転職サイトで「年収応相談」という求人をよく見かけます。これは相場よりも高い給料をもらえる可能性があるということでしょうか?
配信日: 2024.12.21
しかし「年収応相談」には、さまざまなニュアンスが含まれている可能性があります。そのため、必ずしも希望の年収をもらえるわけでない点には注意が必要です。
今回は、年収応相談の隠された意味と、このような求人に対しどのように対応すればよいかご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「年収応相談」の意味は?
年収応相談には、大きく分けて3つの考え方があるようです。
求職者の経験や年齢で変わる可能性がある
求職者の経験や年齢で年収が変わる可能性がある場合、年収応相談と記載している場合があります。
中途採用の場合、求人に応募してくる人材の年齢や経験はさまざまです。同じ職種の経験が10年以上あるベテランと、未経験の場合とでは、同じ年収にすることは難しい傾向があるため、採用する人材によって年収を変えることを想定した求人を出すこともあるでしょう。
この場合、希望が必ず通るわけではないものの、求職者の希望を聞く意思があるとも考えられます。
求人募集している職種の「社内での価値」を把握できていない
求人募集している職種が、会社にとってどの程度の価値があるのか把握できていない可能性もあります。
その職種の適性年収を把握していないということは、入社後もどんなに努力をしても「収入アップが見込めない」「キャリアアップできない」など、自身の働きを正しく評価してもらえない可能性があります。このような会社で働いた場合、自分自身の価値を下げてしまうおそれがあるため、注意が必要です。
できるだけ少ない年収で採用しようと考えている
「年収応相談」の求人は、求職者の希望を聞いて、できるだけ少ない年収で採用しようとしている可能性もあります。
求人に年収500万円と記載すると、前職の年収が500万円以下の人は、無条件に年収がアップします。企業側はこのような事態を避け、求職者が妥協できる最も少ない額で採用するために「応相談」と記載している可能性があるのです。
この場合、素直に希望年収を言ってしまうと、企業側は本来それ以上出すことを想定していたとしても、求職者が提示した額で採用する可能性があります。このことから「年収応相談」は求職者にとって、非常に不利な交渉となってしまうかもしれません。
年収応相談の求人は避けるべき? 対処法は?
年収応相談の求人は、求職者にとって不利となる可能性もあることから、避けた方が無難なケースもあるようです。
しかし、年収以外の求人内容が自分の希望と合致していた場合、応募しなかったことを後悔してしまうかもしれません。どうしても気になる求人がある場合は、次のような対処法をとってみましょう。
事前に確認する
気になる求人があった場合は、面接の前に直接問い合わせてみるとよいでしょう。メールや電話などで、具体的にいくらぐらいで採用予定なのか面接前に確認します。
面接が進んでから、折り合いがつかずに断ることもできますが、それまでの時間が双方無駄になる可能性があります。採用には、企業側もお金と時間をかけており、不必要に時間をかけるのはお互いのためではありません。
応募する職種の平均年収を把握しておく
応募する職種の平均年収を把握しておくこともおすすめです。
同じような求人を複数探して、およその平均年収を計算してみましょう。平均年収と比較してあまりにも提示された年収が低い場合は、少ない額で採用しようとしている可能性があります。
表1は、令和5年賃金構造基本統計調査を基に、従業員数10人以上の規模の会社に勤める人の年収を計算した一例です。参考にしてみてください。
表1
きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 年収 | |
---|---|---|---|
庶務・人事事務員 | 32万7100円 | 100万8600円 | 493万3800円 |
金属プレス従事者 | 28万9000円 | 70万7400円 | 417万5400円 |
自動車整備・修理従事者 | 33万700円 | 90万7200円 | 487万5600円 |
金融営業職業従事者 | 44万2400円 | 180万3800円 | 711万2600円 |
※総務省統計局「令和5年賃金構造基本統計調査」を基に筆者作成
「年収応相談」は希望年収で採用してもらえるわけではなく、場合によっては相場以下の年収になることもある
「年収応相談」は、自分の希望する年収にしてもらえるという意味ではないとされています。場合によっては、その職種の平均年収よりも少ない額で採用しようと考えている可能性もあるため、注意が必要です。
年収応相談の求人に応募する際は、事前に確認するか、同様の職種の年収と比較してみることで、経験やスキルに合った年収を希望できる可能性があるでしょう。
出典
e-Stat政府統計の総合窓口 令和5年賃金構造基本統計調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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