更新日: 2024.07.15 年収

「60歳で定年退職」を宣言していた公務員の知人が62歳になっても働いています。「暫定再任用制度」を利用しているそうですが、給料や仕事内容は定年前と変わりませんか?

「60歳で定年退職」を宣言していた公務員の知人が62歳になっても働いています。「暫定再任用制度」を利用しているそうですが、給料や仕事内容は定年前と変わりませんか?
国家公務員にも、定年後に再任用される制度があります。暫定再任用制度と呼ばれ、条件を満たしていれば年金を受給できる年齢まで継続して勤務が可能です。ただし、受け取る給料は変動する可能性があるようです。
 
また、役職だった方は、一般職に変わるケースもあるでしょう。今回は、国家公務員の暫定再任用制度の概要や条件、また給料と手当の金額などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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暫定再任用制度はどんな制度?

人事院「公務への再任用」によると、暫定再任用制度とは、「公的年金の報酬比例部分の支給開始年齢が60歳から65歳へ引き上げられることに伴い、無収入機関が発生しないよう、定年退職となる職員が希望する場合、退職日の翌日から公的年金の報酬比例部分の支給開始年齢に達するまでの間、再任用する(一部抜粋)」という制度のようです。
 
暫定再任用された方の仕事内容は定年前の職員と同質であるものの、退職前に管理職だった方も一般職に変わるケースがありうるようです。そのため、暫定再任用制度の適用前は管理職として働いていた方が、暫定再任用制度の適用後に部下だった方と上下関係が逆になる可能性も少なくありません。
 

制度が適用される条件は?

人事院給与局・内閣官房内閣人事局「国家公務員の60歳以降の働き方について」を基に暫定再任用制度が適用される条件をご紹介します。
 

【施行日である令和5年4月1日以前に退職した方】

・定年退職または勤務延長後に退職した者(施行日前に勤務延長されて施行日後に退職した者を含む)
・25年以上勤続して施行日前に退職した者のうち、次に掲げるもの

1.当該退職の日の翌日から起算して5年を経過する日までの間にある者
2.当該退職の日の翌日から起算して5年を経過する日までの間に、旧国家公務員法により再任用または暫定再任用をされたことがある者
3.当該退職の日の翌日から起算して5年を経過する日までの間に、旧自衛隊法による再任用または自衛隊法による暫定再任用をされたことがある者

 

【令和5年4月1日以降に退職した方】

・定年退職または勤務延長後退職した者
・25年以上勤続して施行日以後に退職した者のうち、次に掲げるもの

1.当該退職の日の翌日から起算して5年を経過する日までの間にある者
2.当該退職の日の翌日から起算して5年を経過する日までの間に、暫定再任用をされたことがある者
3.当該退職の日の翌日から起算して5年を経過する日までの間に、自衛隊法による暫定再任用をされたことがある者

 
なお、暫定再任用制度では任期は1年以内です。更新までの任期で勤務実績が良好だったときに、本人の同意を得たうえで再び1年以内の範囲で更新がなされるようです。
 

暫定再任用制度の給料はいくら?

人事院給与局・内閣官房内閣人事局の同資料によると、暫定再任用制度期間中の職員の給料は「職務の級ごとに決められた単一の金額」とされています。
 
最長で年金が受け取れるまで働くので、60歳で定年退職をするよりも年金額は増額します。実際にどれだけ増額するのかは定年退職前までの給料により異なるため、ねんきんネットなどで調べておきましょう。
 

手当は受け取れる?

暫定再任用制度では、夜勤手当や単身赴任手当、またボーナスに当たる期末・勤勉手当などは支給されます。しかし、扶養手当や住居手当などの長期継続雇用を前提とした人材確保のための手当は支給されません。
 
人事院によると、令和6年度における行政職俸給表(一)6級以下の方かつ勤務成績も良好な方の場合、期末・勤勉手当は年間合計で2.31ヶ月分を受け取れます。
 

暫定再任用制度の仕事内容は定年退職前と同質

暫定再任用制度は、国家公務員の方が60歳で定年退職をしたあとも、年金を受給できる65歳までの間は1年更新で再任用してもらえる制度です。仕事内容は定年退職前と同質とされています。
 
ただし、暫定再任用制度により管理職から一般職へと変わる可能性があるため、手当や給料が下がる場合もある点に注意が必要です。また、暫定再任用制度の収入は職務と級ごとに決められています。友人がどれに該当するか気になる場合は、職務と級を確認してみましょう。
 

出典

人事院 公務への再任用
人事院給与局・内閣官房内閣人事局 国家国家公務員の60歳以降の働き方について -情報提供・意思確認制度に基づく情報提供パンフレット-(21.26.27.29ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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