「年収300万円」の社会人。父が「家族を食べさせて一人前」と言うけれど、正直1人暮らしもギリギリです。年収がいくらあれば家庭をもてるでしょうか?
配信日: 2024.12.08 更新日: 2024.12.09
では、実際にどのくらいの年収があれば、家庭をもっていわゆる「家族を養う」ことができるのでしょうか? 本記事では、家庭をもつために必要な年収や、親世代との社会情勢の違いについて解説します。
執筆者:山田麻耶(やまだ まや)
FP2級
家庭を支えるための年収の目安は?
家庭をもつと、どのくらいのお金が必要になるのでしょうか。
総務省が発表した最新の家計調査(2024年10月分)によると、2人以上の世帯における1ヶ月の平均消費支出は30万5819円です。この数字をもとに計算すると、年間の消費支出はおよそ366万円になります。
給与の手取りを約8割程度だと仮定すると、約457万円が必要になる計算です。つまり、年収が457万円以上あれば、2人以上の世帯の平均支出額を賄えるといえるでしょう。
しかし、この消費支出額はあくまでも平均であり、世帯構成や住んでいる地域、生活スタイルによって大きく変わります。例えば、子どもが複数人いる世帯や、都市部に住んでいる世帯では、より多くの収入が必要になるでしょう。「年収457万円以上なら家庭をもてる」と一概にはいえません。
親世代と現代では何が違う?
「結婚したら家族を養うのが当たり前」という考えは、かつては多くの人の間で共通していたかもしれません。しかし、現代では社会の状況が大きく変わり、その考え方も徐々に変化しています。
昭和時代には、終身雇用や年功序列が一般的でした。企業に長く勤めることで給与が徐々に上がり、安定した収入を得ることができたため、父親が一家の大黒柱として働き、母親が専業主婦として家事や子育てを担う家庭が主流でした。
しかし、現代では社会構造や働き方が大きく変わりつつあり、共働き世帯は年々増加しています。独立行政法人労働政策研究・研修機構が総務省統計局の「労働力調査(詳細集計)」を集計した結果によると、2023年時点で約70%の世帯が共働きとなっており、専業主婦世帯の数を大きく上回っています。
また、終身雇用や年功序列が崩れつつある現代では、1人の収入だけに頼ることが難しくなっているのが現実です。夫婦それぞれが収入を得ることで家計を支える家庭は、今後も増えていくと考えられます。
このように、昔と現代では社会情勢や価値観が大きく変化しているため、「結婚=家族を養う」という従来の考え方だけに縛られる必要はないといえます。
自分に合った生活設計を考えよう
家庭をもつために必要な年収は、人それぞれです。結婚したからといって必ずしも「1人で家族を養わなければならない」というわけではありません。むしろ現代は、自分やパートナーの価値観に合った柔軟な選択が求められる時代といえるでしょう。
たとえ年収が低くても、毎月の支出を抑えたりパートナーと協力したりすれば、家庭をもつことは十分可能です。重要なのは、収入と支出のバランスを考えながら、自分たちの生活スタイルに合った方法で予算を立てて生活することです。年収に過度なプレッシャーを感じず、幸せな家庭を築く道を模索してみてくださいね。
出典
総務省 家計調査報告(二人以上の世帯)-2024年(令和6年)10月分-
内閣府男女共同参画局 仕事と家庭のあり方 男性にとっての男女共同参画
独立行政法人労働政策研究・研修機構 グラフでみる長期労働統計 図12 専業主婦世帯と共働き世帯
執筆者:山田麻耶
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