更新日: 2021.07.17 その他相続
小規模宅地等の特例は、配偶者居住権に基づく敷地利用権にも適用できる?
この記事では、小規模宅地等の特例や配偶者居住権に基づく敷地利用権について解説します。適用の際の注意点も紹介するので、相続に関する疑問や不安を解決しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ファイナンシャル・プランナー
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サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
目次
小規模宅地等の特例に関する基礎知識
小規模宅地等の特例に対して配偶者居住権に基づく敷地利用権が適用できるか考えていくには、まず小規模宅地等の特例や、配偶者居住権を知る必要があります。
しかし、こうした相続に関する制度はなかなか知るきっかけがなく、よく分からない人も多いでしょう。そこでまずは、制度の基本について解説します。小規模宅地等の特例を使いたい人はぜひ最初に確認してください。
小規模宅地等の特例とは?
小規模宅地等の特例とは、被相続人(亡くなった人)が使っていた住居や事業所など、「特定事業用宅地等」「特定同族会社事業用宅地等」「特定居住用宅地等及び貸付事業用宅地等」のいずれかを相続する場合、80%または50%不動産の評価額を減らす制度です。
評価額が減ることで、大きな減税になります。特定居住用宅地等の場合、配偶者であれば、居住要件、所有要件なしで小規模宅地等の特例を使うことが可能です。
配偶者居住権とは?
配偶者居住権とは、配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に住んでいた場合、終身または一定期間その家に住み続けることができる権利です。
配偶者居住権は相続が発生したときも配偶者が住む家に困らないよう作られた制度で、遺言や遺産分割協議で権利を定めます。そして、登記を済ませることで配偶者はいま住んでいる家に一定期間住むことが可能になるのです。
敷地利用権とは?
敷地利用権とは、ビルやマンションの1室など、区分所有者が持つ特定の敷地を利用する権利です。そして、配偶者居住権に基づく敷地利用権とは、配偶者居住権を使い住んでいる住宅の敷地を利用する権利です。
小規模宅地等の特例は敷地利用権に適用できる
小規模宅地等の特例は土地に関する権利であるため、本来建物について設定された配偶者居住権に適用できません。しかし、建物と敷地は一体になっているため、配偶者居住権に基づく敷地利用権であれば適用は可能です。
そのため、配偶者居住権が設定された住居であっても小規模宅地等の特例を適用し5割または8割程度、評価額を下げることができます。
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敷地利用権を適用する際のポイント
小規模宅地等の特例も、配偶者居住権に基づく敷地利用権も税制に詳しくない人にとっては非常に複雑です。そのため、適用の際にミスをしてしまったり、不利な方法を使ったりしまう可能性は十分あるでしょう。
そこでここからは、以下のとおり小規模宅地等の特例を適用する際のポイント・注意点を解説します。
・上限以上の敷地は適用できない
・所有権を適用する方が有利なこともある
適用を検討する人はぜひ参考にしてください。
上限以上の敷地は適用できない
小規模宅地等の特例には適用上限があるため、上限以上の敷地については評価額を下げることができません。
小規模宅地等の特例が適用できるのは、自宅など居住用に使われていた宅地の場合で最大330平方メートルです。また、減額される割合は80%です。土地を購入した際の資料をしっかりと確認して適用しましょう。
所有権を適用する方が有利なこともある
自宅の敷地が上限を超える場合、敷地利用権ではなく所有権を優先して適用したほうが有利なケースも存在します。
自宅の敷地の所有権は、敷地利用権とは異なる権利です。そのため、小規模宅地等の特例を適用するにあたり、所有権と敷地利用権のどちらを優先するかによって、発生する相続税に違いが出てしまうのです。
詳しい計算については必ず専門家に相談し、有利な方で手続きを進めるよう意識しましょう。
小規模宅地等の特例について不明な点は専門家へ
小規模宅地等の特例や配偶者居住権はかなり複雑な制度です。有料にはなりますが、制度の使い方によって相続税が変わることも多いので、専門家に相談するとよいでしょう。
小規模宅地等の特例は慎重に適用しよう
小規模宅地等の特例は、配偶者居住権に基づく敷地利用権に適用できます。しかし、適用の方法や土地の評価については一般の人が判断するのは難しいです。
自宅の相続が発生し、税金について不明なことがあればまず専門家に相談してみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
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