更新日: 2024.07.16 年収

公務員は「年金が多い」と聞きました。老後は働かなくても生活できるのでしょうか?

公務員は「年金が多い」と聞きました。老後は働かなくても生活できるのでしょうか?
公務員と聞くと、老後が安泰だと考える方や、年金が多く受け取れるという話を聞いたことのある方もいるでしょう。公的年金制度は、会社員も公務員も変わりません。
 
しかし、公務員は退職金を年金と同じ形で受け取れるケースがあるため、年金額が会社員よりも多くなる可能性があるでしょう。今回は、公務員の年金制度についてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

公務員の公的年金は会社員と同じ?

基本的に、公務員が受け取れる公的年金は会社員と同様に「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」です。公務員と会社員は国民年金において同じ第2号被保険者に分類されます。国民年金は被保険者が3種類に分かれており、それぞれの特徴を日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」を能登にご紹介します。
 
表1

対象者 加入する公的年金 保険料の支払い
第1号被保険者 学生や無職、自営業、農業に携わる20歳以上60歳未満の方など 国民年金 自分で納める
第2号被保険者 公務員や会社員 国民年金と厚生年金保険 給料から天引きされる形で勤務先が納める
第3号被保険者 第2号被保険者に扶養されていて、年収130万円未満の20歳以上60歳未満の配偶者 国民年金 第2号被保険者の加入制度が負担する

※日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」を基に筆者作成
 
老後に受け取れる公的年金を2種類とも受給できるのは公務員か会社員のみです。ただし、第1号被保険者や第3号被保険者の方でも、会社員として働いたことがあれば、期間に応じて老齢厚生年金を受給できます。
 

公務員には公的年金以外の年金がある

公務員には「退職年金」と呼ばれる制度が存在します。国家公務員、地方公務員ともに適用される制度で、退職金を年金と同じように受け取れる点が特徴です。
 
実質的に3種類の年金を受け取れるため、退職金を一括で受け取る会社員よりも年金額は高くなる傾向にあります。会社員よりも年金額が多くなりやすいため、公務員は年金だけで老後の生活ができる可能性もあるでしょう。
 
人事院「退職等年金給付制度」によると、国家公務員が退職年金を受け取る条件は以下の通りです。

●65歳に達していること
●退職していること
●1年以上の引き続く組合員期間を有している

退職年金は、「終身退職年金」と「有期退職年金」の2種類に分類されます。終身退職年金とは名前の通り終身で受給できる退職金、有期退職年金は支給期間を20年、あるいは10年と決まっている退職金です。
 
有期年金は年金制度ではなく、一時退職金として一括での受給もできます。一時退職金として受け取る場合は、退職年金の請求時に申告しましょう。
 

公務員は年金だけで生活できる?

総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯では公的年金も含めた社会保障給付などの収入のみの場合、毎月の生活費は3万768円不足します。
 
しかし、公務員は公的年金のほかに退職年金も受給できるため、受給額によっては退職後に働かなくても生活できる可能性は十分にあるでしょう。
 

老後はどんな仕事をしている?

公務員は退職年金を受け取れますが、公的年金も含めた受給総額や生活水準は人によってさまざまです。同じ勤続年数であっても、年金だけで生活できる公務員もいれば老後に働く必要のある公務員もいると考えられます。
 
人事院では、公務員の方が60歳以降も働く方法として再任用と再就職を挙げています。再任用では「暫定再任用制度」があり、定年後も同質の仕事を行うとされていますが、実際に再任用されると退職前とは異なるポストに就くケースもあるようです。
 
また、もし国家公務員が再就職をする場合は一定の規制が設けられています。人事院「求職情報の収集」によると、規制内容は以下の通りです。
 

・あっせん禁止

職員が営利企業等(営利企業と営利企業以外の法人)に対して、他の国家公務員・元国家公務員の再就職依頼・情報提供等を行うことの禁止
 

・求職活動規制

職員が在職中に自らの職務と利害関係のある営利企業等に対して求職活動を行うことの禁止
 

・再就職者による働きかけ規制

再就職者が元の職場に対して一定の契約又は行政処分等に関する働きかけを行うことの禁止
 
規制に反していない範囲であれば、国家公務員を退職した方で企業へ再就職をしている方もいるでしょう。
 

退職年金も受け取っていれば生活費として十分な可能性はある

公務員の受け取る公的年金制度は、会社員と同じく老齢基礎年金と老齢厚生年金です。しかし、公務員には退職金を年金と同じ形で受け取る「退職年金」が存在します。もし退職年金も受給していれば、会社員よりも月々に受給できる年金額は多くなる可能性があるでしょう。
 

出典

日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要(18ページ)
人事院
求職情報の収集

退職等年金給付制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

LINE

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集