更新日: 2021.10.07 相続税
突然の相続で税金の支払いが発生。期限内に相続税が支払えないとどうなる?
突然の相続に加え、予想もしなかった相続税が発生したようなときは大変です。もし、相続手続きが間に合わず、期限内に相続税が支払えない場合はどうなってしまうのでしょうか。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
相続税はどういう条件で発生する?
突然、家族が亡くなり、自身が相続人となることがあっても、必ずしも相続税が発生するわけではありません。
相続税は基礎控除(3000万円+法定相続人の数×600万円)を超えた部分に課税されます。3600万円までは基礎控除が適用されることになるため、相続税が発生するのは相続財産が3600万円を超える場合です。
実際に相続税が発生する割合はそう高くなく、相続税を課税された人の割合は2019年で全体の8.3%ほどとなっています。
相続税の納税期限は
いざ相続税が発生したとしても、ご安心ください。相続税の申告と納税は、相続があったことを知った日(被相続人が亡くなったことを知った日)の翌日から10ヶ月以内までに行えばよいとされているからです。
このように、相続が発生したら即、相続税を支払うというわけではなく、ある程度の期間が与えられています。
ただ、決して十分に余裕があるほど長い期間とはいえないため、相続が発生したら、まず相続財産と相続人を調査して遺産分割を行い、相続税の申告と納税をするという一連の流れをスムーズに進めていくことが大切になります。
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相続税を期限内に支払えない場合はどうなる?
相続税について何も手続きをしないまま納税の期限を迎えてしまい、相続税を支払えない状態となってしまうと、督促状が届いたり、税務署からの連絡、訪問や調査があり、最終的には自身の自宅や預貯金といった財産を差し押さえられてしまいます。
また、正当な理由がなく期限までに申告をしなかった場合は無申告加算税が課されたり、期限を過ぎてからの納税は延滞税が課されるなど、本来よりも納税額が増える恐れもあります。
さらに、小規模宅地等の特例といった相続税が軽減される各種の特例も、期限内に手続きができない場合には適用されない場合もあります。相続税が発生した場合は、必ず10ヶ月という期限内に申告と納税まで行うようにすべきです。
相続税を納税期限までに払えないときはどうすればいい?
期限内に相続税を支払うことができない場合、何かしらの手続きを取ることが必要です。相続税には、納税までの期限を延長する延納の制度があります。
現在では新型コロナウイルスの影響から移動などが自由に行えず、期限までに納税できない場合でも、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を税務署へ提出して期限の延長を申請することが認められています。
上記の特例以外にも、相続財産で相続税を収める物納の制度などもあるため、悩んだらまずは税務署に相談するべきです。
また、相続財産の一部を売却して現金化したり、相続財産の中でも納税に充てる部分(現金など)だけでも先に遺産分割するなど、延納などの手続きをしなくても期限までに納税する方法もあります。
全ての遺産分割を納税期限に間に合わせる必要はなく、相続税の納税後、遺産分割を終わらせても問題ないのです。
突然の相続で期限内に納税ができないときは、まず税務署に相談を
相続は突然起こります。しかし、何も手続きをしないままでは相続税の納税期限は待ってはくれません。
相続税を期限内に支払うことができないと、各種特例の適用を受けられなかったり、延滞税などが加算されて本来の納税額より多く支払わなければならないなど、ペナルティーが課されることもあります。
期限内に納税できない可能性があるときは、早めに税務署や専門の税理士などへ相談し、必要に応じて何らかの対応策を取るようにしてください。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 生活基盤の安定を図る生活設計
国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
国税庁 相続税の申告・納付期限に係る個別指定による期限延長手続の具体的な方法
執筆者:柘植輝
行政書士