50万円以上の差になることも?公務員の「地域手当」とは
配信日: 2025.01.09
今回は、地域手当が支給される理由や対象地域、地域手当によって年収にどれくらいの差が出ることがあるのかについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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公務員の「地域手当」とは?
公務員の地域手当は、おもに都市部や首都圏など、民間賃金の高い地域に勤務する職員に対し支給される手当です。
これにより、同じ仕事をしていても、都市部の方が収入が高くなる可能性があります。隣接する市でも収入に差が出てしまい、不公平に感じられる可能性があるものの、都市部や首都圏などは、ほかの地域と比べ家賃や物価などが高い傾向があり、その支出の差を補填するために支給されています。
地域手当の対象地域と支給割合
公務員の地域手当が支給される対象地域と支給割合は、厚生労働省の「国家公務員の地域手当に係る級地区分」によると、表1のようになります。なお、東京都特別区とは、都内にある23区のことです。
表1
区分 | 支給割合 | 支給地域 |
---|---|---|
1級地 | 20% | 東京都特別区 |
2級地 | 16% | 横浜市・大阪市 など21市 |
3級地 | 15% | さいたま市・千葉市 など24市 |
4級地 | 12% | 浦安市・神戸市 など18市 |
5級地 | 10% | 京都市・広島市 など43市 |
6級地 | 6% | 仙台市・静岡市 など79市15町 |
7級地 | 3% | 札幌市・岡山市 など65市4町1村 |
※厚生労働省「国家公務員の地域手当に係る級地区分」を基に筆者作成
このように地域手当は、最大で20%付与されるため、地域によって大きな差が生まれることになります。
地域手当で年収にどれくらいの差が出るのか
地域手当の有無により、年収に大きな開きが生まれる可能性があります。地域手当は次の計算方法で算出します。
「(俸給+俸給の特別調整額+専門スタッフ職調整手当+扶養手当)の月額×支給割合」
「俸給」とは、正規の勤務時間における勤務に対する報酬のことを指し、さらに特殊な官職に対し支払われる報酬が特別調整額です。特別調整額は、勤労の強度、勤務時間、勤労環境などが考慮されます。専門スタッフ職調整手当も特別な職種につく職員に支給されるため、一般的な公務員は俸給+扶養手当の合計を基に、地域手当が算出されると考えてよいでしょう。
例えば、令和5年一般職の大学卒業者の初任給はおよそ24万3000円です。扶養家族がいない場合、東京都特別区であれば、24万3000円×20%の4万8600円が地域手当として支給されます。1年にして58万3200円となり、地域手当が一切ないエリアに住む人と、60万円近い差が生まれることになります。
公務員の地域手当が変わる?
2025年以降、国家公務員の地位手当の見直しが行われる予定です。
現在1級地から7級地までの7つに分けられている区分を、都道府県を基本に5段階に広域化し、支給割合も再編予定です。これにより、隣同士の市町村で収入に大きな開きが生まれることをある程度は避けられる可能性があります。
人事院の発表によると、変更後の支給地域や割合は、表2のようになります。
表2
区分 | 支給割合 | 支給地域 | |
---|---|---|---|
都府県で指定 | 個別に指定 | ||
1級地 | 20% | – | 東京都特別区 |
2級地 | 16% | 東京都 | 横浜市・大阪市 など |
3級地 | 12% | 神奈川県・大阪府 | さいたま市・千葉市 など |
4級地 | 8% | 愛知県・京都府 | 仙台市・静岡市 など |
5級地 | 4% | 茨城県・栃木県 など | 札幌市・岡山市 など |
※人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」を基に筆者作成
これにより、静岡市は現行の6%から8%へ増加、さいたま市は15%から12%へ減少することになります。段階的に引き下げ・引き上げを行う予定ではあるものの、基本給が多い人ほど、数%の差は大きな収入の差となる可能性がありそうです。
なお、国家公務員の地域手当見直しにともない、地方公務員も同様の見直しを行う方向で進められています。
公務員の地域手当は最大20%。地域によって60万円近い差が出ることも
公務員の地域手当は、首都圏や都市部など物価の高い地域に勤務する人に支払われます。
隣接する市区町村でも収入に差が出る可能性もあるため、今後は都道府県単位で地域手当を支給する流れになっていきそうです。
出典
厚生労働省 国家公務員の地域手当に係る級地区分
人事院 本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み 給与制度のアップデート措置内容②地域手当(5ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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