更新日: 2021.11.15 贈与
子ども名義で貯めていたお金を渡すときの注意点。贈与税がかからないようにする方法って?
子どもの名義で貯めたお金を、子どもに渡す際の注意点について解説します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
子どもにお金を贈与していることを知らせる
暦年贈与とは、年間110万円までは贈与税が非課税であることを利用して、毎年110万円未満ずつ贈与していく方法です。
この暦年贈与の仕組みを利用して、毎年、親が管理する子ども名義の口座に110万円ずつ入金していたとしても、子どもがその事実を知らなかったような場合、暦年贈与は成立せず、その口座ごとお金を子どもに渡したときに一括して贈与したと見なされ、贈与税を課税されてしまうことがあります。
贈与はそもそも、贈与する側と、贈与を受ける側の双方の意思の合致が必要となるため、子どもが口座を渡されるまで贈与の事実を知らなかった場合、贈与が成立しておらず、渡したときに贈与が成立したものと考えられるのです。
子ども名義の口座にお金を貯めるのであれば、子どもに贈与の事実を知らせておくべきです。また、贈与として口座にお金を入れたときに、都度、贈与の事実を証明する書面として贈与契約書を作成しておくと、なおよいです。
口座の管理は子どもにさせること
口座の管理を全て親が行っているような場合、名義こそ子であるものの、実質は親の口座である、いわば名義預金として税務署に判断される恐れがあります。
名義預金と判断されると、口座内のお金は親のお金として扱われ、口座を渡したときに贈与があったと見なされて、110万円を超える部分に贈与税が課税される恐れがあります。
そのため、口座の管理はできるだけ子どもに任せるようにしたいところです。仮に子がまだ小さく、カードや通帳自体は親が管理するという場合でも、少なくともお金の入出金は子どもの意思に基づき、親と子が一緒に行うなど、完全に親1人で全て完結しないような形にしておくことが必要です。
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銀行印は親と分ける
親が子ども名義の口座にお金を貯めるとき、大抵その口座は親が作っていることでしょう。そこでよくあるのが、親と子の口座が同じ印鑑を銀行印としているケースです。
こういった場合も名義預金として扱われてしまう可能性があるため、親と子の銀行印は別の印鑑にして口座を作成しておくべきです。
生活費や学費として渡す場合は金額に注意する
扶養義務者である親が、子どもの学費や生活費など、扶養義務者として当たり前の目的でお金を贈与しいてたとしても、それは非課税となります。
しかし、その金額があまりにも高額な場合、学費や生活費といえど、現時点では必要ではないと判断され、その部分については通常の贈与として贈与税がかかる場合があります。
学費や生活費として、一度に数年以上先となる将来の分について先渡しする場合は、子ども名義の口座にお金を入れて渡すのではなく、必要な範囲で複数年に分けて贈与したり、直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度を利用する方がよい場合もあります。
子ども名義の口座で貯めたお金を渡す場合は贈与税に注意
子ども名義の口座でお金を貯めていた場合でも、その口座の管理や子どもとの意思疎通の状態、お金の渡し方などによっては贈与税がかかってしまう可能性があります。
子ども名義であるから大丈夫と考えず、意図しない状況で贈与税が発生しないよう、お金を貯める段階から注意をしておいてください。
執筆者:柘植輝
行政書士