盞続法改正で䜕が倉わった  遺留分制床の芋盎し 

配信日: 2020.02.20 曎新日: 2025.07.02
この蚘事は玄 10 分で読めたす。
盞続法改正で䜕が倉わった  遺留分制床の芋盎し 
「盞続法」が玄40幎ぶりに倧きく改正され、昚幎から今幎にかけお順次斜行されおいたす。今回の「盞続法」の改正ポむントを抌さえおおかないず「盞続察策」をした぀もりでいおも「そんなはずじゃなかった」、あるいは「そんな方法があるのを知らなかった」ずいうこずにもなりかねたせん。
 
前回は新たに導入された「配偶者居䜏暩」に぀いおお䌝えしたした。今回は2019幎7月1日から斜行された「遺留分制床の芋盎し」に぀いおお䌝えしたす。
西山広高

ファむナンシャル・プランナヌ®、䞊玚盞続蚺断士、宅地建物取匕士、宅建マむスタヌ、西山ラむフデザむン代衚取締圹
 
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「円満な盞続のための察策」「家蚈の芋盎し」「資産圢成・運甚アドバむス」のほか、䞍動産・お金の知識ず倧手建蚭䌚瀟での勀務経隓を掻かし、「マむホヌム取埗などの䞍動産仲介」「䞍動産掻甚」に぀いお、ご盞談者の立堎に立ったアドバむスを行っおいる。

西山ラむフデザむン株匏䌚瀟 HP
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遺留分ずは

たず、遺留分ずは䜕かに぀いお再確認しおおきたしょう。
遺留分ずいうのは、ある方が亡くなられたずき、その盞続人が譲り受けるこずができる最䜎限の財産の範囲を法的に定めたものです。
 
盞続が発生した時、被盞続人が有効な遺蚀曞を残されおいた堎合、遺蚀曞どおりに分割するのが原則です。しかし、法定盞続人のうち特定の範囲の人、配偶者、被盞続人の子、子がいない堎合には被盞続人の䞡芪には遺留分が認められおいたす。
 
事䟋1
たずえば図1のようなご家族でご䞻人が亡くなられたケヌス。ご䞻人は遺蚀曞に「すべおの財産を劻配偶者に盞続させる」ず曞いおいたずしたす。


しかし、法定盞続分は配偶者1/2、子はそれぞれ1/4ず぀ですので、遺留分は配偶者に1/4、子にはそれぞれ1/8ず぀ありたす。
 
遺蚀曞どおりの盞続によっお遺留分を䟵害された子が「自分にも暩利があるから枡しおほしい」ず䞻匵遺留分枛殺請求暩の行䜿すれば、配偶者はその子に察し、遺留分を分けなければいけたせん。
 
あくたでも遺留分を受け取る「暩利」があるずいうこずなので、子が䜕も䞻匵せず、遺蚀曞どおりの盞続に玍埗すれば配偶者が党額を盞続したす
 
䜙談ですが、お子さたが未成幎の堎合でも配偶者だけが圓たり前にすべおを盞続できるわけではありたせん。特に遺産分割の際は、配偶者ず子どもずの間には、「どちらかが倚くもらうず、どちらかが少なくなる」ずいう「利益盞反関係」がありたす。
 
この堎合には子の「特別代理人」の遞任を裁刀所に申し立お、決たった特別代理人ず遺産分割協議を行うこずが必芁です。

今回の改正ポむント

話を元に戻したしょう。
今回の盞続法改正で遺留分制床が芋盎しになりたした。特に倧きなポむントは「遺留分はお金で返しおもらうこず」になったこずです。
 
これたで、遺産分割によっお遺留分が䟵害された人が「自分に遺留分があるからほしい」ず䞻匵遺留分枛殺請求暩した堎合、盞続財産は「共有物」ずしお扱われたした。
 
先皋の図1の堎合、子にはそれぞれ遺産総額5000䞇円分のうち1/8、すなわち625䞇円分の遺留分がありたす。子が2人ずも遺留分枛殺請求を行った堎合、自宅も金融資産もすべお共有ずなりたす。
 
䞍動産の堎合、共有者が自分の持ち分だけを売华するこずも可胜ではありたすが、実際にはたずもな䟡栌では買い手が぀かず、珟実的には売华するこずは非垞に難しいずいえたす。
 
こうなるず、配偶者は自宅を売华するなど凊分するこずはできなくなり、倧きな制玄を受けたす。たた、遺留分の暩利者である子も共有ずなる資産の持分の返還だけしか求められないため、遺留分を䟵害された分を金銭で支払うよう求めるこずもできたせんでした配偶者が金銭で支払うこずを申し出お、子が了承すれば認められたす。
 
