更新日: 2024.10.01 年収

年収が高ければ高いほど税金も高くなると聞きますが、実際年収「300万円」と「1000万円」ではどれくらい手取り額が違うのでしょうか?

年収が高ければ高いほど税金も高くなると聞きますが、実際年収「300万円」と「1000万円」ではどれくらい手取り額が違うのでしょうか?
年収があがるにつれて税金も増えることはご存じの方も多いと思いますが、具体的にどれほど違うのか、気になる方もいるのではないでしょうか。特に、年収1000万円だと手取りがどれくらいになるのか、ほかにも税制面などで不利になることがないのか、考えることは重要です。
 
今回は、年収300万円と年収1000万円における、会社員と個人事業主の手取り額を比較します。
FINANCIAL FIELD編集部

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年収300万円と年収1000万円で手取り額はどれくらい違う?

年収に対する手取り額は、一般的に会社員と個人事業主で異なります。これは所得税控除や経費計上など、それぞれで差し引きできる金額や節税できる項目が違うからです。こちらでは、年収300万円と年収1000万円における、会社員と個人事業主の手取り額について解説します。
 

会社員の場合

会社員の所得に対してかかる税金や給与から天引きされる費用は、主に以下の通りです。

・所得税
 
・住民税
 
・社会保険料

詳細な収入や年齢、地域、家族構成などによって手取り額は異なりますが、年収300万円の手取り額は、およそ240万円だといわれています。内訳は所得税が約5万円、住民税が約10万円、社会保険料が約45万円です。これらの費用は会社員である限り避けられないため、年収の20%程度は天引きされると思ったほうがよいでしょう。
 
一方年収1000万円の手取り額は、およそ750万円だといわれています。所得税には所得が増えると税率があがる「累進課税」が採用されているため、所得税の課税率は年収300万円より高めです。また社会保険料も収入に応じて金額があがる仕組みのため、こちらも高く設定されています。年収の25%程度は天引きされると思ったほうがよいでしょう。
 

個人事業主の場合

個人事業主は年間の売上に対して費用を計上して所得税などを軽減できるため、事業内容や経費計上の金額によって手取り額が大きく異なります。そのため、以下の手取り額はあくまで目安である点にご注意ください。
 
個人事業主は、所得税と住民税のほかに「個人事業税」と「消費税」も納めなければならないケースがあります。そのため場合によっては手取り額が会社員より下がることも考えられます。
 
年収300万円の場合、手取り額はおよそ220万円といわれています。一方、年収1000万円の場合、手取り額は約700~800万円が目安だといわれています。
 

年収が1000万円を超えるときの注意点

各種税金の割合で比較すると、年収300万円と年収1000万円で大きな差はないように思われます。しかし年収が1000万円を超えると、控除や支援制度といった各種制度が使えなくなる場合があります。
 

給与所得控除額が上限に達してしまっている

年収が1000万円を超えると、会社員の課税所得から一定割合を差し引く「給与所得控除」の金額が上限に達してしまっているため、上限額以上差し引くことができません。
 
国税庁によれば、給与等の収入金額が300万円なら収入金額の30%+8万円が控除される一方で、850万1円以上だと控除額は上限の195万円となります。年収が増えても控除額が抑えられるため、結果として納める税額が大きくなります。
 

配偶者控除がなくなる

年収が1000万円を超えると、配偶者控除が適用されません。国税庁によると、配偶者控除とは、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に適用される控除で、一般の控除対象配偶者であれば最大38万円の控除が受けられます。
 
しかし納税者本人の年収(合計所得金額)が1000万円を超えると控除額が0円となり、控除されない状態になってしまうため、結果として税負担が増えてしまいます。
 

各種子育て・教育支援制度が受けられないケースがある

年収1000万円を超えると、各種子育てや教育支援制度が適用されないケースがあります。例えば文部科学省によると、高等学校等就学支援金制度では、両親、高校生、中学生の4人家族で両親の一方が働いている場合、世帯年収910万円までが所得要件の年収目安となります。
 
ほかにも奨学金や給付金制度などさまざまな支援に制限が課せられる場合があるため、実質的な生活費負担額が増加する可能性があります。
 

年収1000万円では控除や支援制度を受けられなくなるケースがある

年収1000万円は、各種税金の割合は年収300万円と大きく変わらないものの、給与所得控除が上限に達していたり配偶者控除が適用されなかったりするなど、所得税控除の面で負担が増えると考えられます。
 
また、高等学校等就学支援金制度においても所得要件を満たさないケースがあるため、特に子育て世帯だと年収300万円の世帯より教育費が多くかかる可能性があるでしょう。
 

出典

国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1191 配偶者控除
文部科学省 高等学校等就学支援金リーフレット(概要版)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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