最終更新日:2019.06.13 公開日:2019.06.05
相続

「名義預金」は要注意! 税務署が調査で鋭く追及

かわいい子どもや孫のために、少しでも役に立とうと、コツコツと子どもや孫の名義で貯めてきたお金。扱い方を間違えると、相続の際にとんでもないことになります。税務署が相続税に関する税務調査をする際に、最も注意して調べ上げます。
 
黒木達也

執筆者:

執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

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黒木達也

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執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

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孫の名義で金融機関にお金を預ける

名義預金とは、預金口座の名義人と実際に預金をしている人が異なる預金のことをいいます。本人ではなく、配偶者や子ども、さらに孫の名前で金融機関へお金を預けることです。
 
親族名義で預金をすることで、自分に万が一の事態が起きたとき、親族が困らないようにという配慮、さらに相続財産の減額になると考え、かなりの金額を名義預金で持っている人もいるようです。
 
とくに孫などは、本人に通帳を渡すとすぐに使ってしまうこともあるとの配慮から、孫名義の通帳・届け出印を、そのまま保管するケースが多くあります。
 
しかし、子どもや孫など親族名義の預金通帳を名義人に渡さず管理し、それが相続発生時点で明らかになると、通帳の名義人の相続財産にカウントされ、相続税の課税対象になります。
 
確かに通帳の金額が10万円、20万円程度であれば、それほど大きな問題にはならないと思います。しかし、10歳くらいの小学生の預金通帳に500万円、1000万円ある場合や、専業主婦に5千万円超の定期預金がある場合には問題になります。
 
明らかに相続財産として評価され、相続税の課税対象になります。最近では税務署も、相続税の納税の際に名義預金を厳しくチェックしています。
 

こんな名義預金が問題となる

名義預金の代表例は、すでに紹介している子どもや孫に内緒で行っている他人名義の預金です。親や祖父母が子ども名義の口座をつくり、通帳を管理し入金・出金を行っていると、その預金は子どもの財産と主張できません。
 
子どもが親類などからもらったお年玉や通常の小遣いの残りを、子どもに持たせると使ってしまうので、親や祖父母が預かり子ども名義の通帳に入金していると、このお金も同様に名義預金になります。
 
常識の範囲内の金額を口座に入れ、できれば本人に通帳を持たせ出入金を管理させることが賢明です。
 
専業主婦の高額預金も調査対象になります。社会通念上の「へそくり」は問題がないとしても、専業主婦は実際の収入はそれほど高くないため、「へそくり」の金額が多くなると、出どころは夫の収入と判断され、相続財産の対象になります。
 
亡くなった夫が将来を考え、妻名義で多額の預金をしていた場合も同様です。当人同士は軽い贈与のつもりだったとしても、正確な契約書がない限り追及の対象になります。
 
収入のある子どもが同居し、生活費を入れている場合も工夫が必要です。親が受け取った生活費を子ども名義で預金を続け、金額が多くなると問題です。
 
とくに親が子どもに気づかれないように相当金額を内緒で預金している場合、税務署に把握されると名義預金と評価されます。親が内緒にせずに、通帳を共同で管理する必要があります。
 
共働きで夫婦双方に収入があり、二人で共同の口座にしていると、これも場合により追及の対象になります。
 
多少面倒でも、それぞれの口座をつくり、何をどちらの口座から引き出すかを決めておくと安心です。とくに現役世代のときに、どちらかが亡くなるような事態に備えておく必要があります。
 
税務署から名義預金では、との指摘を受けないためには、(1)贈与を受けた本人が通帳は管理し出入金もする、(2)金額が多い場合は贈与契約書など贈与を立証できるような書類をつくる、(3)贈与税の限度額110万円を超える贈与も行い少額でも贈与税を払う、といった対応方法が望まれます。
 

資産総額の多い人が調査対象だったが

これまでの税務調査は、少額の相続税納付者を詳しく調べ上げるケースは、実際にはそれほど多くはありませんでした。
 
税務調査にも人件費を含め、それなりのコストと人員がかかるからです。相続財産の合計額が数億円以上ならまだしも、4~5千万円クラスの人までを対象に詳しく調べることは、あまり出来なかったはずです。
 
税務署は、通常提出される確定申告書などから、多額納税者を中心に個人の資産総額をかなりの程度把握しています。
 
とくに多額の資産を保有する人が亡くなると、相続税の申告内容をもとに、集中的に税務調査を進めてきました。自宅へ出向き名義預金を含め徹底的に調べます。あくまで資産を多く保有している人が、この調査の主たる対象です。
 
相続財産が4~5千万円と推測される人については、サンプリングで税務調査の対象になっても、よほどの不自然さがないかぎり、申告通りに認められていたと思われます。
 
明らかに納税対象と思われる人が、無申告など悪質なケースは別として、多少の名義預金は申告漏れになっても、捕捉されないケースも多かったと思われます。
 

マイナンバーが預金口座とリンクする

ところが2021年以降、金融機関の預金口座情報とマイナンバー制度(社会保障・税番号制度)とのリンク化が実現する予定です。
 
すでに証券口座とはマイナンバーがかなりリンクされていますが、預金口座にも実施されます。こうなると、個人の預金情報が税務当局にすべて把握され、現在とは状況が一変します。
 
当初は口座開設や定期預金の書き換え時にマイナンバーの提出を求められますが、その範囲は拡大します。そのため預金額の捕捉を恐れ、金融機関に対しマイナンバーの提出を拒む人や、預金を引き出しタンス預金で持つ人が増える可能性があります。
 
しかし、このリンク化の実現で、税務署は多大なコストと労力をかけて調べ上げる必要がなくなり、容易に個人の預金情報が把握できます。簡単に名義預金が洗い出され、隠し通せなくなってきます。
 
これまで見逃されることもあった、虚偽の相続税申告や無申告は出来なくなります。それどころか、場合によっては本来の相続税に加えて、無申告加算税や重加算税まで取られる事態も考えられます。
 
執筆者:黒木達也(くろき たつや)
経済ジャーナリスト
 

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