更新日: 2023.11.24 年収

年収の壁を壊すための助成金が始まった!

執筆者 : 當舎緑

年収の壁を壊すための助成金が始まった!
厚生労働省のホームページでは、「年収の壁・支援強化パッケージ」の概要が公開されています。
 
「年収の壁」といわれる数字は、100万円、103万円、106万円、130万円、150万円と金額がさまざまなので、自分の働き方をどうするべきか、迷っている方もいるでしょう。
 
今回は、年収の壁・支援強化パッケージの1つで2023年10月から始まった助成について取り上げてみます。
當舎緑

執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

1つではない税制上の壁と社会保険上の壁

まずは、年収の壁について簡単にご説明をします。
 
「年収の壁」という金額が多く出されているので、混乱しやすいのですが、前提として、税制上の年収の壁と社会保険上の壁は異なるというのは覚えておきましょう。そして、年収の壁として示されている金額は、103万円、106万円、130万円、150万円、206万円の5つが主なものです。
 
筆者は社会保険労務士をしていますので、お客さまからよく聞かれる質問として「いくらまでなら扶養でいられますか?」があります。年間の収入を考えて就労調整する方は、まず何を「扶養」と言っているのか、自分が求める「扶養の定義」はなにかを考えてみてください。
 
会社の配偶者手当の支給が止まってしまうことが困るのか、税金を徴収されると手取りが減ってしまうことが困るのか、それとも社会保険に加入することで自分が保険料を支払いたくないのかなど、何の目的で調整するのかという点について考えてみることが大切です。
 

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家族手当は永遠に支給されるのか

もし、配偶者の会社から配偶者手当が支給されなくなるのは困るということであれば、配偶者が勤務している会社の就業規則の賃金規程をご自分でしっかりと確認してみましょう。いつまで・どんな要件で配偶者が支給されるのか、知る必要があります。
 
厚生労働省から「企業の配偶者手当の在り方の検討」という資料が配布されており、その中では、配偶者手当を支給する企業は減少傾向であることにも言及しています。賃金の見直しをどうするのか、フローチャートも示されています。
 
前述の「企業の配偶者手当の在り方の検討」内には、

・配偶者手当を見直すことは、自社の人材確保のために役立つ
 
・配偶者手当の原資をもとに、共働きや独身の方、能力開発に積極的な方など、いろいろな方が活躍できる賃金・人材制度を改めて考える良い機会になる

という記述があります。
 
今後、賃金規程で手当等を整理するため、就業規則の見直しがされるかもしれません。配偶者手当は永遠に支給されるとは限らないと考えつつ、もし手当がなくなった場合には、その収入の補填分をどうするのか、家計を節約するのか、それとも収入を増やすのか、その後の方針をご夫婦で話し合っておきたいものです。
 

2023年10月から始まった、壁を壊すためのキャリアアップ助成金

年収の壁を壊すための対策として、事業主に支給される助成金が新設されました。この助成金は、「106万円の壁」への対応となります。
 
今回の助成金は、労働者が一定の条件を満たすことで、事業主に支給されるものであり,労働者への直接補助ではありません。この“一定の条件”とは、労働者本人が社会保険に加入し、保険料を負担した場合の保険料相当額の手当支給や賃上げをすることにより、30万円もしくは50万円が事業主に支給されるものです。
 
ただ、労働者への直接の支援ではありませんが、賃金の15%以上の手当が支給されたり、週の所定労働時間を延長することで、労働者本人の賃上げはされます。今後、就労時間を増やして、収入を上げるという将来の希望があるのであれば、これをきっかけに勤務先と今後の働き方を相談してみましょう。
 
この助成金が出るのは永久ではありません。また、キャリアアップ計画を作成するなど、会社にとっては労働者1人だけの問題ではなく、雇用しているパート労働者すべてに影響する問題です。
 
ただ、この助成金の制度はすでに始まっており、ひとまず令和7年度末までと期限が切られていますので、利用を考えるのであれば、早めに勤務先との調整をしておくほうがよいでしょう。
 

出典

厚生労働省 企業の配偶者手当の在り方の検討
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

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