空き家問題の解決策になる!? 亡くなった親族の空き家を売却した場合の特例とは?

配信日: 2021.05.24

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空き家問題の解決策になる!? 亡くなった親族の空き家を売却した場合の特例とは?
空き家問題が叫ばれる昨今、国や自治体は空き家対策に乗り出し、相談窓口を設けるだけでなく金銭的にサポートする諸制度なども創設されています。
 
今回はその空き家対策制度の1つである、被相続人が居住用にしていた空き家を売ったときの特例について解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例とは?

空き家は日本の社会に悪影響を及ぼします。犯罪に利用されたり、老朽化した建物が倒壊して周囲に被害を及ぼしたり、街の景観を悪化させるなど、その存在は百害あって一利なしです。
 
また、近年では空き家が火事になったり、強風で空き家の一部が飛来し、周囲の物や人に被害を及ぼすと空き家の現在の所有者やその相続人が責任を問われ、所有者などが途方に暮れてしまうという事件も起こっています。
 
そういった事件を防ぐため、国は被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例(以下、本特例といいます)を創設し、空き家の減少を目指しています。
 
本特例の概要としては、相続または遺贈により被相続人(亡くなった方)が住んでいた家やその敷地を取得した場合、その家などを令和5年までの間に売るなど一定の要件に当てはまる場合、その売却利益となる金額について最大3000万円まで税金がかからないというものになります。
 
要は、親や祖父母、兄弟姉妹から相続した家やその敷地の土地を売っても、利益の額が3000万円未満なら税金がかからないというものです。
 

具体的にどのような土地や建物が対象となる?

本特例の対象となる建物は主に次のような条件を満たすことが必要です。
 

●相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた
●昭和56年5月31日以前に建築されていること
●区分所有建築物(マンションなど)以外であること
●相続の開始直前において被相続人以外居住していない
●相続のときから譲渡のときまで事業や賃貸、居住に使われていない
●現在の耐震基準に適合すること

 
なお、本特例は該当する建物が建っている土地部分も対象となりますが、実際に本特例を適用するにあたっては、建物部分、土地部分共に別途詳細な要件が定められています。詳細については個別具体的な事情も加味されるため、必ず税務署へお問い合わせください。
 

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用は難しいのが現状

先に挙げた要件を読むだけでも、本特例の適用は難しいことがお分かりでしょう。実務においても、本特例の適用ができそうでできなかったということもままあります。むしろ、本特例の適用を受けようと躍起になって損をしてしまうこともあります。
 
例えば、現在の耐震基準に適合させるためにリフォームしたものの、買い手が見つからないといった場合です。
 
そのため、本特例については無理に利用するのではなく、税務署や専門家から意見をうかがい、難しいと判断されたら、いっそさら地として有効利用したり、賃貸に出すなど幅広い観点から空き家としないよう対応を探る方が賢明です。
 
また、古い建物の場合、売却費や建物の現在の価値などとの関係上、本特例を用いなくとも税金が0となることもよくあります。そのため、家を売る際はまず、税務署や専門家に相談して税金が発生するか確認した上で、どうしたら一番有効活用できるかを判断していくべきでしょう。
 

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被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例を受けるための手続きは?

本特例の適用を受けるには、一定の書類を添え、土地や建物を売却した翌年に確定申告することが必要です。確定申告は例年1月中旬から3月中旬の期間にすることとされています。添付する必要のある書類は個別の事情によって異なることがある上、市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」など、普段目にしない書類が必要になります。
 
そのため、この特例制度を利用しようと思っている方は事前に税務署へ相談し、確定申告に必要となる書類を早めに準備しておくべきです。
 

亡くなった方が所有していた不動産を売却する際は税務署に相談を

不動産の売却と税金は密接に関係しています。知らなかったが故に損をしてしまったり、逆に知っていたからこそ得をするということも往々にしてあります。そこに相続も絡むとなればなおのことです。
 
不動産、特に亡くなった親族の家やその敷地を売却する場合は早めに税務署や専門家と相談し、税制を踏まえた上で空き家にせず、有効活用できる方法を探っていくとよいでしょう。
 
出典
国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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