更新日: 2024.01.09 年収
年収1000万円の会社員にも「年収の壁」がある? どんな節税をしているの?
本記事では、年収1000万円の会社員における年収の壁や節税方法について解説します。家族や子どもがいる、これから増える予定の会社員は、ぜひ参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年収1000万円以上の会社員の約7割が働き損を感じている
Sasuke Financial Lab株式会社(東京都千代田区)が運営する保険の一括比較・見積もりサイト「コのほけん!」が、2023年10月に年収1000万円以上の会社員109名を対象とした「高所得者の家計負担に関する実態調査」では、約7割が年収の増加による働き損を感じている旨を伝えています。
働き損を感じる具体的な事柄については、所得税/住民税が高い(75.3%)、社会保険料が高い(71.2%)、配偶者控除/配偶者特別控除が受けられない(41.1%)、児童手当の支給対象外(39.7%)といった回答が見られます。
年収1000万円を超えると配偶者控除を受けられない
控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1000万円を超える場合、配偶者控除を受けられません。配偶者控除は、所得税法上の控除対象配偶者がいる納税者が受けられる所得控除で、配偶者の年齢が70歳以上か以下かによって控除額が分類されます。配偶者の年齢が70歳以下の場合、控除額は図表1のとおりです。
【図表1】
合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
900万円以下 | 38万円 |
900万円超950万円以下 | 26万円 |
950万円超1000万円以下 | 13万円 |
1000万円超 | 対象外 |
国税庁「No.1191 配偶者控除」より筆者作成
給与所得控除額は年収850万円以上で一律195万円(上限)
給与所得控除は、給与所得に対して段階的に設定されています。給与などの収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額)に対する給与所得控除額は図表2のとおりです。年収850万円を超える場合は、一律の上限額である195万円しか控除されません。
【図表2】
給与などの収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 |
---|---|
~162万5000円 | 55万円 |
162万5001円~180万円 | 収入金額×40%-10万円 |
180万1円~360万円 | 収入金額×30%+8万円 |
360万1円~660万円 | 収入金額×20%+44万円 |
660万1円~850万円 | 収入金額×10%+110万円 |
850万1円以上 | 195万円 |
国税庁「No.1410 給与所得控除」より筆者作成
児童手当における年収の壁もある
年収の壁は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育する人に対して支給される、児童手当にもあります。児童手当の支給額は、子どもの年齢に応じて1人につき以下の額を支給します。
・3歳未満:一律1万5000円
・3歳以上小学校修了前:1万円(第3子以降は1万5000円)
・中学生:一律1万円
所得制限は所得額や扶養人数によって図表3のように上限が異なり、所得制限限度額以上所得上限限度額未満の場合は一律5000円の特例給付、所得上限額以上は児童手当の支給そのものを受けられません。
【図表3】
扶養人数 | 所得制限限度額 | 所得上限限度額 |
---|---|---|
0人 | 622万円 | 858万円 |
1人 | 660万円 | 896万円 |
2人 | 698万円 | 934万円 |
3人 | 736万円 | 972万円 |
4人目以降加算額 | 38万円 | 38万円 |
こども家庭庁「児童手当制度のご案内」より筆者作成
年収1000万円の会社員が行う節税方法とは?
投資セミナーやファイナンシャルプランナー事務所を運営する株式会社FAMORE(大阪府大阪市)が、2023年9月に年収1000万円以上の1005人を対象とした「高所得者の投資状況と金融意識の実態調査」(ゼネラルリサーチ調査)によると、節約・節税として行っていることについて以下のような回答が見られました。
・NISA制度の利用:45.2%
・保険の見直し:29.1%
・iDeCo制度の利用:27.1%
・家計の収支を見直す:22.7%
調査によると、年収1000万円以上の人の4割以上が、節税方法としてNISA制度を利用しています。投資で得た収益には20.315%の税金がかかるものの、NISAを利用すると一定額までの運用益が一定期間非課税になります。
年収の壁を把握して適切な方法で節税をしよう
年収が増えることで、所得控除や公的サービスの制限を受けるなど年収の壁が存在します。
特に年収1000万円を超えている場合、配偶者や子どもがいる世帯は、配偶者控除を受けられない、給与所得控除は一律195万円、児童手当が支給されないといったことが起こり得るのです。記事内で解説した年収の壁について理解を深めて、NISA制度を活用するなどして節税を目指していきましょう。
出典
Sasuke Financial Lab株式会社 コのほけん! 高所得者の家計負担に関する実態調査
こども家庭庁 児童手当制度の案内
国税庁 No.1191 配偶者控除
国税庁 No.1410 給与所得控除
株式会社FAMORE 高所得者の投資状況と金融意識
株式会社FAMORE
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー