更新日: 2021.10.18 その他相続
名義預金と見なされるのはどんな預金?
名義預金とは何なのか、名義預金と見なされるのはどんな預金なのか、名義預金について見ていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
名義預金とはどんな預金?
名義預金とは一言でいうならば、口座の名義人と、実質的に管理を行う所有者ともいえる方が異なる預金のことを指して利用される言葉です。
例えば、親が子どもの名義で作って管理していた口座の預金や、専業主婦の妻が夫の給与からへそくりをして自分名義の口座に貯めたお金などが、名義預金とされる可能性がある例です。
他にも、祖父母が孫名義の口座で貯めた預金なども名義預金と見なされることがあります。
名義預金と見なされると、どういうことが起こる?
名義預金と見なされることが問題となるのは、特に相続においてです。
例えば、親が相続対策として子名義の口座に毎年110万円ずつ、贈与税が非課税となる範囲でお金を贈与したつもりで入金していたところ、その口座のお金が名義預金だと見なされ、親の財産だと判断された結果、相続財産として遺産分割の対象となったり、相続税が課税されるといったことが起こり得ます。
そうなると、遺産分割をやり直すことになったり、想定より多くの相続税を払うことになって遺族が困ってしまう、最悪の場合は相続争いとなるケースも考えられます。
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名義預金の判断基準は?
税務署から名義預金と判断されることに基準があるとすれば、以下がそのポイントとして挙げられます。
・口座の開設手続きや、その後の管理(キャッシュカードや届出印などの管理)は誰が行っていたか
・預金の元となるお金は誰が稼いだものか
・贈与契約書が存在するなど、当事者双方の意思の下でお金が移動したことが証明できるか
例えば、子ども自身はその存在を知らない自分名義の口座に、親が給与から毎月お金を移していたという場合は、まず間違いなく名義預金と見なされるでしょう。
逆に、預金の元となるお金は親の給与ではあるが、口座は子どもが管理しており、親子で贈与契約を結んでいて、その契約書も存在するという場合は名義預金と見なされることは考えにくいです。
名義預金の判断基準となる目安があるとすれば、上記3つのうちの2つ以上を根拠に本人のお金ではないと判断された場合は、名義預金となる可能性が高いといえます。
名義預金と見なされないようにするには?
名義預金と見なされないようにするは、お金の流れを証明できること、口座の名義人本人が口座とお金を管理することが大切です。具体的には以下のように贈与を行うことで、名義預金と見なされないようにすることができます。
・口座は名義人本人が開設し、キャッシュカードなどの管理も名義人が行う
・贈与をする側、贈与を受ける側の双方で同意の下に贈与契約書を作成する
また上記のほかにも、贈与があったことを明確にするために、あえて贈与税が発生する金額で贈与して定期的に贈与税を申告する、複数年にわたって贈与する場合は贈与の日や金額をバラバラにするといった方法で、正当な単発の贈与によって移動したお金であることを主張できるようにしておくのも効果的です。
預金は口座名義だけでなく実際に誰が管理しているのかも重要
名義預金とは、口座内のお金の所有者が名義人本人ではなく、名義人以外の第三者であると見なされるような預金をいいます。
本人名義の口座だから大丈夫だろうと考えていると名義預金と見なされ、相続の場面で思わぬ相続税が発生するなど、口座の名義人となる方や周囲の方に負担がのしかかる 恐れもあります。
もし名義預金と見なされる可能性がある預金口座を有している場合は、相続が発生する前に、できるだけ早い段階で名義預金ではないと証明できる準備を整えておくようにしてください。
執筆者:柘植輝
行政書士