更新日: 2024.07.24 年収
年収1000万円以上になると”損”をする!? 受けられなくなる「控除」や増える「保険料」を解説
しかし、年収1000万円以上になると、「損することがある」という声もあるようです。その理由として、高収入だと受けられない控除があったり、支出が増えたりするなどの点が挙げられます。
本記事では、年収1000万円以上の世帯の割合や「損する」といわれる理由を詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年収1000万円以上の世帯の割合
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、年収1000万円超の人の割合は表1の通りです。
表1
年間給与額 | 人数 | 全体に対する割合 |
---|---|---|
1000万円超 1500万円以下 | 201万9000人 | 4.0% |
1500万円超 2000万円以下 | 43万1000人 | 0.8% |
2000万円超 2500万円以下 | 13万1000人 | 0.3% |
2500万円超 | 17万人 | 0.3% |
※国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」を基に筆者作成
1000万円超の年収を受けている人は、合計で全体の5.4%しかいませんでした。給与所得者のなかでも、1000万円超の収入を得ている人はごく少数であることが分かります。
また、収入に対する「手取り額」は個々の状況により異なりますが、おおよそ年収の7~8割前後といわれています。例として年収1000万円を得ている人の手取り額は、おおよそ700~800万円前後です。
年収1000万円以上になると「損」といわれる理由
一般的に高収入といわれる世帯でも、家計が楽ではない理由はさまざまです。要因として考えられる点は、所得が増えると受けられなくなる控除があること、また所得増に伴って支出も増えやすいことなどが挙げられます。
具体的な例を見てみましょう。
年収1000万円以上だと受けられなくなる控除があるため
「高収入世帯」だと、一部の控除制度の対象外となる可能性があります。例えば国税庁によると、「配偶者控除」は納税者本人の合計所得金額が1000万円を超える場合には受けられません。
また、給与などの収入から差し引ける「給与所得控除額」は、収入が850万円を超えると、一律で195万円に制限されます。収入額が増えても控除額が増えていかなければ、相対的に課税対象額が割り増しになってしまうでしょう。
さらに、総所得金額などから差し引きできる「基礎控除」は、2400万円以下までは一律48万円ですが、2400万円超2450万円以下は32万円、2450万円超2500万円以下は16万円、2500万円超では0円になります。
所得が増えることで保険料などの負担が増える可能性があるため
所得が増えることで、出費も増える可能性があります。例えば、厚生年金の毎月の保険料額は、標準報酬月額に保険料率をかけて計算されますが、所得が多いと負担額が大きくなります。
また、「高額療養費制度」については、被保険者の年齢や所得で自己負担限度額が変わります。通常、所得が多いと自己負担上限額が高くなります。
さらに、所得税も、所得が増えるほど税率が上がるため、1000万円以上の収入がある世帯は、納める税額も多くなるでしょう。
年収1000万円以上になると一部の控除が受けられなかったり、保険料などの負担が増えたりする可能性がある
年収が1000万円超の人は、合計で全体の5.4%でした。高収入世帯になると、一部の控除を受けられなくなったり、保険料の自己負担額が上がったりするケースがあります。
その意味では「損」することがあるといえるかもしれません。とはいえ、収支バランス全体が悪くなるとは限りません。普段の支出によっては、家計に余裕があるケースもあるでしょう。
出典
国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査 II 1年を通じて勤務した給与所得者 3 給与階級別分布 (第16表)給与階級別給与所得者数・構成割合(23ページ)
国税庁 No.1191 配偶者控除
国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1199 基礎控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー