親の遺産に借金があった場合、相続はどうする? 3つの選択肢の注意点
配信日: 2021.10.06
選択肢は大きく分けて3つありますが、どれを選ぶかによって、その後の人生に影響を与えるといっても過言ではありません。3つの相続方法について注意点とともに解説します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
相続方法の3つの選択肢
相続財産にプラスの財産のほか、マイナスとなる借金もあった場合の相続方法の選択肢には、単純承認、限定承認、相続放棄の3つがあります。
しかし、相続があったことを知った時点から原則3ヶ月以内に選択しなければならず、何もしないまま3ヶ月が経過すると単純承認したと見なされます。そのため、どの手続きを取るにしても迅速に判断することが大切です。
単純承認
最も簡単な選択肢が単純承認です。
単純承認は、亡くなった方が残した全ての相続財産、つまり相続人にとってプラスの財産となる預金などはもちろん、マイナスとなる借金や義務なども含めて一切を引き継ぐという相続方法です。
特別な手続きは必要なく、何もせずに相続手続きを進めていれば自動的に単純承認となります。
借金など負債の額がプラスの財産に比べて小さく、かつ、その範囲が明確で、あとから他の負債が発覚しないと判断できる場合には、手続きにかかる負担面などを考慮するとおすすめの方法です。
なお、相続財産を処分(使用や売却)すると単純承認したと見なされることがあるため、相続方法をどうするか悩んでいるうちは、相続財産の保存行為(財産を守り維持すること)以外では手をつけないようにしてください。
相続放棄
少し手続きが大変になるのですが、相続放棄という方法もあります。相続放棄はその名のとおり、相続を放棄することで最初から相続人とならなかったと見なされ、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐ必要がなくなります。
相続放棄は相続財産のうち、マイナスの財産がプラスの財産に比べてあまりにも大き過ぎる場合や、その具体的な金額や範囲が確定できず、相続するにはリスクが高いという場合に選択できる方法です。
ただし、相続放棄をすると全ての財産を相続できなくなり、例えば不動産などの引き継いで守りたい財産があっても相続をあきらめざるを得ないことになるため、3ヶ月の期限内で十分に検討する必要があります。
限定承認
限定承認とは、プラスの相続財産の範囲内でマイナスの財産を相続するという方法です。
借金の範囲や金額が不明な場合でもプラスの範囲内で返済すればよく、予想より借金が少なかった場合はプラスの財産をあきらめなくても済むというメリットがあります。
限定承認はメリットだけを見ると便利な制度に思えますが、実務上、手続きが非常に複雑な上、専門家に依頼すると10万円を超えるような高額な報酬が発生する場合もあります。
また、相続放棄と異なり、相続人全員で手続きしなければならないなどハードルが高く、どうしても相続したい財産があるにもかかわらず、プラスの財産も借金もいくらあるのか詳細が不明な場合、あるいはプラスの財産に比べて借金が多過ぎて返済できないなど、極めて限定的なケースでのみ検討することをおすすめします。
プラスの財産も借金もある場合、相続方法の選択は慎重にすること
相続の方法には単純承認、相続放棄、限定承認の3種類があります。いずれもメリットとデメリットがあり、基本的に一度選択すると変更はできないため、十分に考えて決断する必要があります。
相続方法について悩んだときは、税理士や弁護士など専門家に相談してください。
執筆者:柘植輝
行政書士
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