更新日: 2021.11.11 贈与
子供に教育資金として贈与する際に気を付けたい注意点とは?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
教育資金の贈与は原則非課税だが課税されることもある
そもそもの話にはなりますが、親や祖父母などの扶養義務者が子や孫の扶養に当たり、都度必要な範囲でする贈与は金額が不等に過大であるなどの場合でない限り基本的に非課税となっています。例えば、教育資金は都度必要な範囲であれば非課税です。
ただ、当初は教育資金として贈与されていても、後から事情が変わるなどして実際には別の目的で使用されたような場合は、通常の贈与として課税の対象となります。
具体的には、そのお金を進学資金に充てずに預金していたり、お小遣いとして使われていたような場合は通常の贈与として課税の対象となります。特に大きな金額を一度に贈与すると、贈与を受けた子の気が大きくなったり、その後の経済事情が変化したなどの理由から学費以外の他の目的で消費される可能性も出てくる点についても注意しておくべきです。
既に払った費用を後払いする場合は課税されることも
教育資金として贈与するとしても、それが既に払い終わった費用を後から補填(ほてん)するような形でする場合は注意してください。こういった贈与は都度行う必要がある贈与ではないとして、実質的に教育資金であったとしても通常の贈与として課税される可能性があります。教育資金として贈与するのであれば、既に払ったものの後払いや将来の分の先渡しとするのではなく都度贈与というのが基本です。
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贈与時には契約書を作成し、かつ、銀行口座を経由すること
教育資金として贈与するのであれば、その目的や日付などを明確にできるよう、教育資金の贈与契約書を作成し、かつ、実際に贈与する際は本人の銀行口座宛てに振り込むというのも大切です。こうしておくことで、教育資金としての贈与と他の贈与を明確に分けることができます。
一括贈与を受けた場合の非課税制度を利用する
教育資金は後払いだけではなく、前払いしても課税対象となることがあります。例えば、将来の分も今のうちにと、幼少期の頃から大学卒業までの学費について前払いしてしまうと、都度された教育資金の贈与ではないとして通常の贈与扱いとされる可能性があります。
もし、将来の学費分まで前払いして贈与する場合は「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」の制度を利用してください。
贈与を受ける側が30歳未満であるなど一定の条件があるものの、教育資金として行った一括贈与が1500万円まで非課税となる点は魅力的です。利用するには金融機関にて所定の手続きをする必要があります。詳細については現在口座を開設している金融機関や最寄りの金融機関へお問い合わせください。
110万円の暦年贈与として送るのもあり
贈与税は年間の贈与額が110万円未満であれば非課税とされるため、教育資金も含め暦年贈与として110万円ずつ毎年贈与していくのも有効です。この方法であれば資金の利用目的にかかわらず非課税であるため、教育資金の前渡しの問題や他の用途への使用の問題なども考える必要がなくなります。
子どもへの教育資金の贈与は税金面も含めしっかりと考えること
教育資金の贈与は原則非課税であるとはいえ、注意しないと課税対象とされてしまったり、別の目的で消費されてしまう恐れもあります。子どもへ教育資金を贈与する際は税金面も含め、金額とタイミングについて考えるようにしてください。
出典
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
執筆者:柘植輝
行政書士