「春闘の回答で過去最高の賃上げ率」とニュースで見ましたが、私が勤める飲食店ではあまり変わっていない気がします…業界によって違うのでしょうか?
今回は、春闘の概要や業界別の賃上げ率、また収入を上げたいときにチェックしておきたいポイントなどについてご紹介します。
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春闘とは
「春闘」とは、毎年新年度の4月に向けて労働者側と企業側で行われる、賃金引き上げをはじめとする労働条件の話し合いです。正式名称は「春季生活闘争」のようです。
春闘では労働組合が賃金引き上げや労働時間、状況に応じてフレキシブルに働けるような仕組みづくりなどの要求を2月ごろに企業側へ提出します。そして、企業は3月ごろに要求を基に回答し、団体交渉が行われるという流れです。
要求の提出と回答といった流れのピークが春に来るため、春闘と呼ばれるようになりました。なお、現在の春闘の形は昭和31年から始まったとされており、半世紀以上の歴史があるようです。
業種によって賃上げ率はどれくらい違う?
厚生労働省の「令和6年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」によると、産業ごとの妥結額(交渉した結果決まった金額)や賃上げ率は表1の通りです。賃上げ率の高い順番でまとめています。
表1
| 産業別賃上げ率ランキング | 妥結額(賃上げ額) | 賃上げ率 |
|---|---|---|
| 1位:鉄鋼 | 3万7090円 | 12.49% |
| 2位:造船 | 2万3057円 | 6.53% |
| 3位:機械 | 2万1385円 | 6.45% |
| 4位:建設 | 2万1548円 | 5.94% |
| 5位:非鉄金属 | 1万7961円 | 5.82% |
| 6位:サービス | 1万7739円 | 5.79% |
| 7位:窯業 | 1万8426円 | 5.75% |
| 8位:繊維 | 1万8235円 | 5.59% |
| 9位:食料品・たばこ | 1万8057円 | 5.36% |
| 10位:電気機器 | 1万8391円 | 5.32% |
| 11位:化学 | 1万8416円 | 5.30% |
| 12位:卸・小売 | 1万6192円 | 5.22% |
| 13位:ゴム製品 | 1万5776円 | 5.15% |
| 14位:精密機器 | 1万7582円 | 5.06% |
| 15位:その他製造 | 1万5804円 | 4.91% |
| 16位:自動車 | 1万6189円 | 4.82% |
| 17位:金融・保険 | 1万5756円 | 4.58% |
| 18位:電力・ガス | 1万2841円 | 4.44% |
| 19位:紙・パルプ | 1万3439円 | 4.39% |
| 20位:運輸 | 9829円 | 3.25% |
出典:厚生労働省「令和6年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」を基に筆者作成
表1を基にすると、サービス業は5.79%と全体で6番目の賃上げ率です。仮に時給が1200円だとすると、賃上げ後の時給は約1269円になります。
しかし、資料の数値はあくまでも産業ごとの平均値です。同じ産業であっても、平均値と同じだけ賃上げしてもらえるとは限らないようです。
また、資料は資本金10億円以上かつ従業員数が1000人以上で労働組合のある企業が対象のため、企業規模によっても賃上げ率は変動する可能性があります。労働組合がない企業で給料を上げてほしいときは、昇給する条件を調べたり上司に交渉したりするなど、自分から動く必要があるでしょう。
収入を上げたいときのポイント
春闘以外で収入を上げる方法には、資格を取ったり実績を残したりして、社内評価を上げる方法があります。勤め先に関する専門資格を取得すると、社内評価が上がるだけでなく手当がもらえる可能性もあるでしょう。
また、飲食店の場合は、上司や部下だけでなく、お客さまからの評価も重要な要素です。お客さまから評判がいいお店はリピーターも増えやすく、売り上げにつながるでしょう。売り上げアップに貢献できれば上司からも評価され、結果として昇給や昇進となる可能性が高まります。
今の会社で長く働いていくうちに時給や月収がアップする場合もあります。入れ替わりが激しいといわれる飲食業界では、長く働けているということも実績といえるでしょう。
会社から正当に評価されていない、働くことが苦しいなどの理由があるときは、転職も選択肢の一つです。転職するときは転職先で給料が上がるのか、待遇がよくなるのかなどをしっかりチェックしておきましょう。
春闘の賃上げ率は業界によって多少の差はある
春闘の話し合いによりどれくらい賃上げされるかは、業界により異なります。厚生労働省の資料によると、令和6年の最も高い賃上げ率は鉄鋼業の12.49%、最も低いところは運輸業の3.25%と、9.24%の差です。
しかし、業界の賃上げ率と勤め先の賃上げ率が同じとは限りません。あくまで対象企業の平均値ですので、同じ業界でも公表されている賃上げ率より低いケースもあるでしょう。
収入を上げたいときは、資格を取得したり自身の評価を上げたりして、手当や昇給につなげる必要があります。また、現在の会社で働きにくいと感じているときは転職も視野に入れておきましょう。
出典
厚生労働省 令和6年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況を公表します 第1表
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