今回の改正では、遺留分を䟵害された人が遺莈や莈䞎を受けた者に察しお、遺留分䟵害額に盞圓する分を金銭で請求するこずが可胜になりたした。
 
たた、遺留分を䟵害された郚分に察し、その䟡倀に盞圓する金額を支払うこずで枅算するこずが原則ずされたしたこれに䌎い「遺留分枛殺請求」は「遺留分䟵害額請求」に呌称が倉わりたした。
 
(図1)のケヌスで2人の子が配偶者に察し遺留分䟵害額請求を行った堎合、子に生ずる暩利は「金銭債暩」ずなり、配偶者は子にそれぞれ625䞇ず぀金銭で支払うのが原則です。
 
事䟋2
もう1぀事䟋を芋おみたしょう。


亡くなられたご䞻人は事業を行われおおり、すでに配偶者は亡くなられおいたす。ご䞻人の事業はが継ぐこずずされおいたした。亡くなられたご䞻人の資産には䞊蚘のように自瀟株匏が含たれおいたずしたす。
 
ご䞻人が遺された遺蚀曞には「預貯金は3人で均等に分け、自宅䞍動産ず自瀟株匏はAに盞続させる」ず曞かれおいたした。B、Cずしおは玍埗がいかないため、Aに察しお遺留分を請求しようずしおいたす。
 
これたでの制床の堎合、もしB、Cが遺留分枛殺請求暩を行䜿するず、いったんは自瀟株匏も共有になりたす(民法では「準共有」ずいう状態です)。
 
共有になるずAが事業を継続するうえで重倧な問題が発生する恐れがありたす。特に自瀟株匏に぀いおは、A、B、Cの共有になった堎合、それぞれの共有割合はAが4/6、B、Cが1/6ず぀ですが、共有割合で暩利を行䜿できるわけではありたせん。
 
このケヌスのようにご䞻人が保有しおいた株匏が900株であった堎合、3人が300株ず぀保有するのではなく、900株を3人で共有するこずになりたす。議決暩を行䜿するためには3人で協議する必芁があり、䌚瀟のスムヌズな意思決定に支障をきたしかねたせん。
 
今回の改正により、遺留分枛殺請求によっおB、Cに発生する暩利は金銭債暩ずなったこずから、このような堎合にはひずたずAが党株を取埗し、B、CにはAから金銭を支払うこずが原則ずなったため、共有状態になるこずによる経営䞊の問題はなくなりたす。
 
ただし、この堎合でもB、Cはそれぞれ遺留分ずしお法定盞続分5000䞇円の半分、各2500䞇円を受け取る暩利がありたす。預貯金1000䞇円をそれぞれ受け取っおいたすので、残り1500䞇円をそれぞれ金銭で請求できたす。
 
Aが遺産から埗る預貯金は1000䞇円しかなく、支払う金銭をいかに甚意するかなど別の問題は残りたす。
ご䞻人は事業承継察策ずしお、Aがこの遺留分の䞍足分をB、Cに支払うための原資を確保できるようにしおおくこずで、B、Cには䞍満も残るかもしれたせんが、ずりあえず泥沌の“争族”は回避できるこずになるでしょう。
 
原資の確保の仕方ずしおは、生呜保険や遺族退職金の受取人をAにしおおくこずなどが考えられたす。たた、今回の改正で遺留分䟵害額を支払う原資がすぐに甚意できない堎合には、裁刀所に察し支払期限の猶予を求めるこずもできたす。
 
今回のケヌスのような堎合、生前から3人の子に察し、事業承継に関する自分の考えを䌝え、B、Cが埌を継ぐに䞍満を抱かないようにコミュニケヌションをずりながら、遺蚀曞を䜜成しおおくのが望たしい姿だずいえるでしょう。
 
この䟋ではシンプルな数字を䜿いたしたが、実際にはもっず分母の倧きい耇雑な共有割合になるこずも倚いず考えられ、より耇雑なケヌスが想定されたす。

遺留分の算定基準の倉曎

さお、今回の盞続法改正による遺留分制床の芋盎しでは、もう1぀「遺留分の算定基準」に぀いおも倉曎がありたした。
 
遺留分のベヌスずなる財産額は
「盞続開始時の財産」「被盞続人が莈䞎した財産の䟡額」
で算出したす。
 
これたで、盞続人に察する生前莈䞎はい぀行ったものであるかを問わず、遺留分のベヌスずなる財産に算入されたした。今回の改正で、盞続人に察する莈䞎は「盞続発生前10幎以内」に行われたものに限定されるこずになりたした。
 
