更新日: 2021.08.30 相続税

相続法改正の影響とは。遺留分制度を正しく理解しよう

相続法改正の影響とは。遺留分制度を正しく理解しよう
民法では、人が亡くなった場合における、その人の財産の引き継ぎに関する基本的なルールをか定めています。亡くなった人を被相続人とし、民法で相続に関するルールを規定したものが「相続法」です。
 
相続法においては、1980年に改正されて以来初となる大きな見直しがあり、2019年1月から、新しい相続法が段階的に施行されています。今回は相続法改正の影響や、遺留分制度についてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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1980年以来の大幅見直し! 相続法の改正とは?

 
1980年以来の大幅な相続法の改正が行われた背景には、平均寿命が延び、高齢化が進んだ社会状況の変化があります。今回の改正では、社会の変化に対応するために大きく6つの点が見直されました。
 
ここでは相続法改正の影響について見ていきましょう。
 

改正新法の6つのポイント

 
2018年7月に新しく成立した改正法は、次の2種類です。
 

●民法および家事事件手続法の一部を改正する法律:相続法の見直し
●法務局における遺言書の保管等に関する法律:法務局において遺言書を保管するサービスを行うことなど

 
改正新法の6つのポイントは次のとおりです。各改正法の施行日については、ただし書きのあるもの以外は2019年7月1日となっています。
 

 

遺留分とは? 見直しされた遺留分制度

 
遺留分とは、相続人に対して最低限の取り分を確保する制度です。ただし兄弟姉妹には、遺留分の定めはありません。
 
今回の相続税改正の影響で、改正前は「遺留分減殺請求権」を行使していましたが、改正後は「遺留分侵害額請求権」に変わり金銭を請求できるようになりました。
 
ここでは見直しされた遺留分制度について見ていきましょう。
 

改正前「遺留分減殺請求」に見られた問題点

 
改正前・改正後の遺留分請求権の内容は次のとおりです。
 

改正前 改正後
行使する請求権 遺留分減殺請求権 遺留分侵害額請求権
請求の内容 遺留分侵害額に相当する物的権利
(原則、現物返還)
遺留分侵害額に相当する金銭の請求

 
改正前の「遺留分減殺請求権」が行使されると、次のような大きな問題点が生じていました。
 
・土地の共有関係が発生
 
例えば、経営者である父親が亡くなった場合を考えてみましょう。遺言で長男の単独所有となった会社の社屋が、「遺留分減殺請求権」の行使によって長男と長女の複雑な共有状態になり、事業承継の支障になるというデメリットがありました。
 
遺産相続の問題が、家族経営の会社の従業員・取引先・株主などに影響することがあったのです。
 

改正後は金銭請求権に

 
改正法では「遺留分侵害額請求権」を行使して、土地・建物の代わりに金銭を請求できるので、複雑な共有関係を回避できるメリットがあります。
 
遺産が不動産しかなく、被相続人が「長男にすべて相続させる」と遺言した場合、相続法改正によって長女が遺留分を主張しても不動産は共有になりません。長女は長男に対して、遺留分侵害額に相当する金銭のみ請求できるからです。
 
しかし請求された金銭をすぐに用意できないこともあるでしょう。その場合には裁判所に対して、支払期限の猶予を求めることが可能です。
 
なお遺留分侵害額請求権には、時効があります。請求できる期間は、相続開始および遺留分の侵害を知った日から1年以内です。万が一相続開始を知らなかった場合でも、10年経過すると請求権は消滅するので注意しましょう。
 

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改正後も残る問題点と対策とは

 
相続法改正により、不動産の承継者が定まらない問題は解消されます。しかし問題点が完全に消えたわけではありません。遺留分侵害額を用意できなければ、最終的に土地・建物を売却することになるからです。
 
例えば父親が長男への事業承継を実現したい場合には、遺言だけでは十分ではありません。遺留分侵害額請求を見すえて、あらかじめ専門家と相談するなどして対策をしておく必要があります。
 

知識を持てば、いざというときに専門家に相談しやすい

 
相続法が1980年以来、約40年ぶりに改正されたため、相続について新しい知識を身につける必要があります。事業を経営している、していないに関わらず、残された家族間で争いが起きないよう遺留分に配慮することが大切です。
 
基礎知識を持っていれば、相続について専門家に相談しやすくなります。特定の人に引き継ぎたいなどという意思がある場合は、早めに専門家に相談するのがおすすめです。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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