更新日: 2021.08.03 その他相続

不動産の遺産分割、どのような方法で分ければ良いの?

不動産の遺産分割、どのような方法で分ければ良いの?
相続財産がきれいに割り切れ、複数の相続人がいても分割するだけですむのであれば、相続は比較的トラブルになりにくいかもしれません。しかし、実家のような土地や家屋等の不動産、絵画や骨とう品等の動産の場合、評価方法が異なったり分割方法も何種類かあったりするものは、トラブルになる可能性があります。
 
今回は不動産の遺産分割について見ていきたいと思います。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

そもそも遺産分割とは?

遺産分割(いさんぶんかつ)とは、遺言を残さずに死亡した被相続人の相続財産を相続人が複数いる場合に、誰が何をどれくらい受け取るのかを相続人全員の話し合いによって具体的に分配していくことです。またその話し合いを遺産分割協議と言います。
 

遺産分割の方法は

遺産分割の方法には、現物分割、代償分割、換価分割の方法があります。それに加えて分けない、つまり、共有という大きく分けて4つの方法があります。ちなみに法定相続で分割しても、そうではない場合でも、この4つの方法が遺産分割の基本です。それぞれ見ていきます。
 

1.現物分割

現物分割とは、特定の財産を特定の相続人が取得することを個々に決める方法です。
 
例えば、被相続人の土地・建物をその配偶者が、有価証券を長男が、預貯金は次男がといったような場合です。また土地の場合は相続割合に応じて「分筆(1つの土地を複数の土地にすること)」する方法もあります。
 
メリットとしては、相続手続きが簡単になることが挙げられますが、特に法定相続分で分割する場合、各相続人間の相続分どおりに経済的価値を公平に分割することが難しいというデメリットがあります。
 

2.代償分割

代償分割とは、特定の相続人(多くの場合1人)が、特定の財産(現物)を取得する代わりに、他の相続人には相続割合に応じて代償金を支払う方法です。
 
例えば、1億円の不動産があり、それを配偶者と子ども2人が法定相続分で分けると仮定して配偶者が不動産を相続し、子ども2人にそれぞれ2500万円ずつ代償金を払うといった場合です。
 
代償分割は、不動産を公平に分割でき、代償金が支払われるので相続人同士のトラブルが比較的少ない方法です。また、事業(会社)をやっている場合は、株を後継者が一括で取得して代償分割することが一般的です。
 

3.換価分割

換価分割とは、不動産などの遺産を売却してお金に代えた上で、その金銭を相続人間で分ける方法です。
 
上記と同じ例で見てみましょう。1億円の不動産があり、それを配偶者と子ども2人が法定相続分で分けると仮定し、売却価格1億円、諸経費400万円の場合、残金の9600万円を配偶者4800万円、子ども2人にそれぞれ2400万円を受け取るといった場合です。
 
土地を分割すると価格が下がるような場合は、換価分割を使うことが多いですが、売却を急ぐと安値での売却になる可能性はありますし、思った以上に諸経費が掛かる場合もあるかもしれません。
 

4.共有

共有は、主に土地建物等の不動産を相続人全員で共同所有するいわゆる「分割しない方法」です。相続人間で話し合いがつかない場合や、所在が分からない相続人がいる場合で、取りあえず分けないという選択をすることがあります。
 
共有名義の不動産の場合、1人でもできること、過半数の同意でできること、全員の同意がないとできないこと、があります。表にすると下記のようになります。
 

 
また、これ以外にも共有持分を持っている人が死亡した場合、さらに共有持分が細分化され1つの不動産に何十人もの所有者が出てくるなど、権利関係が複雑になり過ぎるデメリットがあります。
 
このような問題があるので、相続不動産を共有のままにするのはお勧めではありません。特に不動産を相続したら、現物分割、換価分割、代償分割のどれかの方法で分けることをお勧めします。
 

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相続で不動産を取得したら相続登記を

上記の何らかの方法で不動産を取得した場合、今後は相続登記が義務化されます。相続人が少なく不動産も1つで、もめていないのであれば相続人が法務局に行って手続きをするのは比較的容易かもしれません。
 
しかし、そうではない場合は登記申請のためだけではなく、早めに専門家に入ってもらい遺産分割の結論を出さないと時間も費用もかかりますので注意しましょう。
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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