パートのダブルワークで「年収130万円」を超えたら国保加入になった!? 社保に入れなかった「悲惨な理由」とは
配信日: 2023.12.06
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
社会保険の加入要件
社会保険に加入しなければならないのは、週所定労働時間および月所定労働日数が正社員の4分の3以上の人です。パートでこの要件に該当しない人であっても、従業員数101人以上の会社で働く人で以下の要件を全て満たす人については社会保険の加入対象となります。
●週所定労働時間20時間以上
●月額賃金8万8000円以上(年収106万円の壁)
●2ヶ月を超える雇用の見込みがある
●学生ではない
つまり年収がいくらであろうと、これらの要件を満たす人は社会保険に加入しなければなりません。ただ、正社員の4分の3未満しか働いておらず、週所定労働時間が20時間未満であるならば、自然と年収は106万円または130万円未満になるかもしれません。
扶養する配偶者側での加入要件
社会保険の扶養に入れる親族の範囲は、原則として被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫、兄弟姉妹です。なおかつ年収が130万円未満であり、主として被保険者に生計を維持されている人でなければなりません。
国保加入になる理由
1つのパートで年収130万円以上となるのであれば、社会保険の加入要件に当てはまる場合がほとんどです。しかし、ダブルワークとなると、年収130万円あったとしてもそれぞれのパート先での労働時間は少なくなるため、どちらの会社でも社会保険の加入要件を満たさないという事態も考えられます。
ただ、年収自体は130万円なので被扶養者としては認められません。よって、「自分で社会保険に入れない+扶養にも入れない」という宙ぶらりんの状態になってしまうのですね。
「それなら病院には行かないし、無保険でよい」と思う人もいるかもしれませんが、日本は全ての国民が公的医療保険に加入しなければならない国民皆保険制度なので、勤め先で社会保険に加入していなくても、国民健康保険に加入しなければならない流れになります。
年金については、これまで第3号被保険者として年金保険料の負担はありませんでしたが、扶養から外れたら国民年金保険料を支払わなければなりません。
国民健康保険はよくないの?
国民健康保険であっても、社会保険と同様に70歳未満の医療負担は3割です。日常生活においては国保だから損ということはありません。ただ、扶養を抜け社会保険に加入することに比べると以下のデメリットがある点を知っておきましょう。
●労使折半ではなく、保険料が高い場合が多い
●傷病手当金、出産手当金がない
など
まとめ
ダブルワークをして年収130万円以上になると配偶者の扶養から外れなければならなくなります。しかしダブルワークなど働き方によっては、パート先で社会保険に入れずに国民健康保険加入となる可能性がある点には注意が必要です。国民健康保険は、社会保険と比較してデメリットを感じる部分もあるため、年収の調整は慎重に行いましょう。
出典
政府広報オンライン パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。
厚生労働省 日本の国民皆保険制度の特徴
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士