更新日: 2021.10.28 相続税
生命保険と退職金にも相続税が発生する? みなし財産の見分け方とは
みなし相続財産とはどのようなものなのか、どういった生命保険金と退職金がみなし相続財産とされるのでしょうか。相続税の対象となる生命保険金と退職金について見ていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
みなし相続財産とは
みなし相続財産とは、亡くなった方が死亡時に有していた相続財産ではないが、その方の死をきっかけに相続人などへ支払われるものであり、実質的に相続財産であるとして相続税の対象となる財産です。
みなし相続財産となりうるものには生命保険金や退職金の他、相続時精算課税など一部の特例の適用を受け取得した財産や、相続や遺贈で財産を取得した人が、被相続人の死亡前3年以内に被相続人から受けた贈与などがこれに該当します。
みなし相続財産となる生命保険金
亡くなった方の死亡によって支払われた生命保険金のうち、その保険料を一部でも亡くなった方が負担しており、かつ受取人が相続人である生命保険金は実質的にその亡くなった方の相続財産として支払われた生命保険金は相続税の対象となります。
例えば、亡くなった夫が自分に生命保険をかけ、その保険料を負担していた場合、その生命保険金を妻が受け取ると、その生命保険金は相続財産として相続税の対象となるということになります。
つまり、生命保険金がみなし相続財産となるか否かは受取人と保険料の負担者、この2点を確認することで見分けることができるというわけです。なお、実際に相続税の対象になるのはその保険金の全額ではなく、下記の計算式によって算出された金額を超える部分が対象になります。
非課税となる生命保険金の金額=500万円×法定相続人(法律で定められた相続人になれる人)の数
つまり、先の事例において相続人が1人であり、かつ、妻が受け取った生命保険金が500万円までであれば相続税は発生しないということになります。上記でいう法定相続人には相続放棄をした人も含めて計算します。
ただし、生命保険の非課税においては養子の人数には制限があり、実子がいる場合養子は1人まで、実子がいない場合は2人まで法定相続人の数に含まれます。
【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断
みなし相続財産となる死亡退職金
本来亡くなった方に支払われるべきであった退職金や功労金、その他これらに準ずるような性質の給与に類するもので、亡くなった方の死亡から3年以内に支給が確定したものは相続財産とみなされて相続税の課税対象になります。この給与に類するものとは、金銭だけではなく現物で支給されるものも含みます。
例えば、たまたま死亡が原因の退職で支払われた退職金や会社が遺族の生活保障のために支払う死亡手当金、亡くなった人の功績に支払う功労金などの名称で支払われるものがこれらに該当します。
要は、亡くなった方が務めていた勤務先から死亡を原因として支払われる金品や現物が死亡退職金として、みなし相続財産になるというわけです。ただ、それが弔慰金や花輪代、葬祭料であれば、それらはみなし相続財産とはならないため、この点の確認も必要です。
また、死亡退職金にも相続人が取得した場合は生命保険金のように非課税制度があります。非課税金額の計算式や養子の取り扱いについては生命保険金と同様になります。
なお、両者の非課税額は別枠さらに併用することができます。つまり、相続人が3人いる状態であれば、生命保険について非課税の限度額である1500万円分非課税適用を受けたとしても、死亡退職金も1500万円まで非課税になるということです。
生命保険金や退職金にも相続税が発生することがある
ある人が亡くなったときに受け取る生命保険や退職金は相続人が受け取るものであるものの、それが実質的に亡くなった方の財産であるとみなされ、相続税が発生することがあります。
亡くなった方にかけられていた生命保険金や勤務先から退職金を受け取ったときはそれが相続税の対象となる可能性があることを考慮して相続税について確認するようにしてください。
出典
国税庁 No.4120 弔慰金を受け取ったときの取扱い
国税庁 No.4105 相続税がかかる財産
国税庁 No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金
国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
執筆者:柘植輝
行政書士