更新日: 2024.04.11 年収

「年収の壁」さえなければ、もっと給料のよい会社へ転職したい…気にせず転職すべきですか?

「年収の壁」さえなければ、もっと給料のよい会社へ転職したい…気にせず転職すべきですか?
これまで、被扶養者のパート・アルバイトは「年収の壁」によって働く時間を調整しなければならないケースもありました。
 
しかし「年収の壁・支援強化パッケージ」という施策が2023年10月から始まり、今後は労働時間の調整が緩和される可能性があります。就業の調整をしなくてよくなれば、もっと給料のよい場所へ転職したいと思う方もいるでしょう。
 
そこで今回は「年収の壁・支援強化パッケージ」について解説します。同じ悩みをお持ちの方は、今後の働き方の参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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「年収の壁・支援強化パッケージ」とは?

被扶養者がパート・アルバイトで働くにはいくつかの「年収の壁」があるため、就業時間と年収を調整していた方もいらっしゃるでしょう。「年収の壁」とは、一定の年収を超えてしまうと保険料などの負担が必要となり、手取り収入が減額されてしまうボーダーラインのことを指します。
 
上記のような手取り収入の減額に対応する施策が「年収の壁・支援強化パッケージ」です。今回対象となる「年収の壁」は、以下の2種類です。


・106万円の壁:厚生年金と健康保険への加入が必要となる壁
・130万円の壁:国民年金と国民健康保険への加入が必要となる壁

上記の「年収の壁」が、「年収の壁・支援強化パッケージ」でどのような対策がなされるのかを見てみましょう。
 

106万円の壁

「106万円の壁」への対応は、手取り収入を減らさない取り組みをした企業に、労働者一人当たり最大50万円を支援するとの内容です。
 
会社が手取り収入を減らさない取り組みとして「賃金(基本給)の増額」や「所定労働時間の延長」「社会保険料相当額の手当の支給」などを実施した場合に適用となるようです。
 
例えば、社会保険料の発生にともない賃金の15%以上を追加で支給した会社は、一人当たり20万円(1年目)の助成を受けられます。これによって労働者は、年収が上がって厚生年金と健康保険に加入したとしても、手取り額を減らさずに働けるようになっています。
 

130万円の壁

「130万円の壁」への対策は、繁忙期などで労働時間が延長して収入が一時的に増えてしまった場合、事業主がその旨を証明すれば被扶養者認定が継続できるとの内容です。
 
例えば、年収120万円の見込みで就業していたが、繁忙期の残業で年収が140万円になってしまった場合、本来であれば130万円を超えてしまうため被扶養者の認定から外れてしまいます。
 
しかし、この対策では、事業者の証明があれば年収130万円を超えても引き続き被扶養者に認定されるのです。
 

「年収の壁」さえなければ転職したいと考える人は約5割

次は「『年収の壁』を気にしなくてよいのであれば、転職をしたい」と考える人がどの程度いるのかを見てみましょう。
 
株式会社野村総合研究所が、就業調整をしながらパートもしくはアルバイトとして働き、配偶者のいる女性を対象に実施した「年収の壁」に関するインターネットアンケート調査によると、「今回の支援策で『年収の壁』がなくなれば今より年収が多くなるように働きたい」と答えた方の割合は63.2%(そう思う:31.2%、まあそう思う:32.0%)とのことです。
 
さらに、同調査での「今回の支援策によって『年収の壁』を超えても手取り額が減らなければ、今の仕事よりも時給の高い仕事に転職したいか」という質問に対しては「そう思う」が21.0%、「まあそう思う」が29.3%でした。
 
「年収の壁」さえなければ年収を増やしたいと考える方は約6割、転職したいと考える方は約5割いることが分かりました。
 

「年収の壁・支援強化パッケージ」によって今よりも給料がよい会社に転職できるかもしれない

「年収の壁・支援強化パッケージ」は、被扶養者に対する「年収の壁」を緩和する施策です。これらの制度の適用が認められれば、「年収の壁」へのハードルが低くなるかもしれません。
 
そのため、年収を上げるための転職も可能となるでしょう。一方で「年収の壁・支援強化パッケージ」は、会社の取り組みや対応が必要不可欠です。転職を検討する場合には、職場がこの取り組みに協力的であるかを確認し、慎重に進めることが大切です。
 

出典

厚生労働省 年収の壁・支援強化パッケージ
株式会社野村総合研究所「就業調整」している有配偶パート女性の6割以上が、政府の支援策で今より年収が多くなる働き方を志向 図1「年収の壁・支援強化パッケージ」がもたらす就業調整への影響(2ページ)、図2 「年収の壁・支援強化パッケージ」がもたらす転職への影響(3ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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