更新日: 2024.07.09 年収
子どもが2人いる我が家の世帯年収は「500万円」です。生活が厳しいので「高卒」で働いてほしいのですが、給与を考えたら大学に行かせるべきでしょうか?
世帯年収500万円の家庭にとって相当な支出となるため、生活が厳しく高卒で働いてほしいと考える方もいるでしょう。
しかし、子どもの将来や給与を考えると、大学に進学させたほうがよいか悩む方もいるかもしれません。
本記事では、高卒と大卒の給与差やキャリアの違いを比較し、子どもの将来にとって最適な選択を考えます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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大学にかかる費用
文部科学省の国公私立大学の授業料等の推移によると、令和5年度の授業料・入学料は、国立大学の場合で1年間の授業料53万5800円、入学料28万2000円です。公立大学の場合は、1年間の授業料53万6191円、入学料37万4371円です。私立大学の場合は、1年間の授業料95万9205円、入学料24万806円です。
上記を参考に計算すると、4年間で国立大学は242万5200円、公立大学は251万9135円、私立大学なら407万7626円もの費用がかかることが分かります。
高卒と大卒の給与の違い
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、高卒の月収は28万1900円、大卒の月収は36万9400円です。
大卒の場合は、年間105万円も高卒に比べて給与が高い計算になります。長期的な視点で考えると、大学進学にかかるコスト以上の価値を得られる可能性があるでしょう。
高卒と大卒のキャリアの違い
同調査によると、卒業後すぐの給与は、高卒が月収19万1500円、大卒が月収23万9700円です。社会人としてスタートした直後から、大卒は高卒に比べて年間57万8400円も給与が高いことになります。
給与のピークは高卒だと月収32万2500円、大卒は月収49万9100円です。
もちろん、学歴だけではなく本人の経験やスキルなどによっても異なります。しかし、統計調査の結果から分かるように、高卒に比べて大卒の方が高収入かつキャリアを積みやすい傾向があるといえるでしょう。
高卒と大卒の生涯賃金の違い
高卒と大卒で、生涯賃金の違いを説明します。独立行政法人労働政策研究・研修機構のユースフル労働統計2023「生涯賃金など生涯に関する指標」によると、退職金を含めない生涯賃金(※)は次のとおりです。
高卒・男性は2億300万円、高卒・女性は1億4920万円、大卒・男性は2億4740万円、大卒・女性は1億9800万円です。
男性の場合は、高卒に比べて大卒の方が4440万円も生涯賃金が高いです。女性の場合は、高卒に比べて大卒の方が4880万円も生涯賃金が高く、男女ともに生涯賃金に差があります。
※学校卒業後すぐに就職し、60歳で退職するまでフルタイムの正社員を続ける場合(同一企業継続就業とは限らない)の生涯賃金です。
大学進学は最高の投資
大学進学にかかる費用は約250万円〜約400万円です。学費を差し引いても、高卒よりも大卒の方が高い収入を得られる可能性があります。「学費=投資コスト」と考えると、10倍以上のリターンになって返ってくるのです。
お金にゆとりがあると、経済的な不安が少なく安定した生活を送れる可能性があります。一時的な学費はかかりますが、子どもの将来や生涯賃金を考えるなら、高卒よりも大学に進学させる方がメリットは大きいといえます。
世帯年収500万円でも子ども2人を大学に行かせられますか?
高卒よりも大卒の方が経済的なメリットがあるとはいっても、子ども2人の学費を工面するのは親にとって大変な負担です。世帯年収500万円となると、家族4人の生活をやりくりするのに精いっぱいで、大学費用に充てるお金の余裕がない状況も考えられます。
大学費用が高く生活が厳しいという理由で、子どもを大学にいかせることを諦める前に、学費を工面する方法はないか探してみましょう。
金銭面に不安がある家庭でも、奨学金や教育ローンを活用して、子どもを大学に進学させられる可能性があります。
子どもの希望を聞きながら、将来を考えて大学進学も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
出典
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
独立行政法人労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2023 ―労働統計加工指標集―
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー