更新日: 2020.04.06 遺言書
せっかくの遺言書がただの手紙に…遺言書が無効になってしまう6つのケース
内容によっては残された遺族の人生を大きく変化させることも珍しくありません。それだけに、遺言書はその成立要件が民法によって厳密に定められています。
そこで、間違った作成方法によって遺言書が無効となってしまわないよう、遺言書が無効となってしまうケースを6つご紹介します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
ケース1:自筆証書遺言をパソコンや代筆によって作成してしまった
自筆証書遺言は遺言をする人自身が自筆で作成しなければなりません。仮に一部分であっても他人の代筆や、印刷によって作成されている部分があれば、遺言全体が無効となってしまいます。
ケース2:自筆証書遺言の押印が抜けている
押印のされていない自筆証書遺言は無効となります。また、遺言書の内容を変更した場合には、変更箇所にも押印が必要となります。
ただし、本文中の押印が抜けているものの、契印はきちんとなされており、かつ、その他の要件が満たされているのであれば、自筆証書遺言として有効とされることもあります。
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ケース3:自筆証書遺言に日付がない、または日付の特定ができない
自筆証書遺言では、複数の遺言書が出てきた場合を想定し、日付を自署することが要件とされています。日付の記載のない自筆証書遺言は無効となります。
また、日付の記載があったとしても「吉日」のような記載の仕方では具体的な日にちの特定ができないため、日付として認められません。
逆に、「平成〇年海の日」や「私、××の〇回目の誕生日」といったように、特定の一日だと確実に証明できるような記載方法であれば日付だと認められます。
ケース4:遺言者に遺言能力が欠けていた
自筆証書遺言に限った話ではありませんが、遺言の作成には遺言能力が必要とされています。以下の要件に当てはまる人が作成した遺言は、遺言能力を欠くことを理由に無効な遺言として扱われます。
・遺言の作成時において年齢が15歳に達しない者
・成年被後見人(事理を弁識する能力が回復し、かつ2名以上の医師の立ち合いがあった場合を除く)
ケース5:公正証書遺言の証人がその資格を欠いていた
公正証書遺言の作成には証人2人以上の立ち合いが必要とされています。万が一、立ち会った証人のうち1人が証人たる資格を欠いており、2名以上の証人という要件を満たせなかった場合、その公正証書遺言は無効となります。
ちなみに、民法において下記に掲げる者は証人としての資格を欠くとされています。
・未成年者
・推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
・公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
ケース6:秘密証書遺言としての要件を満たしていない
秘密証書遺言は証人だけでなく、公証人も必要となるなどの要件が定められています。当然、その要件をすべて満たしていなければ無効となります。ただし、無効となった遺言が自筆証書遺言としての要件を満たしているのであれば、その遺言は自筆証書遺言として有効となります。
遺言の作成には細心の注意が必要です!
今回は遺言が無効となってしまう6つのパターンについてご紹介しました。しかし、それらすべてに該当していないからと安心してはいけません。遺言が無効とされてしまうパターンは他にも存在しているからです。
大切な遺言が無効となってしまうことのないよう、遺言の作成と取り扱いには細心の注意を払うようにしてください。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー