更新日: 2021.05.12 相続

お金を貸していた友人が亡くなった。誰に返してもらえばいいの?

執筆者 : 宿輪德幸

お金を貸していた友人が亡くなった。誰に返してもらえばいいの?
「お金を貸していた独身の友人が亡くなりました。返すだけの財産は十分にあるはずなのですが、誰に返してもらえばいいでしょうか」
 
62歳男性のご相談です。債務者が亡くなったときの債権回収は、相続人がいる場合には相続人に請求できますが、相続人がいない場合は大変です。
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宿輪德幸

執筆者:

執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)

CFP(R)認定者、行政書士

宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
相続専門の行政書士、FP事務所です。書類の作成だけでなく、FPの知識を生かしトータルなアドバイスをご提供。特に資産活用、相続トラブル予防のため積極的に「民事信託(家族信託)」を取り扱い、長崎県では先駆的存在となっている。
また、離れて住む親御さんの認知症対策、相続対策をご心配の方のために、Web会議室を設置。
資料を画面共有しながら納得がいくまでの面談で、納得のGOALを目指します。
地域の皆様のかかりつけ法律家を目指し奮闘中!!
https://www.shukuwa.com/

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借金は相続財産

人が亡くなると、その財産は相続人に引き継がれます。財産というのは、預貯金や不動産のようなプラスの財産もありますが、借金のようなマイナスの財産もあり、その全てが引き継がれます。プラスの財産だけ相続するとか、マイナスの財産だけ放棄するということはできません。
 

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借金は遺産分割の対象外

亡くなった方の残した財産(遺産)は、遺言がない場合には相続人が協議(遺産分割協議)をして誰が取得するかを決めますが、マイナスの財産は遺産分割の対象ではありません。
 
例えば、支払い能力のない相続人に借金を負わせるような遺産分割協議が有効になれば、債権者は回収が困難になってしまいます。
 
マイナスの財産は、法定相続分で相続されることになっています。債権者は、相続人の法定相続分の割合で請求ができます。実際には、相続人が債務を清算した後、残りの遺産について協議を行い分割することが多いです。亡くなった方にお金を貸していた場合には、早めにその旨を相続人に通知して、支払いを受けるようにしましょう。
  

相続人がいない場合とは

相続人がいないというのはどういうことでしょうか。
 
●50歳時の未婚割合の推移


出典:厚生労働省 「平成29年版 厚生労働白書 -社会保障と経済成長-」(図表1-1-2 50歳時の未婚割合の推移)
 
例えば亡くなったとき、直系尊属(親や祖父母)はすでに亡くなり、兄弟姉妹がなく、配偶者・子もいない場合には、法定相続人は存在しません。50歳時未婚割合は上図のように増えていますので、今後相続人がいないという状況も増えていくのは確実です。
 
戸籍上相続人がいても、相続欠格・廃除で相続の権利が失われていたり、相続放棄により相続人がいなくなることもあります。
 
人が亡くなり、その財産を承継する相続人がいないとなると、所有者がいない財産は「法人」として扱われて処分を待つことになります。
 
また、遺言で財産の全てを取得した包括受遺者がいる場合には、包括受遺者に相続人と同一の権利義務がありますので、その人に債務も引き継がれます。この場合には、包括受遺者に請求できることになります。
 

相続人不在の債権回収手続き

(1)相続財産管理人の選任を申し立てる

申し立ては、利害関係人または検察官ができます。お金を貸していた(債権者)は、利害関係人になりますので、申し立てをすることができます。
 

申し立ての際には、

・法定相続人がいないことを確定できるだけの戸籍類
・亡くなった方の住民票除票
・財産を証明する資料
・申立人の利害関係を証明する資料(金銭消費貸借契約書等)
・相続関係図

 
などを添付書類として用意しなければなりません。
 
・予納金
申し立てを受けた家庭裁判所は、公告や管理人の報酬に充てるため50万円から100万円を予納金として納めさせることが一般的で、申立人が支払います。

 

(2)相続財産管理人選任後

家庭裁判所は、要件が満たされていれば相続財産管理人を選任します。
 

●裁判所は相続財産管理人を選任し、公告
●相続財産管理人は、債権者・受遺者に請求申出をするよう公告

 
債権者は、請求申出期間内に相続財産管理人に請求を申し出します。相続財産管理人は、請求申出期間後に相続財産から弁済します。これでやっと貸していたお金が返ってくることになります。
 
相続財産管理人はその後「相続人捜索の公告」などを行い、それでも相続人や特別縁故者が現れない場合、残余財産を国庫に引き継いで任務終了となります。
 


※筆者作成
 
相続人がいない場合の債権回収は、お金と時間がかかることを覚悟してやらないといけません。
 
出典
厚生労働省  「平成29年版 厚生労働白書 -社会保障と経済成長-」(図表1-1-2 50歳時の未婚割合の推移)
 
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士