更新日: 2023.11.13 年収
年収900万円です。あと少しで1000万円到達ですが、生活レベルはさほど変わらないと聞きました。なぜですか?
本記事では、年収900万円と年収1000万円の手取り額や生活費の平均額、受けられる公的支援金や控除の違いを比較し、両者の生活レベルがどのくらい違うのかを分かりやすくまとめました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
年収900万円・年収1000万円は平均給与を大きく上回る
国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の平均給与(1年を通じて勤務した給与所得者の平均)は458万円です。年収900万円は平均給与の約2倍、年収1000万円は平均給与の2倍を80万円以上上回っており、いずれも高収入といってよい水準でしょう。
また、給与所得者のうち800万円超900万円以下の層は全体の2.9%、年収900万円超1000万円以下の層は全体の1.9%で、年収の上位1割に属しています。
年収900万円・年収1000万円の手取り額の違い
年収900万円と年収1000万円の手取り額の違いを比較してみましょう。
・東京都在住の20代
・所得控除は基礎控除、社会保険料控除のみ
年収900万円の人、年収1000万円の人の社会保険料・所得税・住民税はそれぞれ図表1のとおりです。
【図表1】
年収900万円 | 年収1000万円 | |
---|---|---|
社会保険料 | 約121万円 | 約126万円 |
所得税 | 約64万円 | 約83万円 |
住民税 | 約55万円 | 約64万円 |
手取り年収 | 660万円 | 727万円 |
筆者による概算(参考:全国健康保険協会「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)」および国税庁HP・東京都主税局HP)
額面では100万円の差がありましたが、手取り年収では約67万円に差が縮まります。また、手取り年収を月収に換算すると、年収900万円は手取り月収約55万円、年収1000万円は手取り月収約61万円となり、その差は6万円です。額面の差100万円からイメージするものよりも、手取り収入の差は小さく感じられるかもしれません。
年収900万円・年収1000万円の生活費の比較
年収900万円と年収1000万円世帯の生活費を比較してみましょう。
総務省「2022年 家計調査」の結果によると、二人以上世帯のうち、年収900万円以上1000万円未満の世帯の年間消費支出は461万4962円(月38万4580円)、年収1000万円以上1250万円未満の世帯では年間506万5447円(月42万2121円)で、1年間あたり約45万円、1ヶ月あたり約3万8000円の差です。
毎月3万8000円の差は決して小さい金額ではありませんが、生活レベルに大きく差がつくほどの金額ではないでしょう。
年収900万円と年収1000万円の公的支援や控除の違い
家族構成などによりますが、年収900万円の世帯よりも年収1000万円世帯のほうが受けられる支援・控除の種類や金額が少ないというケースもあります。場合によっては、1000万円世帯のほうが家計は厳しいということも起こり得るでしょう。
例えば、児童手当は年収1000万円世帯のほうが、満額の児童手当を受けるのに必要とされる、扶養親族等の数の範囲が狭くなっています。また、高等学校等就学支援金制度は基本の支援額を受けられる年収の目安が、片働き世帯では900万円台に設定されており、家族構成によっては片働きの年収1000万円世帯は支援を受けられません。
所得控除のうち配偶者控除と配偶者特別控除も、控除を受ける本人の年収900万円以上になると、1000万円までの範囲で段階的に控除額が少なくなります。
年収900万円と年収1000万円の差は生活レベルにそれほど差を生まない
年収900万円と年収1000万円は額面の上では100万円の差があり、生活レベルにも違いがありそうに思えます。しかし、手取りでは年収にして70万円弱、月収に直すと6万円しか差がなく、劇的に生活レベルが変わるほどの差はないことが分かります。
ただし、子育て関係の支援や配偶者(特別)控除など、年収900万〜1000万円の間にボーダーラインがある制度は多くあります。場合によっては家計にほとんど差がないケースや、1000万円世帯のほうがかえって余裕がないケースもあるでしょう。
出典
国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査
全国健康保険協会 令和5年度保険料額表(令和5年3月分から)
厚生労働省 雇用保険料率について
国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1130 社会保険料控除
国税庁 No.1199 基礎控除
国税庁 No.2260 所得税の税率
東京都主税局 個人住民税
総務省 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2022年 表番号4-2 年間収入階級別 二人以上の世帯・勤労者世帯
内閣府 児童手当制度のご案内
文部科学省 高校生等への修学支援
国税庁 No.1191 配偶者控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー