退院予定日が「月末」を超えると、医療費に「7万円超」の差が!? 医療費限度額がリセットされるって本当?「年収500万円」の会社員のケースで試算
配信日: 2024.12.13
本記事で、年収からの負担見込み金額を試算してシミュレーションします。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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入院治療の費用を軽くする方法は?
入院費用の費用負担を軽くする方法として、「健康保険の限度額認定証を使う」ことと「高額療養費制度」を利用する選択肢があります。
加入している健康保険(国民健康保険、協会けんぽなど)では、年収と年齢にあわせて医療費負担上限額を設定していて、上限額よりも医療費が高額になったときに超えた部分を健康保険が負担します。
入院する日が事前にわかっている場合には、加入している健康保険へ「限度額適用認定証」を申請して、申請当日から1週間程度で発行される認定証を入院するときに病院の窓口へ提出すると、自己負担額を計算して入院費用が請求されます。
限度額認定証の申請をしていなかった場合は、退院時にかかった医療費を支払い、健康保険へ「高額療養費」を申請すると自己負担上限額から超えた金額を払い戻してくれます(払い戻しには申請から数ヶ月程度かかります)。
自己負担額が適用されるのは保険診療による医療費で、食事代など保険対象外のものは適用されないので注意してください。なお、医療機関によっては、マイナ保険証を利用することで限度額適用認定証がなくても、限度額を超える支払いが免除されます。
入院費用の平均額はどのくらい?
厚生労働省の「医療費の動向」調査によると、令和5年度での全国平均入院日数は28.7日、1日の入院費は全国平均4万2382円で、東京都が唯一5万円台、それ以外の道府県は3万円から4万円台とばらつきがあります。
入院1回あたりの医療費は全国平均約121万円で、3割負担の場合は約40万円を請求されるので、限度額認定証や高額療養費制度を利用して、なるべく自己負担額を減らすと良いでしょう。
入院期間が月をまたぐと、どんな影響があるの?
それでは、入院期間が月末を超えると、支払う医療費の負担額はどのように変わるのでしょうか。おおよその金額を試算してみましょう。
東京都に住み40代年収500万円(協会けんぽに加入し、標準報酬月額41万円)のAさんが10日間入院し、医療費が120万円(3割負担で36万円)だった場合
・基本の計算式
標準報酬月額28万円から50万円までの1ヶ月の自己負担上限額は「8万100円+(医療費-26万7000円)×1%」で計算します。
(1)1月中に10日間の入院をした場合(1月10日から19日まで)
8万100円+(医療費120万円-26万7000円)×1%=8万9430円
(2)入院期間が月末を超えた場合(1月27日から2月5日まで)
1月と2月の医療費はそれぞれ60万円として試算します。
1月:8万100円+(医療費60万円-26万7000円)×1%=8万2430円
2月:8万100円+(医療費60万円-26万7000円)×1%=8万2430円
1月分8万2430円+2月分8万2430円=16万4860円
入院期間が月末を超えると、7万5340円の差が出る結果になりました。なお、この試算はいずれの月も医療費が上限額を超えたケースであり、月末を超えたときの医療費が上限額よりも低い場合は請求される医療費が変化します。
まとめ
高額になりやすい入院費用の自己負担額を抑えるには、加入している健康保険の「限度額認定証」や「高額療養費」制度を利用する方法が最善でしょう。
入院期間が短くても月末を超えると、医療費限度額がリセットされて費用負担が増えてしまう可能性があります。急な病気やけがなどでの入院ではなく、ある程度入院日を調整できるようなら、主治医などと相談して同じ月内に入院期間をおさめるのも、ひとつの方法です。
出典
全国健康保険協会 高額な診療が見込まれるとき(マイナ保険証または限度額適用認定証)
厚生労働省 「令和5年度 医療費の動向」を公表します~概算医療費の年度集計結果~
全国健康保険協会 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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