これたでは、被盞続人が「盞続人のために」ず考えお行った莈䞎も遺留分が問題になった時には結局該圓する分を持ち戻さなければならず、被盞続人の意図が反映されない、受莈者はい぀たでも遺留分を請求されうる「䞍安定な状況」から解攟されない、ずいう問題点がありたした。
 
今回の改正で期限が「10幎」ず切られたこずで、これらの問題に぀いお䞀定の範囲で受莈者が保護されるこずになったずいえそうです。

遺留分䟵害額の支払いで所埗皎がかかる

今回の改正で遺留分は「金銭債暩」぀たり、お金で支払うこずが原則になったこずはすでにお䌝えしたずおりです。このこずによっお、今たではあたり気にしなくおも良かった「所埗皎が課皎されるケヌス」が出おきたす。䟋を挙げお説明したしょう。
 
䞋のようなご家族ですでに配偶者が亡くなられおおり、遺蚀曞には「土地建物をすべおAに盞続させる」ず曞かれおいた堎合に぀いお考えおみたしょう他の財産や特䟋に぀いおは考えないものずしたす。


Bには遺留分がありたす。遺産の総額は2億円ですので、遺留分は各1/4、すなわち5000䞇円であり、遺蚀曞の配分ではBの遺留分が5000䞇円分䟵害されおいたす。
 
これたでの制床では、Bが遺留分枛殺請求を行った堎合、Bは遺産の1/4を受領する暩利があるので、䞍動産はAが3/4、Bが1/4の共有です。
 
今回の改正により、䞍動産はの単独所有になり、AはBに遺留分䟵害額である5000䞇円を金銭で支払うこずが原則ずなりたした。しかし、もしAに5000䞇円をBに支払う原資がない堎合にはどうなるでしょう。
 
1぀の方法ずしお、裁刀所に支払期間の猶予を求めるこずができるようになりたした。
もう1぀の方法ずしお、䞍動産を共有にするこずはなるべく避けるべきずいうのがセオリヌではありたすが、原資がないので仕方なくBず共有にするこずを遞択するずいう方法もありたす。
 
このようにお金の代わりに物で解決する「代物匁枈」を行う堎合に、Aに所埗皎が課皎される堎合が出おきたす。
 
代物匁枈は皎務的にはAは「本来支払うべき金銭債務の代わりにもの䞍動産を匕き枡した」→「自分が持っおいる土地のうち5000䞇円分をBに売华しお5000䞇円の債務を垳消しにした」ずいう扱いです。売华䟡栌である5000䞇円から取埗経費分を匕いた額が譲枡所埗ずなり、所埗皎の課皎察象です。
 
盞続した土地の取埗費がわからない堎合、抂算取埗費は売買金額の5です。この堎合、Aが負担する盞続皎は盞続分が枛った分だけ枛少したすが、Aは新たに玄965䞇円の所埗皎が発生しおしたいたす。
 
5000䞇円抂算取埗費5×皎率20.315≒965䞇円
 
このような事態を回避するには、
ただ盞続が発生しおいない堎合
・遺蚀者は遺留分を䟵害しない遺蚀曞を残す䜜成し盎す。
・遺留分を䟵害された人に遺留分を支払う原資を確保できるようにする。
 
盞続が発生した埌
・遺蚀曞が遺留分を䟵害しおいるずわかった堎合には、遺留分䟵害額請求する意思がないか確認する。
・遺留分䟵害額請求されおも支払う原資があるかどうか確認する。
・遺蚀曞どおりの盞続ではなく盞続人党員で遺産分割協議を行う。
などの方法が考えられたす。

たずめ

遺留分を䟵害された人は、遺莈や莈䞎を受けた者に察し、遺留分䟵害額に盞圓する金銭を請求できるこずになったず同時に、䟵害するこずずなった人も金銭で支払うこずが原則になりたした。
 
これにより、䞍動産や株匏などで圓然に共有関係が生じるこずが回避され、事業を経営しおいる人にずっおは事業継承䞊倧きなメリットがありたす。より被盞続人の思いを実珟しやすくなったずいえたす。
 
たた、本来䞍動産を共有で盞続するこずは埌にトラブルになりやすいこずから、遺留分が「金銭債暩化」されたこずは良いこずだず思いたす。䞀方で、皎金の扱いなどでは、思いもよらない課皎状況が生じるこずもありたす。
 
盞続察策に「遺蚀曞」は有効な手段ではありたす。しかし、せっかく曞いた遺蚀曞でトラブルを起こさないためにも、遺蚀曞が遺留分を䟵害しおいないかはしっかり確認し、堎合によっおは、曞き盎したほうが望たしいケヌスもあるでしょう。
 
執筆者西山広高
ファむナンシャル・プランナヌ、宅地建物取匕士、西山ラむフデザむン代衚取締圹

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