更新日: 2021.11.08 相続税

中小企業の経営者なら知っておきたい、相続税・贈与税の問題とは?

執筆者 : 柘植輝

中小企業の経営者なら知っておきたい、相続税・贈与税の問題とは?
近い将来、子や孫に経営を任せようと考えている中小企業の経営者が頭を悩ませるであろう事柄に、相続税と贈与税があります。これらは中小企業経営者の世代交代と切り離しては考えられない問題です。
 
今回は、中小企業の経営者なら早期に知っておきたい相続税と贈与税の問題について考えてみます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

相続税・贈与税は事業承継に大きく関係する

中小企業の経営者が知っておきたい相続税と贈与税の問題の中でも、特に重要なのが子や孫など家族での世代交代に伴う事業承継との関係です。
 
これまで経営者として腕を振るっていても、いつかは引退し、経営権や会社を清算した後に残余財産を受け取る権利など、会社経営にまつわるもろもろの権利を次世代の子や孫に譲ることになります。
 
会社経営にまつわる権利は相続税や贈与税の課税対象の財産になりますが、この権利は時として経営者の想像以上の価値を持つことがあります。
 
特に小さいお金で事業を始めた場合や、今まで目の前の経営に尽力していて、将来の問題にあまり目を向けていなかったような場合は、経営者が思っていたより会社経営に関する権利の価値が高くなっていることで、相続税や贈与税も高額になり、その対策をどうするかで頭を悩ませることにもなりやすいのです。
 

経営者の財産が自社株中心の場合は納税資金に困る可能性がある

経営者の財産が自社株中心である場合、相続税や贈与税について問題になる可能性が高いと考えてください。その理由は先に述べたように、相続税や贈与税が高額になることで払えない可能性が出てくるという点にあります。
 
相続税や贈与税は、決められた期日までに現金で一括納付するのが原則です。
 
しかし、納税資金になる現金を用意するために自社株を一部売ろうにも、上場していない企業の場合は株の売却は困難となるケースもありますし、自社株を売ることで会社の経営権を外部に移してしまい、経営を脅かすことにもなりかねません。
 
この問題は、創業から年数が経過して会社の価値が高まり、経営者も高齢となって税金対策に十分な時間が取れないときほど大きなものとなる場合があります。
 

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中小企業経営者が相続税・贈与税の問題に備えて取っておくべき対策は?

中小企業の経営者が相続税と贈与税の問題について対策しておくべきことは、一般的に定年退職が近づく60歳から65歳の間のタイミングで事業承継をいつでも行えるよう、これらの税金対策について考えておくことです。
 
最近では「事業承継税制(贈与税・相続税の納税猶予及び免除制度)」といった中小企業経営者の円滑な事業承継を支援する税制の特例もあります。ただし、こういった特例を利用するにも、やはりある程度の時間をかけた事前準備や専門家への相談が不可欠です。
 
できる限り税理士など専門家の力を借りて、相続税や贈与税への対策だけでなく、スムーズな事業承継と家族に争いが起こらないような相続対策を行うことが重要でしょう。
 

まとめ

子や孫に事業を継承しようと考えている中小企業の経営者は、世代交代のタイミングで会社の経営に関する権利の譲渡や相続があった場合に備え、相続税や贈与税の対策を行っておく必要もあります。
 
スムーズなバトンタッチに向けて、事業承継時の相続税や贈与税について考えてみてはいかがでしょうか。
 
出典
中小企業庁 事業承継税制(贈与税・相続税の納税猶予及び免除制度)について
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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