更新日: 2021.09.26 相続税

相続財産から差し引ける親の葬儀費用とは。お布施や戒名も控除できる?

相続財産から差し引ける親の葬儀費用とは。お布施や戒名も控除できる?
相続税の計算に当たっては債務だけではなく、相続人が支出した葬儀にかかった費用も相続財産から差し引くことができます。葬儀費用について、一体どこからどこまでが控除の対象となるのでしょうか。いずれ訪れる親の相続と葬儀に備え、今から確認しておきたいところです。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

相続財産から差し引ける葬儀費用の範囲は?

相続税を計算する際は、例えば相続人が支出した親の葬儀にかかった費用についても相続財産の総額から差し引いて算出します。一般的な範囲内であれば葬儀にかかった費用の全額が控除の対象となりますが、それには一定の範囲に属する葬儀費用であることが必要です。
 

葬儀費用として差し引くことができる費用

相続財産から差し引くことができる葬儀費用としては、下記のような費用があります。
 

●火葬や埋葬、納骨にかかった費用
●遺体や遺骨の回送にかかった費用
●お通夜の費用など、葬儀の前後に生じた通常葬儀に欠かせない費用
●葬儀に当たって、お寺などに謝礼として支払った読経料などの費用
●死体の捜索、または死体や遺骨の運搬にかかった費用

 
要は、一般的な葬儀を行うのに当たり必要な費用は、基本的には葬儀費用として相続財産から控除できると考えてください。
 

葬儀費用として差し引くことができない費用

一方、下記のような費用は、葬儀費用として相続財産から差し引くことはできません。
 

●香典返しのためにかかった費用
●墓石や墓地の購入にかかった費用、墓地を借りるためにかかった費用
●初七日や法事などにかかった費用

 
上記の費用は、人が亡くなった際には必要となりますし、葬儀の前後で支出することもある費用です。しかし、葬儀を行うこと自体には必要ではないため、相続税の計算上、葬儀費用として相続財産からの控除の対象とはなりません。
 
香典や墓石・墓地は税法上、非課税とされています。そのため、非課税のものに対する返礼である香典返しや、墓石・墓地の購入費は相続財産から差し引く葬儀費用には該当しないと考えるとイメージがつきやすいでしょう。初七日や法事といった行事も、死者を弔うために行われる葬儀とは性質が異なります。
 

お布施や戒名代はどうなる?

さて、葬儀費用として相続財産から差し引くことができる費用、できない費用を確認したところで、お布施や戒名代は葬儀費用に含まれるのか考えていきましょう。
 
結論として、お布施や戒名代は相続財産から控除できる葬儀費用に該当します。お布施や戒名代は葬儀に必要な支出として考えられており、先に説明したお寺などに対して支払う葬儀費用として認められているからです。
 

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お布施や戒名代を葬儀費用として差し引くには領収書が必要?

葬儀費用を相続財産から差し引く場合、基本的には支出した費用の証明として領収書などを保管しておかなければなりません。お布施や戒名代についても同様ですが、これらは領収書などが発行されないことも少なくありません。そういった場合は、ノートやメモ帳などに下記の事項を記載し、保管しておくことでも領収書の代用として認められます。
 

●支払日時
●支払先(お寺の名称や住所、連絡先)
●支払金額
●お金を支払った理由

 
いわば自己申告のような感じになりますが、うその記録を残すと、その点を疑われた場合に税務調査(支払先への調査など)が行われ、虚偽であることは発覚します。必ず正確な内容を記載するようにしてください。
 

相続財産から差し引ける葬儀費用の範囲に注意

基本的に葬儀にかかった費用は、相続税の計算に相続財産から葬儀費用として全額差し引くことができます。
 
しかし、葬儀費用として控除できるのは、一般的な葬儀を行うために必要な費用の範囲に限られます。葬儀に伴って発生する費用のうち、例えば、お布施や戒名代は含まれますが、香典返しの費用やお墓の購入費などは控除の対象外となります。
 
相続財産から差し引ける葬儀費用の範囲は、なかなか判断がつかないこともあるでしょう。そういった場合は、最寄りの税務署などに相談や確認をすることで相続税を正しく算出することができます。
 
出典
国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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