、長いときでは19時間にも及ぶことがある過酷さです。なお、日本海のズワイガニ漁には、資源保護のための漁業規制(漁期や漁獲サイズなど)が設けられています。
かご縄カニ漁船員の仕事内容
かご縄カニ漁船員の主な仕事は、かご縄にエサを仕掛けて海底に沈めることと数日後の網の引き揚げです。800~1000mの深海から引き揚げるため、休憩なしの作業が3~4時間続くことも珍しくありません。また、引き揚げ中にカニの選別や、次の投かごに向けての準備も行います。
かご縄カニ漁船員の年収
全国有数のズワイガニの水揚げ量を誇る鳥取県境港市にある水産会社の求人によると、かご縄カニ漁船員の年収(想定)は500万~800万円です。金額に開きがあるのは、漁獲量による歩合給制を採用しているためです。
過酷な作業に耐えられるのなら挑戦する価値はある
はえ縄マグロ漁船の場合は1~2年で一般企業の係長級、かご縄カニ漁船なら新人でいきなり一般企業の部長級を上回る年収も夢ではありません。とはいえ、どちらの漁船も作業は過酷で、時には20時間勤務もあります。
また、はえ縄マグロ漁船は一度出港すると10ヶ月程度、かご縄カニ漁船は1週間程度、母港に戻れません。ただし、その分だけリターンが期待できる仕事ではあります。過酷な作業に耐えられる覚悟のある人は、一度挑戦してみる価値はあるのではないでしょうか。
出典
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況
日本かつお・まぐろ漁業協同組合 乗組員の収入はどのくらいあるの?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー