更新日: 2021.11.10 その他相続

遺産分割前の相続預金の払戻制度を利用するための方法って?

遺産分割前の相続預金の払戻制度を利用するための方法って?
銀行口座の名義人が亡くなると、その人の口座が凍結されるなどして故人の口座からお金を引き出せなくなることがあります。
 
そういったときに活用したい制度が「遺産分割前の相続預金の払戻制度」になります。いざというときに役に立つ、遺産分割前の相続預金の払戻制度を利用する方法について解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

遺産分割前の相続預金の払戻制度とは

遺産分割前の相続預金の払戻制度とは、遺産分割が終了する前であっても、各相続人が自身の生活費や亡くなった方の葬儀費用の支払いなど、お金が必要となったときに相続財産である亡くなった方の預金口座からお金を引き出すことができる制度です。
 
この制度によって、相続人間で遺産分割がまとまらなかったり、相続人同士折り合いが悪いという場合でも、各相続人が必要に応じて必要なお金を引き出せるようになりました。
 

遺産分割前の相続預金の払戻制度を利用するには

遺産分割前の相続預金の払戻制度を利用する方法には、家庭裁判所を通して行う方法と家庭裁判所を通さずに行う方法とがあります。
 

家庭裁判所を通してする方法

対象となる預金に遺産分割の審判や調停が家庭裁判所に申し立てられているような場合、遺産分割前の相続預金の払戻制度の利用について、家庭裁判所に申し立てることになります。
 
そして、その後家庭裁判所の審判書謄本と払い戻しを希望する方の印鑑証明書に加え、免許証など本人確認書類を持参して金融機関の窓口にて手続きを行います。この場合、引き出すことができる金額は家庭裁判所が認めた金額になります。詳細については家庭裁判所および引き出し先となる金融機関へお問い合わせください。
 

家庭裁判所を通さずに行う方法

前述の場合と異なり、家庭裁判所に審判や調停の申し立てがされていないような状況であれば、下記の計算式の範囲内かつ同一の金融機関から、150万円を上限に相続人がそれぞれ単独で家庭裁判所の許可なく金融機関の窓口にて直接手続きをすることができます。
 
払い戻し可能額=相続開始時の預金額(口座・明細基準)×3分の1× 払い戻しを行う相続人の法定相続分
 
そして、手続きには下記のような書類が必要になります。
 

●亡くなった方の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
●相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
●手続きを実際にする方の身分証明書と印鑑証明書

 
ただし、必要となる書類については金融機関によって異なる可能性があります。詳細については必ず手続きを行う金融機関へ問い合わせるようにしてください。
 

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遺産分割前の相続預金の払戻制度の注意点

遺産分割前の相続預金の払戻制度の注意点として、まず初めに気を付けたいのは手続きをすればすぐに口座からお金を引き出せるというわけではないという点です。金融機関にもよりますが、審査には一定の期間を要するからです。
 
また、遺産分割前の相続預金の払戻制度によって払い戻された預金については、後日行われる遺産分割において、払い戻しを受けた方が取得するものとして処理されます。少なくともこの2点については注意点として覚えておきたいところです。
 

遺産分割前の相続預金の払戻制度には、家庭裁判所を経由する方法としない方法がある

遺産分割前の相続預金の払戻制度には家庭裁判所を経由して行う方法と直接金融機関の窓口で手続きする方法とがあります。分岐点としては遺産分割の調停や審判が申し立てられていれば家庭裁判所を経由し、そうでなければ直接金融機関の窓口にて手続きをする方法になります。
 
いずれにせよ、手続きをする際は対象となる口座が存在する金融機関までお問い合わせください。
 
出典
一般社団法人 全国銀行協会 ご存じですか? 遺産分割前の相続預金の払戻制度
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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