税制改正大綱で、贈与税が変わる? 私たちにどんな影響があるのか教えて!

配信日: 2021.08.10

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税制改正大綱で、贈与税が変わる? 私たちにどんな影響があるのか教えて!
令和3年度から、私たちを取り巻く税の1つである贈与税の一部に変更がなされました。贈与税をはじめ、税制の変化は社会生活に少なからず影響を与えます。令和3年度から適用される贈与税の変化について、その内容を確認していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

令和3年度から贈与税はどう変わる?

令和3年度から変わる贈与税の内容のうち、目玉となるのは相続と強く結びついている「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」です。
 
これらの制度について、どういった変更があるのか見ていきます。
 

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」とは、令和3年12月31日までの間に、父母や祖父母などから贈与により自己の居住する住宅用の家屋の新築、取得、または増改築などに充てるための金銭を取得した場合、一定の要件を満たすときは最大3000万円(令和2年3月31日までに契約を締結している場合の金額)まで贈与税が非課税となるものです。
 
今回の改正では特に非課税限度額の引き上げと、対象となる住宅の面積要件の緩和について確認したいところです。
 

非課税限度額の引き上げ

令和3年4月1日から令和3年12月31日までに住宅用家屋の新築、取得、増改築などの契約をした場合、非課税限度額が令和2年4月1日から令和3年3月31日までの間の水準と同額まで引き上げられています。

非課税限度額(耐震、省エネまたはバリアフリーの住宅用家屋の場合) 非課税限度額(左記以外の場合)
消費税等の税率10%が適用される住宅用家屋の新築、取得、増改築など 1500万円(改正前:1200万円) 1000万円(改正前:800万円)
上記以外の家屋用住宅の新築、取得、増改築など 1000万円(改正前:800万円) 500万円(改正前:300万円)

※国税庁 「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」より筆者作成
 

床面積要件の緩和

これまでは新築や取得などをした居住用家屋の床面積について、下限が50平方メートル以上と要件が定められていたのですが、令和3年1月1日以降は下限が40平方メートル以上に引き下げられました。
 
ただし、贈与を受けた年の所得税に係る合計所得金額が1000万円以下(床面積40平方メートル以上、50平方メートル未満の場合)という条件があります。
 
なお、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の適用についても、令和3年1月1日以降、床面積の要件の下限が同じく50平方メートルから40平方メートル以上に引き下げられています。
 

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直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税

30歳未満の方が一定の要件の下、父母や祖父母などから学費など教育資金について金融機関の特定の口座から受け取ることで、最大1500万円まで非課税となる「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」を適用できる期間が2年間延長され、令和5年3月31日まで利用できるようになりました。
 
ただし、贈与を受けた方が贈与者の子以外の場合、贈与者が亡くなった際に教育資金として支出されていない部分については相続税の加算対象となるなど、いくつか制約が付いた上での延長となります。
 
なお、本制度は金融機関との連携が必須のため、詳細については金融機関と相談して進めるようにしてください。
 

直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」とは、20歳以上50歳未満の子や孫などが、直系尊属(父母、祖父母など)から結婚や子育てに充てる資金を金融機関の特定口座で受け取ることで、受贈者1人当たり1000万円までは贈与税が非課税となる制度です。
 
こちらについても適用期間が令和5年3月31日までの2年間延長されました。
 
また、令和4年4月1日以降は受贈者の年齢の下限が18歳以上になるなど要件が緩和されますが、教育資金と同じく贈与者の子以外である場合、贈与者が亡くなった際に支出されていない部分については相続税の加算対象となるなど注意が必要です。
 
本制度も金融機関との連携が必須です。詳細については金融機関と相談してください。
 

贈与税は改正の内容を知らないと損をする

税制は毎年改正が行われています。特に贈与税についての改正は、人によっては税額や相続、資産運用のプランなどが大きく変わることもあります。節税に関心があったり、将来贈与をするかもしれないという場合は、今回の税制改正についてしっかりと確認しておくようにしてくだ
 
※2021/08/10 タイトルを修正いたしました
 
出典・参考
財務省 「令和3年度税制改正」(令和3年3月発行)
財務省 令和3年度税制改正の大綱
国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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