中小企業の事務職で年収「380万円」。これは多い方なのでしょうか?

配信日: 2025.01.09

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中小企業の事務職で年収「380万円」。これは多い方なのでしょうか?
「事務職」と聞くと、一般的にほかの職種と比べて給料が少ないイメージを抱く人もいるかもしれません。とくに中小企業は、大企業と比べ年収が少ない可能性もあるでしょう。
 
 
そこで今回は、事務職の年収を企業規模別・仕事内容別にご紹介します。ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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中小企業の定義

まずは、中小企業の定義について確認します。中小企業というと、数十人規模のイメージを抱くかもしれません。
 
中小企業庁によると、中小企業基本法の中小企業の定義は、業種ごとに異なります。中小企業基本法第二条の中小企業の定義をまとめたものが、表1です。「資本金の額もしくは資本金の総額」「常時使用する従業員の数」のどちらか一方を満たすことで、中小企業と認められます。
 
表1

業種 資本金の額もしくは資本金の総額 常時使用する従業員の数
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5000万円以下 100人以下
小売業 5000万円以下 50人以下
製造業・建設業・運輸業など
上記以外の業種
3億円以下 300人以下

※中小企業庁「中小企業基本法」を基に筆者作成
 
中小企業基本法では、このように定義されていますが、法律や制度によって、定義が異なる場合があります。
 

中小企業事務員の平均年収

中小企業基本法の定義に沿って、中小企業事務員の平均年収を大企業と比較してみましょう。
 
令和5年賃金構造基本統計調査を基に、人事・会計・営業それぞれの事務職の年収を企業規模ごとに計算したものが表2です。なお「きまって支給する現金給与額」とは、基本給に職務手当や通勤手当などの各種手当、超過労働給与額を含んだ額となります。
 
表2

企業規模 きまって支給する
現金給与額
年間賞与
その他特別給与額
年収
庶務・人事事務員 10人~99人 29万100円 66万8300円 414万9500円
100人~999人 31万9600円 93万7700円 477万2900円
1000人以上 36万4500円 135万3700円 572万7700円
会計事務従事者 10人~99人 30万4200円 73万4300円 438万4700円
100人~999人 31万3500円 88万6900円 464万8900円
1000人以上 35万9500円 133万5700円 564万9700円
営業・販売事務従事者 10人~99人 29万7800円 68万600円 425万4200円
100人~999人 32万2600円 98万3300円 485万4500円
1000人以上 36万8900円 125万9400円 568万6200円

※総務省統計局「令和5年賃金構造基本統計調査」を基に筆者作成
 
卸売業・サービス業・小売業においては企業規模10人〜99人、そのほかの業種においては企業規模100人〜999人までが中小企業の定義に該当します。企業規模が大きくなるにつれて年収は上がっていくものの、すべての中小企業で事務職の年収は400万円を超えていることが分かるでしょう。
 
なお、賃金構造基本統計調査では、ほかに「企画事務員」「受付・案内事務員」などもあります。10人~99人の企業規模の会社の場合、企画事務員の年収は479万4900円とほかの事務員よりも多く、受付・案内事務員は322万1000円と少なくなっており、同じ事務でも、仕事内容によって年収に差があることが分かります。
 

事務職の年収は低いのか?

一般的に事務職の年収は低いと思われやすいようです。
 
国税庁の令和5年分民間給与実態統計調査によると、給与所得者全体の平均年収は459万5000円となっています。従業員数10人〜99人の企業規模の会社に勤務する事務員の平均年収で、この額を超えている職種はありません。
 
日本の全企業数のうち中小企業の割合は99.7%あります。このことからも、事務員として働く人の多くは中小企業勤務であることが考えられ、年収が低いといわれていることが予想できます。
 

中小企業事務職の平均年収は仕事内容で異なるが、年収380万円以上の事務職も多い

事務職の年収は一般的に全体の平均年収よりも低いといわれ、国内企業の多くを占める中小企業では、強くその傾向があります。
 
とくに企業規模100人未満の中小企業事務職の平均年収は400万円台前半が多いようです。受付・案内事務員のように、300万円台の事務職もあるものの、380万円は仕事内容によっては少ない額の可能性もあるでしょう。
 

出典

中小企業庁 中小企業基本法
総務省統計局 e-Stat令和5年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査Ⅱ1年を通じて勤務した給与所得者2平均給与(第8表)平均給与(15ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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