更新日: 2021.09.05 その他相続
亡くなった人の銀行口座はいつ凍結する? お金を引き出すには?
しかし実際のところ、亡くなってすぐに口座が凍結されるわけではありません。亡くなった方の銀行口座が凍結されるタイミングと、お金を引き出す方法について解説します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
銀行口座は銀行側が亡くなったことを知ったときに凍結される
亡くなった方(被相続人)の銀行口座が凍結されるのは、銀行がその方の死亡を知ったときです。銀行が死亡した事実を知るのは、基本的に相続人からその旨の届け出があったときになるため、 届け出なければ何年も凍結されないということもあるのです。
しかし、口座が凍結されていないからといって、無断で口座からお金を引き出してしまうと相続について単純承認(被相続人の権利義務の一切を承継すること)したと見なされ、相続放棄(相続をしないこと)や限定承認(プラスの財産の範囲でマイナスの財産を引き継ぐこと)などができなくなる恐れがあります。
また、相続人の1人が他の相続人に断りもなく被相続人の口座のお金を引き出すことで、相続争いに発展する可能性もあります。
ただし、これらとは関係なく銀行側は口座を保有する方が亡くなったら速やかに届け出るよう求めているため、まずはその旨の報告をするようにしてください。
銀行口座の凍結を解除するには?
凍結された銀行口座は、遺産分割によって口座内のお金を誰が相続するか確定させ、銀行にその旨を届け出るという一連の手続きが終わるまではお金が引き出せない状態になります。
口座の凍結解除手続きに必要な書類などは銀行によって異なるため、必ず確認するようにしてください。
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葬儀費用などでお金が必要な場合は払戻し制度の利用を
亡くなった方の葬儀などにかかる費用負担が重く、相続人が自分の財産で支払いができないという場合、凍結されている口座から一定額まで引き出すことができる制度として「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」があります。
この制度を利用するには家庭裁判所の仮処分が必要となることがあります。
家庭裁判所の仮処分が不要な場合
必要な金額の合計が150万円以下の場合、家庭裁判所の処分が不要となり、銀行での手続きのみで口座からお金を引き出すことができます。手続きには下記のような書類が必要です。
・被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
・預金の払い戻しを希望する方の印鑑証明書
なお、各相続人が単独で引き出せる金額は下記の計算式の範囲までとなります。
相続開始時の預金額×1/3×払い戻しを行う相続人の法定相続分
家庭裁判所の仮処分が必要な場合
家庭裁判所の仮処分が不要となる金額以上を引き出そうとする場合は、家庭裁判所に遺産分割の審判か調停の申し立てを行い、払い戻しの理由を説明する必要があります。
理由があると認められると、家庭裁判所が認めた範囲の金額を引き出すことができるようになり、銀行にて下記のような書類を提出して手続きします。
・家庭裁判所の審判書謄本(審判書上、確定表示がない場合は審判確定証明書も必要)
・預金の払い戻しを希望する方の印鑑証明書
家族が亡くなったら銀行での手続きを忘れずに
家族が亡くなった場合、その方が口座を保有している銀行に連絡をする必要があり、それによって口座は凍結されます。その後、凍結を解除するには銀行での手続きが必要です。
必要な書類や具体的な手続きは銀行によって違いがあるため、事前に銀行に確認してください。
出典
三菱UFJ銀行 口座名義人が死亡した際の銀行口座の手続きについて
執筆者:柘植輝
行政書士