更新日: 2024.12.08 年収

「田舎は給料が安い」と地元を出て大阪で働く息子。地方と大阪の年収の“格差”はどのくらいでしょうか?

「田舎は給料が安い」と地元を出て大阪で働く息子。地方と大阪の年収の“格差”はどのくらいでしょうか?
就職のために地元を離れ、都会へ引っ越すケースは珍しくありません。都会へ移る理由には、給料や職種の選択肢の差などが挙げられるでしょう。しかし、なかには「都会と地方で、就業環境にそれほどの差があるのだろうか」と考える人もいるかもしれません。
 
今回は、大阪府以外の近畿地方の府県(滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県)から、大阪府へ就職するケースを想定し、各府県との年収の差などについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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大阪府の平均年収は約510万円

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、近畿地方各府県の平均月収と平均年間賞与は、表1の通りです。
 
表1

平均月収 平均年間賞与
滋賀県 32万7300円 87万5700円
京都府 33万9800円 84万4600円
大阪府 35万1700円 89万8200円
兵庫県 33万6300円 91万6500円
奈良県 31万4700円 69万5400円
和歌山県 31万3700円 71万6600円

出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」を基に筆者作成
 
「平均月収×12ヶ月+平均年間賞与」を平均年収とすると、次になります。
 

・滋賀県:480万3300円
・京都府:492万2200円
・大阪府:511万8600円
・兵庫県:495万2100円
・奈良県:447万1800円
・和歌山県:448万1000円

 
このうち金額が最も低い府県は奈良県で、最も高い大阪府とは64万6800円の差があります。ただし、収入は勤め先の規模などによって変動するため、条件を限定すると異なる結果となる場合もあるでしょう。
 

有効求人倍率では、奈良県が大阪府を上回る

就職のしやすさを比較する際は、「有効求人倍率」が参考になります。
 
有効求人倍率は、有効求人数を有効求職者数で割った値です。例えば、有効求人倍率が1.5倍であれば、1人の求職者に対し、平均1.5社の求人が出ている状態を意味します。したがって、有効求人倍率が高いほど、就職がしやすいといえます。
 
厚生労働省の「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」を基に、近畿地方各府県における令和3年度の平均月間有効求人倍率を計算すると、次の通りです。
 

・滋賀県:約0.87倍
・京都府:約0.96倍
・大阪府:約1.03倍
・兵庫県:約0.84倍
・奈良県:約1.14倍
・和歌山県:約1.03倍

 
大阪府は滋賀県、京都府、兵庫県を上回る一方、和歌山県とはほぼ同じ値、奈良県は下回る結果になりました。就職のしやすさでは、奈良県が大阪府を上回るということです。
 
ただし、有効求人倍率が示す「就職のしやすさ」は、職種を限定しなかった場合のものです。裏を返せば、有効求人倍率が高い地域でも、職種によっては就職が難しい可能性があります。
 
具体的には「製造業の求人ばかりで、IT関係に就職できない」などのケースです。この場合、IT企業への就職を希望する人は、ほかの地域の方が就職がしやすいと感じるかもしれません。
 

近畿地方で労働生産性が最も高い府県は滋賀県

最後に、従業員1人あたりの労働の付加価値を示す、「労働生産性」について解説します。労働生産性は、総生産額を就業者数で割った値で、数値が高い地域ほど、高付加価値の職種に従事している人が多いと考えられます。
 
内閣府の「県民経済計算」を基に、令和3年度における近畿地方各府県の労働生産性を計算すると、次の通りです。
 

・滋賀県:約9.70
・京都府:約8.37
・大阪府:約8.24
・兵庫県:約8.96
・奈良県:約7.57
・和歌山県:約8.90

 
大阪府は約8.24と、2番目に低い数値となっています。このことから、労働生産性の面では、大阪府が特筆して高くはないことが分かるでしょう。
 
ただし、労働生産性が高くなる要因としては、付加価値の高い職種が多いか、労働者の能力が高いか、あるいはその両方が考えられます。労働生産性が高いからといって、必ずしも高付加価値の職種が集中しているとは限らない点にご注意ください。
 

大阪府の平均年収は約510万円|近畿地方の他府県とは最大約65万円の差

令和3年における近畿地方の平均年収は、大阪府が511万8600円と最も高く、最も低い奈良県とは64万6800円の差があります。一方、有効求人倍率と労働生産性では大阪府を上回る県もあり、就業のしやすさや労働の効率性においては、他県も引けをとらないようです。
 
ただし、今回の結果は大阪府と近畿地方の他府県を比較したものです。近畿地方以外の都道県も対象にした場合、地域差の度合いは異なると考えられるでしょう。
 

出典

政府統計の総合窓口(e-Stat) 厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別 表番号sanko1 (参考表)都道府県別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(47都道府県一覧)
厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計):雇用関係指標(年度) 雇用関係指標(年度)
内閣府 県民経済計算(平成23年度-令和3年度)(2008SNA、平成27年基準計数)<47都道府県、5政令指定都市分> 統計表 1. 総括表
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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