更新日: 2019.06.28 その他相続
あれ?あの人は親族? 民法上の親族の範囲はどこからどこ
今回は民法上における親族の範囲について解説します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
民法上における親族の範囲は?
一般的に親族とは、血縁や婚姻などにより発生した関係を指して、使われることが多いでしょう。
そのため、親族の範囲は非常に広くとられる傾向があり、一度も会ったことのない親族が存在しているという人も珍しくありません。
しかし、民法においては次のようにごく限られた、狭い範囲の関係についてのみ親族と定義しています。
民法725条(親族の範囲)
次の掲げる者は、親族とする。
一 六親等内の血族
二 配偶者
三 三親等以内の姻族
上記のように民法では3つの領域に該当する場合を、「親族」としていますが、どれも聞きなれない言葉ばかりだと思います。
では上記3つの親族の範囲について順に確認していきます。
親等(しんとう)とは?
まず、本題に入る前に「親等」という言葉の意味を確認しておきましょう。
親等とは、簡単に言うと親族間の距離です。一親等のように数字が小さいほど近い親族であり、六親等のように数字が大きいほど遠い親族となります。親等の数え方は一度、同一の祖先にさかのぼり、その後、対象の人物に下るまでの世代数によって数えます。
例として、二親等である兄弟姉妹の親等について考えてみましょう。
まず、同一の祖先は両親ですので、両親までさかのぼります(この時点で一親等、つまり両親は一親等です)。次に両親から兄弟姉妹本人まで下ります。すると、兄弟姉妹本人にたどり着くまでに「自分⇒両親⇒兄弟姉妹」と、2回移動しています。そのため兄弟姉妹は二親等であると言えるのです。
では、この基礎知識をもとに本題に入っていきましょう。
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六親等内の血族(けつぞく)
まず、「血族」という言葉の意味から確認していきます。
血族とは「法において、血縁のつながりのあるとみなされる関係にある者のこと」を指します。
ここでは「法において」という部分が重要になります。言い換えると、生物学上の血縁があっても、法的視点から血縁が認められなければ、血族にならないということなのです。
血族には「自然血族」と「法定血族」があります。
「自然血族」とは基本的に生物学的に血縁関係にあるもの同士がこれに該当します。具体的に言えば親や子、従兄弟などがこれに該当します。逆に、生物学的に血縁関係にあっても、父親から認知されていない子は、法的視点からは血縁が認められていないため、これに該当しません。
それに対し、「法定血族」とは法律によって作り出される血族関係を指します。具体例としては、養子がこれに該当します。
つまり、六親等内の血族とは、生物学的に血のつながりがあるか否かに関係なく、法律において血縁関係があるとされ、かつ、六親等内にある人を指すのです。
配偶者
配偶者とは法律上の婚姻関係にある者を指します。
夫から見た妻、妻から見た夫は配偶者として親族となります。
ただし、法律上婚姻関係にない、内縁の夫や妻は親族として認められません。また、配偶者は配偶者に対し、親等はありません。いわば0親等と考えてもらって結構です。
三親等以内の姻族(いんぞく)
「姻族」とは配偶者の血族のことを指します。
しかし、法律上親族と認められる姻族は三親等までです。つまり、配偶者の親(一親等)や兄弟姉妹(二親等)は親族にあたりますが、配偶者の兄弟姉妹の孫(四親等)は民法上の親族ではないということになるのです。
また、内縁の夫や妻は法律上、配偶者として認められないこととの関係上、内縁の夫や妻の血族は親族とはなりえません。
民法上親族の範囲は厳格に定められています
民法において、親族と定義される範囲についてご説明しましたが、いかがでしたか。
世間一般で言われる親族と、民法上における親族の範囲は異なります。今一度、親族の範囲について確認しておきましょう。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士