更新日: 2021.10.04 その他相続

子どもがいない夫婦の相続。財産を全て妻のものにすることはできる?

執筆者 : 柘植輝

子どもがいない夫婦の相続。財産を全て妻のものにすることはできる?
子どもがいない夫婦の夫が妻の将来を案じ、相続財産を全て妻が受け取れるようにと考えるのは不思議なことではありません。こうしたケースでは、どのような方法で財産を妻に相続させるのがよいのでしょうか。

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柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

相続財産は誰のもの?

相続において配偶者(今回の例では妻としていますが、夫の場合でも同様)は常に相続人となり、被相続人に子がいなければ、特に何もしなくても相続財産の3分の2は財産を残すことができます。
 
妻以外で誰が相続人に該当するかといえば、法律上、以下のような順位となります。なお、同じ順位に複数人がいる場合は、全員で該当する法定相続分で案分します。
 

順位 該当者 該当者の法定相続分 配偶者の相続分
1位 直系卑属(子、子が亡くなっている場合は孫、孫も亡くなっていればひ孫) 2分の1 2分の1
2位 直系尊属(父母、父母が亡くなっている場合は祖父母) 3分の1 3分の2
3位 兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっていればおい、めい) 4分の1 4分の3

※筆者作成
 
ただし上記の相続分は、あくまでも法律によって定められた法定相続分です。遺言で相続分が指定されていれば、法定相続分よりも優先されます。極端な例でいうと、特定の相続人に全財産を相続させるという遺言も有効になります。
 

遺留分を有するのは誰?

相続に当たっては、相続分以外にも考えたい要素があります。それは遺留分です。
 
遺留分とは兄弟姉妹以外の相続人に認められた最低限の相続分です。遺留分を無視しても遺言は無効となりませんが、遺留分を有している方に遺留分侵害額の請求権を行使されると、原則、遺留分を侵害した部分に相当する額の金銭を支払わなければならなくなります。
 
なお、遺留分は行使されて初めて効果が現れるため、遺留分を有する相続人がいても行使されなければ遺言書で指定された相続分は影響を受けません。
 

相続人の構成 遺留分の割合
直系尊属のみが相続人 亡くなった方の財産の3分の1
上記以外の場合 亡くなった方の財産の2分の1

※筆者作成
 

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子がいない夫婦で妻に財産を全て相続させるには

結論として、子がいない夫婦において夫が全ての財産を妻に相続させるというのは理論上、不可能ではありません。その際に必ずしておくべきことは、遺言書の作成です。遺言書の中で「全財産を妻へ相続させる」と記載してしまえば、夫に兄弟や姉妹がいる場合でも、兄弟姉妹には遺留分が与えられていないため相続財産が渡ることはありません。
 
しかし、父母、祖父母は直系尊属として遺留分を有します。この場合は妻に全ての財産を相続させたいことを生前に説明しておいたり、遺言書にその旨を記載しておくことで、直系尊属からの理解を得られ、全ての相続財産を妻に残せる可能性がぐっと高まります。
 
また、妻以外の相続人に財産を残したくない理由として、著しい非行や被相続人に対する重大な侮辱行為などがある場合、相続人から外す廃除という手続きをすることも有効です。
 
ただし、廃除の認定はかなりハードルが高いため、適用を検討する場合は家庭裁判所や弁護士などの専門家へ相談するようにしてください。
 

前妻との間の子や婚姻外の子がいる場合は注意

現在の妻との間に子がいなくても、前妻との間の子や、婚姻外で認知している子がいれば、その子は相続人となります。また、婚姻外の子については認知をしていなくても、死後認知の訴えを起こされれば、結果次第で子に相続権が生じる可能性があります。
 
正直、相続権を有する子が存在する場合、その子に相続をさせないというのはかなり困難であるため、こうしたケースでも遺言を残すなどして、できる限り多くの財産を妻へ残せるように対策するのが無難な手でしょう。
 

妻に全財産を相続させることは可能

いくつかの注意点はあるものの、子がいない夫婦で夫が妻に全財産を相続させることは可能です。しかし、無理に妻だけに全財産を残そうとすると、他の相続人から強い反発が起こり、妻に負担がかかることもあり得ます。
 
本当に妻を思うのであれば、全財産を相続させることだけを考えるのではなく、他の相続人とのバランスを取り、自分の死後も良好な関係を構築していけるような相続について検討する方がよいのかもしれません。
 
執筆者:柘植輝
行政書士
 

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