更新日: 2021.10.26 その他相続

子どもがいない夫婦の相続問題。妻の相続分を減らさないための対策とは

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

子どもがいない夫婦の相続問題。妻の相続分を減らさないための対策とは
子どもがいない夫婦の場合、事前に相続対策を立てておかないと、配偶者以外に親や兄弟姉妹が相続人になる可能性が出てきます。本記事では、子どもがいない夫婦の相続問題について、法定相続人は誰なのか、起こりうるトラブルなどを詳しく解説します。
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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

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住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

子どもがいない夫婦の相続人は誰になる?

夫が亡くなった場合、残された遺産は、すべて妻のものになると思っている人が多くいます。しかし、子どもがいない夫婦の場合、誰が相続人になるかは下記で挙げる2つに分けられます。
 

●配偶者
●血族相続人(直系尊属(両親など)・兄弟姉妹(または代襲相続人))

 
子どもがいない夫婦の相続人は、親がいれば配偶者と親です。親や祖父母が亡くなっていた場合は、配偶者と兄弟姉妹が相続人となります。仮に、兄弟姉妹もすでに亡くなっていれば、その兄弟姉妹の子どもである代襲相続人(めい・おい)が相続人になります。
 
それぞれの法定相続分は、下記のとおりです。
 

●配偶者と親の場合:配偶者が3分の2・親が3分の1
●配偶者と兄弟姉妹の場合:配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1

 
親や兄弟姉妹に遺産相続させたくない場合は、事前にしっかりと対策を立てておきましょう。
 

夫の兄弟姉妹と起こりうるトラブルとは

夫にもし遺産があった場合、遺産相続で兄弟姉妹とトラブルになる可能性があります。この見出しでは、兄弟姉妹と起こりうるトラブルについて見ていきましょう。
 

夫の兄弟姉妹から遺産を分けてほしいと主張される

夫に兄弟姉妹がいる場合、亡くなったあとに突然連絡が来て、遺産を分けてほしいと主張されるケースがあります。法律的には、相続人が配偶者と兄弟姉妹だと配偶者が4分の3、兄弟姉妹は4分の1が法定相続分です。
 
配偶者と兄弟姉妹の関係が良好であれば、夫が亡くなったあと、落ち着いて話し合いができるかもしれません。しかし、関係が良好でなければ、話し合いがまとまらない可能性が出てきます。
 
また、夫が会社員の場合、退職金が出る可能性があります。生命保険に加入していれば保険金があるため、今一度亡くなったときの「受取人」が誰なのかを、それぞれ確認しておきましょう。
 

夫の預金が簡単に引き出せなくなる

夫が亡くなった場合、名義人の死亡を知った金融機関は「預貯金口座を凍結」します。口座の凍結を解除するには、原則として相続人全員の同意が必要です。
 
夫の口座で生活費を管理していたとしたら、亡くなったあと生活費で困る可能性が出てくるでしょう。
 
預貯金口座が凍結したときのためにできることは、贈与税の課税対象となりますが夫が生きているうちに口座のお金を妻の口座に移したり、遺言書を書いたりしておくことなどです。万が一、手続きを取っている間に亡くなった場合は、遺産のうちの一定額を銀行に請求すれば払い戻しできます。
 

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妻にすべて財産を相続させるには

夫が亡くなったあと、妻にすべて財産を相続させたいのであれば、下記で挙げる対策を立てておきましょう。
 

●遺言書を作成する
●配偶者に生前贈与する
●生命保険の受取人を配偶者にする

 
遺留分に注意する必要がありますが、遺言書を作成すれば「自分の財産を誰にわたすのか」を明らかにできます。
 
また、夫が生きているうちに妻に生前贈与することで、遺産から外す対策も立てられます。結婚から20年以上経てば、住宅を配偶者に生前贈与する方法(2000万円まで非課税)もあります。
 
そのほかにも、生命保険を配偶者にする方法も有効です。夫が結婚前から加入している場合は、受取人が妻以外になっている可能性があります。保険の見直しもかねて、確認しておくと安心です。
 

遺産相続のトラブルが起こる前に対策を立てよう

子どもがいない夫婦は、配偶者以外にも親や兄弟姉妹が法定相続人です。もし、妻に遺産をすべて相続させたいのであれば、遺言書や生前贈与などの対策を事前に立てておきましょう。
 
ご自分が亡くなったあと、妻が大変な思いをしないように、できることは生きているうちに行ってください。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
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