夫の年収400万円+妻の年収100万円と、夫の年収250万円+妻の年収250万円ならどちらのほうが社会保険の負担が少なくなるでしょうか?
配信日: 2024.12.12
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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夫の年収400万円+妻の年収100万円のケース
夫の年収が400万円、妻の年収が100万円の場合には、妻の収入が103万円以下であるため、配偶者控除が適用されます。配偶者控除により夫の所得税と住民税の負担が軽減され、税金面で大きなメリットを得られるでしょう。
例えば、所得税率が10%のケースでは、配偶者控除による減税額は所得税が約3万8000円、住民税が約3万3000円となり、合わせて年間で約7万1000円の減税効果が期待できます。また、社会保険料は年間約60万円となり、負担を抑えながら家計の維持が可能です。
扶養に入れば妻の社会保険料の支払いは発生しない
妻が夫の扶養に入る場合、健康保険料や年金保険料を負担する必要はありません。夫の社会保険の被扶養者となるため、医療機関での診療を3割負担で受けられるなど、家計に優しい条件が整います。
なお、夫の社会保険料は、妻の扶養により増額されるわけではありません。配偶者控除や扶養制度を利用することにより、家計全体の支出を抑えられるでしょう。
夫の年収250万円+妻の年収250万円のケース
夫と妻の年収がそれぞれ250万円の場合、配偶者控除は適用されません。所得税や住民税の減税がなく、税金の面ではメリットが少ないといえます。また、年収250万円に対して必要となる社会保険料は1人あたり約36万円で、夫婦で合計すると約72万円です。夫婦それぞれの年収が250万円の場合、社会保険料の負担は相対的に高くなることが予想されます。
なお、配偶者控除や配偶者特別控除を満額受けるためには、妻の年収が150万円以下でなければなりません。
ただし、社会保険の扶養に入るための条件は勤務先の規模により異なり、106万円未満または130万円未満に抑える必要があります。妻がさらに稼ぎたくても年収の上限を意識しなければならず、自由に働くことが難しくなる可能性があります。
一方、将来的には年収の増加を望む人もいるでしょう。年収が増えれば、社会保険料の負担が大きくなるとはいえ、手元に残るお金は増えていきます。そのため、無理に収入をセーブする必要はなく、働く意欲を維持することが大切です。
親や祖父母を扶養に入れると節税に?
親や祖父母を扶養に入れると扶養控除を利用できるため、所得税や住民税の減税が可能になります。特に、70歳以上の同居親族の場合、所得税に対して58万円、住民税に対して45万円の控除がそれぞれ適用されます。高所得者にとっては、より大きな節税効果が期待できるでしょう。
また、75歳未満の親や祖父母が会社員の扶養に入ると、国民健康保険料の支払いが不要になります。国民健康保険料は収入金額と家族の人数によって決まりますが、会社員が加入する健康保険であれば扶養に入っても保険料は上がりません。ただし、75歳以上は後期高齢者医療保険に移行するため、扶養に入れない点に注意しましょう。
扶養する側は税制上の優遇措置を受けられ、扶養される側は健康保険料の負担を軽減できるため、双方の生活にゆとりが生まれます。なお、税金と健康保険は異なる制度であるため、扶養控除だけを利用することも可能です。
妻を扶養に入れるほうが社会保険料はお得になる
夫の年収が400万円で妻の年収が100万円の場合、配偶者控除や扶養制度を活用すれば社会保険料の負担が軽減されるため、家計の負担を抑えられます。
一方、夫と妻の収入がそれぞれ250万円であれば、配偶者控除が適用されず、社会保険料の負担も相対的に大きくなります。そのため、2つのケースを比較した結果として、妻を扶養に入れるほうが全体的に社会保険料を抑えられるといえるでしょう。
出典
国税庁 No.1191 配偶者控除
国税庁 No.2260 所得税の税率
渋谷区 平成31年度住民税の税制改正のお知らせ
国税庁 家族と税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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