更新日: 2021.09.21 相続

亡くなった親の財産。いくらあるか不明な場合、どうする?

執筆者 : 黒木達也 / 監修 : 中嶋正廣

亡くなった親の財産。いくらあるか不明な場合、どうする?
親と同居していない、親子関係が悪く対立状態にある、といったケースで、親が急に亡くなると、親の財産がどこにどのくらいあるか、なかなか把握できない事態になります。相続を準備する以前の問題です。
 
日ごろから親子で意思疎通ができていればよかったのですが、非常に困った事態に直面します。
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黒木達也

執筆者:

執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

中嶋正廣

監修:

監修:中嶋正廣(なかじま まさひろ)

行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。

長野県松本市在住。

黒木達也

執筆者:

執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

中嶋正廣

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監修:中嶋正廣(なかじま まさひろ)

行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。

長野県松本市在住。

遺言状の確認と金融資産の把握

まず亡くなった親自身が、遺言状もしくはエンディングノートなど、子どもへのメッセージを残していれば、ある程度は把握できるかもしれません。故人の意向も知ることができ、相続争いも減る可能性もあります。預金通帳などの財産類がわかる書類も発見しやすくなります。
 
しかし、こうしたメッセージがないと大変です。生命保険に加入していたのか、預貯金はどこの金融機関に預けていたのか、株式投資はしていたのか、不動産関係の書類はあるのか、借入金などはあるのか、などを確認しなければなりません。
 
小型金庫や重要書類の入った引き出し、さらに郵便物などを徹底的に捜索することになります。
 
預金通帳、キャッシュカード、各種保険証券、不動産登記書類、クレジットカードなど、可能な限り見つけ出さなければなりません。特に死亡保険金、普通預金などは、すぐに葬儀費用などに充当したいため、早期に見つけたいところです。故人にそれなりの年収があると、故人の準確定申告がすぐに必要になります。
 
また相続財産が多いと、相続税の納付期限もやってきます。なるべく早く、把握できる財産額を調べる必要があります。
 

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預貯金の解約には手間がかかる

ほとんどの方は、金融機関に預貯金の口座があるはずです。預金通帳やカードがないと、お金を引き出すことはできません。特に遠方に居住し一人暮らしの親と疎遠だった場合、通帳などの捜索は結構大変です。
 
もし通帳が発見できなければ、近隣の金融機関に事情を説明し、口座の有無を確認しなければなりません。親の普通預金の引き出しにはキャッシュカードと暗証番号が必要です。定期預金の解約はもっと面倒で、印鑑だけでなく、親の出生時からの戸籍謄本を集める作業が加わるため、多くの労力が必要です。
 
金融機関の業界団体(銀行協会など)は、残念ながら預貯金額や預け先機関を顧客に知らせるシステムを構築していません。自宅付近で手持ちの現金を預けられる金融機関は、都市銀行や地方銀行だけでなく、郵便局、信用金庫、農協など、実に多岐にわたります。
 
複数の金融機関と取引している可能性があり、直接当たることになります。少なくとも、亡くなった親の住んでいた近隣の金融機関はすべて、確認する必要があります。手間と時間がかかる一大作業になります。親とは接触の機会をもっていたら、と考えてしまうかもしれません。
 

生命保険と上場株式には照会制度が

預貯金については、照会制度がないため、自分の努力で調べることが基本で妙案はありません。しかし、生命保険と上場株式に関しては、業界団体が「照会制度」をつくり、個人のニーズに対応しています。自宅をよく調べてみたが、どうしても証書などが見つからない際には、頼りになるシステムです。
 
生命保険については、生命保険協会が「生命保険契約照会制度」を新規に稼働させました。2021年7月から運用を始めた制度で、除籍謄本など必要書類と3000円ほどの手数料を支払えば、生命保険の契約会社と契約内容の有無を調べてもらえます。
 
もともとは災害被害者救済を目的とした情報提供サービスでしたが、すべての契約者に提供できるように構築しました。保険証券の見つからない相続人だけでなく、認知症家族を抱える代理人などにも利用できるシステムとして期待されています。
 
上場株式についても、証券保管振替機構(通称「ほふり」)に照会すれば、どこの証券会社にどのくらいの株式や投資信託を保有しているかを確認できます。
 
原則として開示請求は郵送で行い、相続人が請求する場合は、戸籍謄本などの書類と6000円ほどの手数料がかかります。ネット証券取引についても照会可能ため、パソコンなどで取引している場合も確認ができ、相続時などでは非常に助かります。
 
ただし、個人経営の会社など未上場の株式については、照会の対象になりません。生命保険と上場株式は、これらの照会制度を利用することで、亡くなった親の契約内容を正確に把握できます。
 

離れていても概要を把握する努力を

最も多くの方が保有する銀行預金には、照会制度がないわけですから、日ごろから親の保有財産の内容を、ある程度知っておくことも大切です。仕事が忙しいなどを口実に、あまり関心がない、なんとなく面倒だ、という気持ちにならないことです。
 
少なくとも預貯金の取引金融機関や、株式投資の有無は聞いておきましょう。生命保険についても、親族としてその概要を知っておくと助かります。また地方在住の親が田畑を所有している場合も、どの場所までが親の田畑なのかを確認しておきたいものです。
 
離れて暮らしていても、情報を多少でも共有しておくと、いざというときに役立ちます。親が財産をどの程度持っているか、子どもが知っていれば困ることはありません。
 
親としても秘密にしておきたい内容もあるかもしれませんが、預貯金の預け先など、子どもに知らせて良い情報も多いはずです。親子の仲が悪くほとんど口も聞かない、という状態は困ったものですが、少なくとも相続という事態に直面した際に、子どもが苦労しない配慮は、親としても考えておきましょう。
 
具体的な財産の内容として、(1)預貯金、(2)株式・投資信託、(3)生命保険、(4)不動産、(5)貴金属・骨董(こっとう)品・会員権、(6)クレジットカード、(7)借入金が、それぞれどれくらいあるか、どの会社と取引しているか、親はある程度子どもに知らせておきたいものです。
 
同時に、最終的には、具体的な金額や預け先を記した書類やメモを、自分の死後に見つけられるように、どこかに残す配慮も必要です。実際にはパソコンなどで管理しているケースもあると思いますが、パスワードなどもメモに残しておきましょう。
 
参考
生命保険協会ホームページ
証券保管振替機構ホームページ
 
執筆者:黒木達也
経済ジャーナリスト
 
監修:中嶋正廣
行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。

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