更新日: 2021.10.11 贈与

孫へ財産贈与すると相続税が節約できるって本当?

執筆者 : 柘植輝

孫へ財産贈与すると相続税が節約できるって本当?
相続対象となる財産を生前に贈与しておけば、相続税を節税できることがありますが、それは子だけではなく、孫への生前贈与も同様です。今回は、孫に生前贈与をするメリットについて解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

孫に財産を贈与することで暦年贈与をより有効活用できる

暦年贈与とは、相続税の節税において行われる贈与の方法です。
 
受贈者1人当たり、年間110万円以下の贈与であれば贈与税が非課税となる仕組みを利用して、毎年110万円ずつ贈与していき、相続時の相続財産を減らすという相続税対策です。
 
実は暦年贈与の対象は、子など相続人となる方に限らず、例えば孫に対しても有効です。
 
仮に子が1人の場合、子に暦年贈与をしても毎年110万円ずつしか非課税で贈与できませんが、孫にも同時に暦年贈与をすれば非課税で贈与できる額は合計で220万円となり、節税のための財産移転をより早く完了させることができます。
 

相続税対策をより効率的に行える

通常、相続財産が孫に渡るまでには親から子、子から孫へと2段階の相続に分かれます。相続税が発生する場合、財産が移転する2回のタイミングで相続税が課税されるため、その分、財産が目減りすることになります。
 
そこを直接、孫への暦年贈与によって相続税の発生回数を減らすことができ、トータルでの相続税を抑えられます。
 
また、「住宅取得資金等の贈与を受けた場合の非課税の特例」や「結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税の特例」など、直系尊像からの贈与では一定額までは贈与税が非課税となる制度で、子のほかに孫も対象となっている特例もあります。
 
こうした制度も併用すると、孫への贈与を通して、より効率的な相続税対策が可能です。
 

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孫に贈与をする節税以外でのメリット

孫への贈与は相続税の節税以外にもメリットがあります。それは、必要に応じて孫に資金援助ができる点です。
 
進学や就職、結婚など、人生の節目となるライフイベントのタイミングで必要となるお金を贈与することは、孫の人生においても非常に大きな意味があるといえるでしょう。
 
また、相続財産が多いと、それだけ「どう分けるか」が問題になる可能性も高まります。子だけではなく、孫にも分散して財産を生前贈与しておくことで、相続時に遺産分割の対象となる財産が減り、無用な相続争いを防げる場合もあります。
 

孫に財産を贈与する注意点はあるの?

せっかく孫に財産を生前贈与しても、それが原因で相続人との争いが起こってしまっては意味がありません。孫に財産分与をする際は、他の相続人が不公平に感じない範囲にとどめておくことが大切です。
 
例えば、孫に10年間の暦年贈与で1000万円の贈与をした結果、相続時には財産のほとんどを孫が受け取っていたとなっては、家族同士で争う原因にもなりかねません。
 
相続では多くの場合、孫ではなく子が相続人となるため、財産を過度に孫へ贈与するのは考えものです。
 

相続税の節税では孫への贈与も検討の余地あり

相続税の節税は、孫に財産を生前贈与することでも実現が可能です。場合によっては節税だけではなく、相続争いを防止したり、孫への援助を適切なタイミングで行うこともでき、贈与の効果やメリットは単なる節税のみにとどまりません。
 
一方で、相続人との公平性にも注意しなければ相続争いを生むことにもにもなりかねないため、孫への贈与による相続対策は広い視点から慎重に考えていくことが重要になるでしょう。
 
出典
国税庁 No.4152 相続税の計算
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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